斯波にとって2度目の五輪で無念の失格となった(C)Getty Images普段とは異なった“仕上げ作業” 不可解な失格処…

斯波にとって2度目の五輪で無念の失格となった(C)Getty Images

普段とは異なった“仕上げ作業”

 不可解な失格処分にやりきれない想いがこみ上げた。問題となったのは、現地時間2月8日に行われたミラノ・コルティナ五輪のスノーボード男子パラレル大回転の予選。日本の斯波正樹が、1回目のトライの直後に実施されたボード検査で使用禁止となっているフッ素成分が含まれるワックスの陽性判定を受け、DSQ(失格)となった。

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 1回目を44秒68でフィニッシュし、2回目での巻き返しが期待された中での予選敗退。突如として告げられた失格処分に「夢であってほしい」と願った斯波は再確認を依頼。だが、担当スタッフにより15回も行われたという検査の結果も虚しく、失格処分は覆られなかった。

 決定が下った直後のインタビューで「同じワックスを塗った選手からはフッ素は出ていないようですし、どのタイミングで、なぜフッ素が付いてしまったのか、防犯カメラあれば見てもらう状況。そのカメラもあるかないか、それもちょっと分からない」と困惑気味に話した斯波。さらに「もちろん誰も疑いたくはないっていうのは大前提としてあるんですけど、でもやはり全容解明、なるべくできる限りしたいなとは思ってます」とも語った39歳は、時が経ち、改めて自身の胸中を発信している。

 失格処分からほどなくして、自らのインスタグラムを更新した斯波は、「予選1本目終了後のワックス検査において、使用が禁止されているフッ素が検出されたため、失格(DSQ)という判断が下されました。検査結果としては、滑走面の左足より前方はフッ素検出なし(ゼロ)、それより後方にかけて明確なフッ素反応が確認されています」と一連の経緯を改めて説明。さらに「これまでワールドカップを通じて、同一の板・同一のワックス構成で毎試合フッ素検査を受けてきましたが、陽性が出たことは一度もありません」と“ちょっと分からない”とした理由を記した。

 また、問題となったワックスが使用されたと思われる仕上げ作業については「練習時は自ら作業を行っていますが、大会期間中はプロのサービスマン(道具の調整役)に正式に依頼し、板の仕上げをお願いしてきました」と説明。ただ、今大会は宿泊地とワックスキャビンが離れていたために、通常時とは異なる流れがあったことを明かしている。

「いつも依頼しているサービスマンも事情により別の場所に滞在していたため、物理的・時間的な制約から、今回は便宜的にチームコーチにワックス作業を依頼しました。(エッジ作業は自分で行っています)」

“空白の8時間”を再検証へ

 さらに「全日本スキー連盟の正式な依頼文書に基づき、ワックスキャビン周辺の監視カメラ映像も受け取りました。映像形式や画角の制約から、第三者の関与を特定することは困難ですが、データ変換後、私自身およびスタッフがそれぞれ確認を行う予定です」と明かした斯波は、徹底解明に乗り出す意向を告白。前日午後10時過ぎにサービスマンにボードを手渡してから、翌早朝時にふたたび引き取るまでの約8時間に問題が起きていなかったかを再度検証するという。

 ただ、「私はメダル候補と呼ばれる存在ではありません」と同競技における自身の立ち位置を語った斯波は、「そうした現状を踏まえても、誰かが意図的に私を陥れる理由があるとは、正直なところ考えにくいと感じています」と指摘。さらに毎シーズン2000万円以上の活動費を集めて活動している内情も明かし、「多額の自己資金を投じながら競技活動を続けている中で、毎試合フッ素検査が行われている状況において、自ら意図的に禁止物質を使用し、失格になりにいく理由は私にはありません」と強調した。

 そして最後に「多くの報道で『斯波正樹、ワックスの不正使用』と書かれています。言葉としては、規則上は間違いではありません」と書き出した39歳は、こう続けた。

「そう受け取る方がいることも理解した上で、それでも私は、これまで通り競技と正面から向き合ってきたその事実だけは変わらないと、ここに記しておきます」

「『この経験があってよかった』。そう言える日が来ると、信じています」

 果たして、真実は何なのか。本人が求める原因究明が進むことを願うばかりだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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