<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体◇8日(日本時間9日)◇ミラノ・アイススケートアリー…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体◇8日(日本時間9日)◇ミラノ・アイススケートアリーナ

【ミラノ8日(日本時間9日)=木下淳】いかに、王者米国が日本に追い詰められたかを物語る。団体2連覇を遂げた最終日。2年間無敗を誇る「4回転の神」イリア・マリニン(21)は、男子フリーに“出場させられ”ていた。

前夜。関係者から電話が鳴る。「君が出なければ負ける」。6日のショートプログラム(SP)に出場した後、中3日で10日(日本時間11日)から始まる個人に向けて、当初は調整に専念する予定だった。コーチも猛反発したが、米USAトゥデー紙によると「とても断れなかった」という。日本がペア「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組と、女子坂本花織のダブル世界王者で猛追してくることは明らかだった。「分かりました」と受け入れた。

出るなら、世界選手権2連覇中の実力を示すだけだった。初日に状態「50%」と本音を漏らして物議を醸した通り、本調子ではなかった。史上唯一、操れるクワッドアクセル(4回転半)を含め、全6種7本を予定していた4回転ジャンプも5本に減らし、ルッツも乱れた。

それでも基礎点は、日本の佐藤駿がノーミスでも大幅に上回る構成だ。自己ベストから38・21点も低い200・03点だったものの、面目躍如の1位だった。

「自分が下してきた判断の中で、最も懸命なもの」

21歳のエースは、V2貢献の強硬策に胸を張った。

アイスダンス世界王者のマディソン・チョック、エバン・べーツ組にも温存の考えはなかった。個人が、団体の翌9日(日本時間10日)からと迫る中、リズムダンス(RD)とフリーダンス(FD)ともに出場して1位×2で引っ張った。

うれしい誤算はペアだった。日本出身、箱根駅伝で山梨学院大を3度の総合優勝に導いた上田誠仁元監督のめい、エリー・カムが、ダニエル・オシェイとの組で難敵カナダを上回る4位と大健闘した。この順位点「+1」がスリリングな金メダルに寄与した。「五輪は特別」と21歳は笑顔。完璧だった日本だけでなく、米国もまた、この夢の舞台に力を引き出されていた。