NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第7節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2026年2月7日(土)13:00 ホンダヒート・グリーンスタジアム (栃木県)
三重ホンダヒート 44-38 東芝ブレイブルーパス東京

信じて続けた先に待っていた2連勝。そのカギは優勢のスクラムがもたらしたモメンタム


三重ホンダヒートの平野叶翔(かなと)選手。「フランコが『準備は間違っていない』と言い続けてくれた」

「うれしいです。ただただ、うれしいです」

昨季王者の東芝ブレイブルーパス東京を相手に、44対38で勝利した三重ホンダヒート(以下、三重H)。先日、日本代表候補に初招集された平野叶翔の短い言葉には、大きな喜びが凝縮されていた。

勝利のカギの一つは、スクラムで優勢を保ち続けたこと。何度もチャンスを作り出し、チームにモメンタムをもたらした。平野はその手ごたえをこう語る。

「(スクラムは)アタックの始まりなので、精度を整えることを意識しました。正確性が足りなかった場面もありましたが、修正しながら試合を進められたことが良かったです」

冷静さも見事だった。レフリーボール(相手選手がレフリーと接触してタックルに行けなかったことを鑑みて三重Hのスクラムで再開)でトライが認められなかった場面では、大型ビジョンには頭を抱える平野の姿が映し出されたが、そこに焦りはなかったという。「レフリーありきのスポーツなので、誰かに責任があるわけではなく、タイミングが悪かっただけです。すぐに切り替えて、そのあとでトライを奪えた。それがとてもポジティブでした」。

開幕から5連敗を喫した三重H。競った展開での脆さを感じさせ、勝負強さを欠いていた。しかし、前節で今季初勝利を挙げると、歯車は急速にかみ合い始めた。

ゲームキャプテンのフランコ・モスタートはその変化を「コーチ陣を、システムを、われわれの努力を信じることが重要だった」と語った。平野もその言葉に同意する。

「どこか自信をもてなくなっていました。ただ、初勝利できたことで、僕たちは“やれる”と証明できた。フランコが『準備は間違っていない』と言い続けてくれたことは、とても大きかったと思います」

三重Hには勝利時に選手とスタッフが“ヒートソング”を熱く歌い上げる儀式がある。鈴鹿ではグラウンドで行われる一方、宇都宮ではロッカールームが舞台となるため、ファンはその光景を見ることができない。「あの歌を楽しみにしています」と声を掛けると、平野は笑顔でこう答えた。

「はい、今度は鈴鹿で!今日は部屋の中でしたからね」

2連勝で自信を深めた三重H。これから続くシーズンの中で、できるだけ多くの“ヒートソング”を歌いたいところだ。常にチームを鼓舞し続ける、熱いファンとともに。

(籠信明)

三重ホンダヒート


三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、フランコ・モスタート ゲームキャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「心からうれしく思います。クラブ、そしてプレーヤーたちの思いを考えても、今日の白星を勝ち取れたことは本当に幸せです。試合の立ち上がりから非常に良い形を作れました。相手にプレッシャーを掛け続け、トライまでつなげることができていました。後半の終盤、相手に追い上げを許す場面がありましたが、それはディフェンス面での連動を欠いたことが原因です。後半はスコアが激しく動く展開となりました。ラスト15分間に反撃を許した点は課題ですが、選手全員を誇りに思います。われわれが立てたプランを忠実に遂行し、信念を強くもち続けてくれたことが何よりもうれしいです」

──前節の浦安D-Rocks戦に続く勝利です。チームの歯車がかみ合ってきた要因をどう見ていますか。

「チームとして積み重ねてきた時間が、ようやく成熟し、実を結んだのだと感じています。シーズン序盤の数試合は、うまくいかない場面が多くありました。そのような苦しいときにどうプレーすべきか、自分たちのスタイルを慎重に培うことに重点を置いてきました。『実行力』という点での一貫性が出てきたことで、ようやく勝ち点につなげられるようになりました。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は現在も上位に位置する非常に手ごわい相手です。そのような強敵に勝利し、直近2試合で自信を深められたことは、次戦に向けて大きな収穫です。ただ、今日だけはこの勝利を存分に祝いたいと思います」

三重ホンダヒート
フランコ・モスタート ゲームキャプテン

「ヘッドコーチも述べたとおり、われわれが重ねてきた努力、そして信念をもち続けてきたことが今日の結果に結び付きました。選手たちを誇りに思います。何よりも『信じること』が重要でした。コーチ陣を信じ、システムを信じる。その強い心をもって努力を重ねたからこそ、今日の勝利をつかむことができました。BL東京さんは言うまでもなく強豪であり、最後まであきらめずに猛追してくることは予想していましたが、それに耐え抜いて勝ったことには非常に大きな意味があると感じています。また、試合に出場しなかったヒートメンバー(ノンメンバー)たちにとっても、誇りに思ってもらえるような内容だったはずです。今季のベストパフォーマンスでした」

──BL東京にはリッチー・モウンガ選手やリーチ マイケル選手など個の力がある選手がおり、この試合でのプレーも破壊力がありました。どうチームとして彼らを上回ろうとしましたか。

「モウンガ選手は世界屈指のスタンドオフであり、彼がボールを持つたびにチーム全体を前進させる力があります。また、リーチ マイケル選手がけがから復帰されたことも、いちラグビー選手として非常にうれしく思っています。ヘッドコーチが話したように、われわれにとって大切だったのは『信じること』です。序盤戦はなかなか勝利に恵まれませんでしたが、今日は自分たちの手で白星をつかみ取りました。そして、ノンメンバーの貢献も忘れてはなりません。鈴鹿で待つ彼らが、練習から高いプレッシャーを掛けて準備を支えてくれています。だからこそ、彼らが誇れるようなパフォーマンスをしたいという強い思いがありました。そしてHondaの方々にもこの会社のブランドを誇りに思ってもらえるようにしたいですし、われわれが立てた目標を達成したい。自分たちはそのような強い意志をもっているのです」

東芝ブレイブルーパス東京


東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、リーチ マイケル キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「まずは、三重ホンダヒート(以下、三重H)さんにお祝いを申し上げます。三重Hさんの素晴らしいスタートに対し、われわれは後手に回りプレッシャーを受けることになりました。その中で、プレーの精度や遂行力が低下してしまいました。ラグビーボールのバウンドが相手に味方した場面もありましたが、それ以上に三重Hさんがチャンスを確実に仕留め、逆にわれわれは機会を逸してしまったという試合でした。しかし、そのような苦しい展開でも決してあきらめることなく、最終盤まで攻め続けた姿勢は評価しています。最終的にボーナスポイントを確保できたことは唯一の救いですが、非常に大きな学びを得た試合でした。これをもち帰り、次に向けて修正していきたいと思います」

──44失点と守備の乱れが目立ちましたが、想定外の事態があったのでしょうか。

「三重Hさんのアタックのバリエーションが非常に豊富でした。もちろん予測はしていましたが、試合のモメンタム(勢い)を相手に渡してしまったことが響きました。ディフェンスにおいて、モメンタムはフィジカル以上に重要な要素です。流れが相手にあると、タックルの局面でもどうしても受け身になり、それがペナルティへとつながってしまいます。この1週間の準備は万全でしたし、相手の攻撃パターンも頭に入れて臨みましたが、三重Hさんの準備が上回り、決定的なラインブレイクを許したことも痛手となりました」

東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン

「こんにちは。結果についてはまず置いておくとして、ラグビーは『モメンタムの奪い合い』です。今日のわれわれは序盤からその勢いを作ることができず、最後まで波に乗れませんでした。それが最大の反省点です。要因は、ディシプリン(規律)の欠如と、ラインアウトからの遂行力の低さにあると考えています。これらを修正し、次のコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)戦に臨みます。先ほど三重Hのキアラン・クローリー ヘッドコーチと少し話をしました。『来季の本拠地となる栃木において、ファンの前で前年度王者に勝ったことは非常に大きい』とおっしゃっていましたが、私もそのとおりだと思います」

──けがからの復帰初戦でした。離脱していた時期を振り返ると、どういう思いですか。

「11月の代表戦でのけが以来、長くリハビリの時間をいただきました。そのおかげでコンディションは非常に良い状態です。久しぶりにみんなとラグビーができて純粋に楽しかったです。シーズンはまだ続くので、1試合ごとにレベルアップして、再び日本代表に選ばれるよう頑張ります」