<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):スノーボード>◇女子パラレル大回転決勝トーナメント1回戦-決勝◇8日◇リビーニ…
<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):スノーボード>◇女子パラレル大回転決勝トーナメント1回戦-決勝◇8日◇リビーニョ・スノーパーク
2大会連続出場で金メダル候補だった三木つばき(22=浜松いわた信用金庫)が、準々決勝で惜敗し、8強で姿を消した。地元イタリアの26歳エリザ・カフォントに、0・02秒及ばなかった。
「赤」「青」、両コースの合計タイムで争われる予選では3位発進。一発勝負の決勝トーナメント1回戦では、予選で好タイムを記録した青を選択し、カナダ選手を0・22秒差で下すなど貫禄を示していた。だが、準々決勝では、予選で2度バランスを崩すなど苦戦していた赤を「今季1本目で滑った方で負けたことが何度かあったので、悔いのないように」と選択。タイムを伸ばしきることはできなかったが、「受け止めることができるし、後悔はない」。成績は22年北京五輪の9位から6位と向上。敗退直後にもかかわらず、涙ながらに約束した。「4年間頑張って『また皆さんの前で強くなったね』と言ってもらえるような滑りをします」。
雪上を離れると、等身大の22歳に戻る。大舞台での堂々とした立ち居振る舞いでも注目を集める一方で、「目立ちたい欲はあまりないです」と笑う。オフの日は友人と集まって食事をしたり、家でまったり過ごしたりするのが好き。物事に執着しない性格で、母の志保子さんも「陰キャじゃないけど、おとなしい方」と表現するほどだ。
ただ、競技への向き合い方は別だった。全国大会優勝の経験を持つ父浩二さんに憧れて4歳から競技を始め、「目標を達成するまでやり続けた」。幼少期には陸上や柔道も経験したが、スノーボードは特別。5歳の時、浩二さんの仕事の都合で生まれ育った長野県白馬村から静岡県掛川市へ転居した後も、「引っ越したお父さんが悪い」とせがみ続けた。毎週末は白馬村などのスキー場に通い、車中泊の生活。それでも飽き足らず、小3からはシーズン中の約100日間長野で1人“山ごもり”をして腕を磨いた。
昨季はW杯17戦で4勝を挙げ、13度表彰台に立った。パラレル大回転、非五輪種目のパラレル回転、総合優勝の3冠を達成。追う立場から追いかける立場になっても、情熱は色あせなかった。原動力は「スピード感が好き。雪を切り、風を切る感覚。遠心力を感じながら板を操るのが楽しい」という純粋な実感。コース上から見る景色も格別で「雪山に朝日が昇る光景や空気がとても好き。舞い上がった雪が朝日に照らされてキラキラ輝くのがたまらない」と、少女のように目を輝かせる。
結果にとらわれず競技に真正面から向き合える強さ。その思いがあるからこそ、五輪2連覇の最大のライバル、エステル・レデツカ(チェコ)を心の底から歓迎できた。アルペンスキーとの二刀流で出場しない可能性もあった女王。出場有無は自身の成績を左右しかねないが、「出てくれたらすごくうれしいし、戦えたら光栄」と待望していた。
競技へ思いが、ライバルの存在が、そして味わった悔しさが、全て力になる。「4年後に1番を取れるように頑張りたい」。三木の進化は、まだここからだ。【勝部晃多】
◆三木(みき)つばき 2003年(平15)6月1日生まれ、静岡県出身。通信制の勇志国際高-日体大。浜松いわた信用金庫所属。女子パラレル大回転で22年北京五輪9位。世界選手権は23年に初制覇。昨季はW杯で4度の優勝を含め13戦で表彰台に上がり、パラレル大回転と非五輪競技のパラレル回転、総合優勝の3冠を達成。世界選手権でも種目別でそれぞれ金、銀メダル獲得。173センチ。