Jリーグは2026年、その様相を大きく変える。2026-27シーズンから、秋春制を導入するのだ。だが、その前にも「新た…
Jリーグは2026年、その様相を大きく変える。2026-27シーズンから、秋春制を導入するのだ。だが、その前にも「新たな挑戦」が待っている。約5か月間の「百年構想リーグ」だ。この大会、使いようによってはリーグやクラブを大きく変貌させるかもしれない。初の試みとなる短期決戦リーグでの「戦い方」を、サッカージャーナリスト後藤健生が提案する!
■テストには絶好の機会
一方、この「百年構想リーグ」では勝負をかけるよりも、来るべき2026―27シーズンに向けての準備期間と考えるべき場合もある。
なにしろ、昇降格がないのだから、思い切った戦術的なテストもできる。
かつて、降格がなかった時代のJ2リーグやJ3リーグでは、徹底してパスをつなごうとしたり、超攻撃的なシステムを採用するなど、監督の理想を追求した尖った戦術で戦うクラブがいくつもあった。だが、降格制度が採用されると降格だけは避けなくてはいけないので、現実的な(あるいは、消極的な)試合が増えていった。
「百年構想リーグ」は降格の心配がないのだから、思い切ったテストができるはずだ。
特に、新監督を招へいしたクラブにとっては、選手たちが新監督の戦術に馴染むために「百年構想リーグ」を使える。
■新監督には恵みの時間
J1EASTの10クラブでは、昇格組の水戸ホーリーホックを除いて、すべてのチームで監督は留任した。完成度が高いチームなら、勝負してもいい。
たとえば、昨年非常に良い内容の試合をしながら惜しくも優勝に届かなかった柏とか、西日本ならチョウ・キジェ監督の下でアグレッシブに戦いながら、最終版で失速した京都サンガF.C.などは、「勝ち癖」を付けるためにも優勝を狙うべきかもしれない。
一方で、J1 WESTの10クラブには新監督が多い。
昨年までヴィッセル神戸を率いていくつものタイトルを獲得した吉田孝行監督が清水エスパルスの監督となり、その神戸には昨年までサンフレッチェ広島で素晴らしいチームをつくったミヒャエル・スキッベ監督がやって来た。また、名古屋グランパスには、過去20年近くにわたって日本に攻撃サッカーを根付かせるために貢献してきたミハイロ・ペトロヴィッチ監督がやって来た。
一方、広島にはドイツとポーランドの国籍を持つバルトシュ・ガウル監督が就任。ガンバ大阪にもドイツからイェンス・ウィッシング監督がやって来た。
その他のクラブも含めて、WESTには新監督を迎えたクラブが多いから、必然的に「百年構想リーグ」は新監督への適応のためのリーグという色彩が濃くなる。
■最悪なのは「中途半端」な使い方
新しい監督がやって来て、キャンプで新戦術のトレーニングを積み重ねても、シーズンが始まって実戦に臨んでみるとさまざまな綻びが出ることが多い。そうなると、リーグ戦を戦いながら試合を通して修正を繰り返しながらチームづくりを進めていく必要がある。
だから、4か月間の「百年構想リーグ」は新監督を迎えたチームにとっては、とても貴重な準備期間となるはずだ。
特に、これまで日本で指揮を執ったことがない監督にとっては、日本人選手の特性やJリーグのサッカーに慣れる必要もある。そこで適応に失敗して、鳴り物入りでやって来た指導者が更迭されてしまった例は枚挙にいとまがない。
「常勝チーム」をつくろうと考えているクラブがあったとすれば、長期的視点に立って「百年構想リーグ」に勝負を懸けるよりも、次のシーズンへの準備と割り切った方がいいのかもしれない。
「百年構想リーグ」に勝負を懸けに行くのか、あるいは貴重な準備期間として使うのか……。そのあたりは、そのクラブの情況にかかっている。クラブ首脳あるいはゼネラル・マネージャーはそのあたりをはっきり決断すべきだろう。中途半端は最悪だ。