第25回冬季ミラノ・コルティナ五輪が6日(日本時間7日)に開幕した。史上初めて複数都市で開催され、4つのエリアに競技会…

 第25回冬季ミラノ・コルティナ五輪が6日(日本時間7日)に開幕した。史上初めて複数都市で開催され、4つのエリアに競技会場がある広域開催となった今回の五輪。開会式では、それぞれの地域で選手団が国旗を持って入場行進する初めての試みとなった。「調和」をテーマに、紛争や分断が広がる世界で平和の尊さを強調した開会式を、大谷翔太記者が「見た」。

 厳かで時に異様な雰囲気の開会式で、ミラノ・コルティナ五輪が幕を開けた。イタリアサッカーの名門、ACミランなどの本拠地、通称「サンシーロ」は、6万人超の観衆で埋まった。「アルモニア(調和)」をテーマにした開会式。入場行進では、パレスチナ自治区ガザを大規模攻撃したイスラエルの選手にブーイングが降り注いだ。そしてウクライナ侵攻を続けるロシア、同盟国ベラルーシの選手は中立の個人での参加となるため行進できず。国同士の戦争や紛争の影響が垣間見える一時だった。

 式の終盤、国連平和大使の女優シャーリーズ・セロン氏が、人権保護の第一人者で南アフリカの元大統領、故ネルソン・マンデラ氏から着想を得た言葉を紹介した。

 「平和とは、単に紛争がないことではありません。平和とは、人種、肌の色、信条や宗教、性別、階級、カースト(身分制度)、またその他の社会的差別の指標にかかわらず、全ての人々が繁栄できる環境を創り出すことです」

 場内では、パフォーマーにより平和の象徴である鳩の形が演出された。スポーツを通じて、世界の分断をなくす。五輪の意義の一つを感じ取れる時間だった。

 92の国と地域から約2900人が参加する今大会。国際オリンピック委員会(IOC)は男女平等を掲げ、女子選手の数は全体の47%。もっとも男女比率の均衡がとれた冬季五輪となっており、日本も121人中74人が女子選手で過去最多となった。セロン氏の言葉に沿う流れ。ただ24年パリ五輪では、ボクシングで性別適格検査で合格しなかった女子選手が大会に出場し、波紋を呼んだ。敏感に反応した世間と、それをあおるようなメディア。セロン氏が言う「全ての人々が繁栄できる環境」にはほど遠いような、誹謗(ひぼう)中傷に包まれた大会となり、課題も残していた。

 国と国、そして人と人。分断ではなくつながり、手と手を取り合ってその瞬間を楽しむのがスポーツの醍醐(だいご)味である。4年に1度の世界的祭典がオリンピック。選手が4年間、血と汗を流してきた結晶を、私たちがその空間で享受する。聖火は、ミラノとコルティナダンペッツォの2都市で同時点火された。サンシーロの少し小さい大型ビジョンで映るコルティナの人々と、その瞬間を共有できた気がした。会場は離れていても、心はつながっている。そう感じられる開会式だった。(大谷 翔太)

 ◆ミラノ・コルティナ五輪開会式あらかると

 ▽聖火台点火者 ミラノではともに五輪で3度金メダルを獲得したアルペンスキー男子のアルベルト・トンバさん、同女子のデボラ・コンパニョーニさんが務めた。

 ▽マライア・キャリー 式序盤に真っ白なゴージャスな衣装で登場。イタリア語で「ボラーレ」を熱唱した。

 ▽名物男 トンガ出身で夏冬3大会五輪出場のピタ・タウファトフアさん(42)。式典終盤の五輪旗の運搬を務めた。2016年リオ五輪はテコンドー代表で旗手を務めた、民族衣装に上半身テカテカという姿で旗を振って行進。

 ▽サッカー界レジェンドの共演 ACミランでプレーしたバレージさんと、インテルで活躍したベルゴミさんが聖火ランナーで登場。ともに開会式が行われた「サンシーロ」を本拠地とする名門サッカークラブ出身。ライバルチームの主将を務め、しのぎを削った元イタリア代表が一つのトーチを手に登場。「調和」がテーマの式典に花を添えた。

 ▽入場行進ウェア ブラジル代表は高級ブランド「モンクレール」のダウンを着用。裏地には国旗が描かれ会場を盛り上げた。スウェーデンは夏季五輪を含めて4大会連続ユニクロを着用。米国はラルフローレンを10大会連続で使用。日本はアシックス社。

 ▽ジョルジオ・アルマーニさん追悼 式序盤には昨年9月に亡くなったアルマーニさんがデザインした緑、白、赤のイタリア国旗と同じ色のスーツを着たモデルがランウェーを歩き、追悼する演出も実施。選手団入場で開催国として最後に登場したイタリア代表はエンポリオ・アルマーニのウェアを着用した。

 ▽GIAPPONE イタリア語での「日本」。開催地のアルファベット順での入場となり、「G」から始まる日本チームは34番目に登場した。