【ミラノ6日=木下淳】フィギュアスケート男子の26年ミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)スペイン代表で、開幕10日前に…

【ミラノ6日=木下淳】フィギュアスケート男子の26年ミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)スペイン代表で、開幕10日前にショートプログラム(SP)曲が著作権問題で使用できなくなっていたトマスリョレンク・グアリノサバテ(26)が、問題を解決した。

この日、当地の午前7時に朗報が届き、ライセンスを購入。SP曲を構成する4つの楽曲が全て承認された。これで10日(日本時間11日)に行われる男子SPや、翌月の世界選手権(プラハ)でも問題なく使うことができるようになった。

前日5日は、当地で行われた公式練習に初登場。日本の鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)佐藤駿(エームサービス/明治大)と同組で本番会場のリンクに入り、注目された曲かけ練習では、騒動渦中のた米アニメ映画「ミニオンズ」(ユニバーサル・ピクチャーズ)のテーマ曲を演じていた。

練習後、取材に応じ、事の真相を打ち明けた。

「(五輪用に)ライセンスを購入し、手続きが完了した後、ユニバーサルから詳細情報の追加要求メールが届いたんです。衣装は? プログラム内容は? 全て明示せよ、と。その全てを送ると、すぐ返答がありました。却下します、と」

騒動を巡っては2日、本人がインスタグラムのストーリーズに苦境を投稿。国際スケート連盟(ISU)から「SP曲が使用できなくなった」と通告されたと明かして、騒動が表面化した。

グアリノサバテは昨年8月に「ISU Clickn Clear」システムを通じて申請。フィギュアスケートなど演技に音楽を用いるスポーツに向けて、ライセンス取得済み楽曲を提供するもので、シーズンを通してSP曲を使用してきたが、問題にはなっていなかった。

しかし実際は、一部権利者と連絡がつかず、クリアになっていないままだったという。五輪に向けて、改めてClickn Clear経由の特別申請が必要となり、SPとフリーの両プログラムを再提出。そこで問題になった。

「ユニバーサルから、追加要求のメールが届いたんだ。最初の音楽、つまりユニバーサル映画の冒頭に流れるテーマ曲のようなものが、まず却下されました。衣装も同様。ロゴがなくても『ミニオン』と分かるから、許可が必要でした。そういうわけで、金曜日(1月27日)にコーチから『今季のSP曲の使用は、実現不可能だと思う。解決策を見つけないと』と連絡が。ユニバーサルから、もし『100万ドル(約1億5500万円)の罰金を払え』と言われたりしたら、払えませんから」

やむなく、昨季のビー・ジーズに戻して乗り切ることにした。今季はフリーもビー・ジーズのため、異例のSPもフリーも同じ曲にはなってしまうが、背に腹は代えられなかった。

この段階でSNSに投稿し、潮目が激変した。「信じられないことが起きた。みんながシェアしたり、リポストしたり、私にたくさんの応援や愛を送ってくれまして。目が覚めたら、インスタのアカウントに何通ものメッセージが届いていて、アメリカや日本でも記事になっていた。他の欧州各国でも。そして火曜日(3日)の夜、Clickn Clearから『ユニバーサルが考えを変えた』って連絡があったんだ」

組み合わせて使っている4曲のうち「ユニバーサル・ファンファーレ」など2曲が認められ、さらに1曲もスペインつながりの縁があったと判明し、難なくクリア。所属レーベルの制約で最後の1曲だけ問題が生じていたが、合意寸前だった。

「だから今日(前日5日)は、もうミニオンズの曲で練習したんです。おそらく10日(日本時間11日のSP当日)までには、間違いなく。Clickn Clearから『今日(5日)中に完了するはずだ』と連絡をもらったので、最後、ライセンスを購入するメールが届くのを待っているところ。届いたら、すぐ購入できるし、もう大丈夫だよ。グラシアス(ありがとう)!」

映画からインスピレーションを受けた、黄色のシャツにデニムのオーバーオールという「ミニオンズをほうふつとさせる」衣装も、ユニバーサル側の譲歩、配慮で着用できる見通しになっていた。そして開幕日6日の朝、最後の1曲もOKになったという吉報が舞い込んだ。

グアリノサバテは、同国カタルーニャ出身のスケーター。羽生結弦さんの盟友として知られるハビエル・フェルナンデスさんの引退後、スペイン選手権で6連覇するなど国内最強を誇った。世界選手権は25年の20位が最高だが、満を持して「ミニオンズ」に成り切る五輪のSPで同等の結果を残せれば、上位24選手による13日のフリー(日本時間14日)に進出できる。