NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第5節2026…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第5節
2026年2月8日(日)12:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)


今節でクラブ50キャップ。日本製鉄釜石シーウェイブスの河野良太キャプテン

傷だらけの顔が、すべてを物語っていた。

前節、豊田自動織機シャトルズ愛知を相手にラストプレーで勝利を決めた一戦は、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)にとって大きな価値を持つ試合だった。その中心にいたのが、河野良太である。

「こういう接戦を勝ち切れた試合は、これまでほとんどなかったと思います」

内容に課題は残しながらも、勝利をもぎ取った。昨季繰り返した“惜しい試合”。その扉を打ち破り、チームは確かな自信を手にした。

河野は今季、キャプテンを務めている。開幕戦は極度の緊張と重圧を自覚する中で迎え、思うようなプレーができなかった。言うなれば“キャプテンの呪縛”。低く、突き刺さるようなタックルを代名詞とする彼がハイタックルによって一時退出になるなど、明らかに普段とは違っていた。しかし、続くホスト開幕戦ではマインドセットを整え、役割に集中すると今季初勝利に貢献。前節の勝利もあり、チームのムードは高まっている。

今節はクラブ50キャップという節目に到達する。「50はただの数字。でも、ここまで来た過程には、いろいろな思いがあります」。そう語る彼を突き動かしてきた原動力は、強烈な負けず嫌いだ。

「何の自信か分からないですけど、『自分ならできるだろう』と思ってきました。ゲームも、ほかのスポーツも、熱くなっちゃうんですよね」

身長は169cm。体格に恵まれているとは言えない。それでもフォワードとして戦い続けてきた背景には、勝負ごとになると熱くならずにはいられない性分がある。

そして、その負けず嫌いを支えているのが家族の存在だ。2歳になる息子は、試合の日には「パパ、がんばって!」と声を掛けてくれる。妻は、試合に出られず、不機嫌なまま帰宅し、愚痴をこぼしてしまうときでも、黙って受け止め、言葉を返してくれる。妻自身も国士舘大学でハンドボールに打ち込むなど、スポーツと真剣に向き合ってきたからこそ、悔しさが分かる。「僕よりもチームのことを気にしているんじゃないですかね」。そう笑う表情に、信頼がにじむ。

「ラグビーをやれる間は、釜石のために体を張り続けたい。その思いは変わりません」

その言葉は、覚悟というより宣誓に近い。選手として、そして、父であり夫である一人の人間として。勝敗の先にある未来のために、河野は今日も釜石SWのジャージーをまとい、重圧を飼いならして前に出る。

背中を押すのは、この街と、かけがえのない家族だ。

(髙橋拓磨)