<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュア>◇6日◇団体アイスダンス・リズムダンス(RD)予選◇ミラノ・コルテ…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュア>◇6日◇団体アイスダンス・リズムダンス(RD)予選◇ミラノ・コルティナ・アイススケートアリーナ

団体が始まり、日本の先陣を切って登場した愛称「うたまさ」こと吉田唄菜(22)森田真沙也(22)組(木下アカデミー)は10組中8位となった。68・64点とし、順位点で3点を獲得。自己ベストに1・05点届かず、初五輪はほろ苦いデビューとなった。日本は22年北京五輪銀を上回る金メダルを目指しており、決勝種目となる7日(日本時間8日)のフリーダンス(FD)への出場が見込まれている。

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観衆の手拍子の中でアップテンポの曲を通すと、吉田と森田は笑顔で抱き合った。目標の70点に届かず順位点も3点にとどまったが、胸には充実感もあった。吉田は「楽しい気持ちで滑り切れた」と声を弾ませ、森田も「練習してきたことを出せた」とうなずいた。

アイスダンスはジャンプがなく、ステップシークエンスやリフトなどで競う競技。息の合った滑りが求められるだけに、日ごろから足並みをそろえることが大切となる。ただ、23年春の結成当初はすれ違いも多かった。試合を楽しむ吉田とは対照的に、森田は極度に緊張するタイプ。本番でいつも以上に動きが大きくなることが続き、吉田はそのたびに「どう声をかけていいのか分からない」と悩んだ。

24年7月から元五輪王者のモイア氏に師事すると「互いが先走りすぎだ」と諭された。吉田はハッとした。「緊張を放っておかず、2人で分け合わないといけない。2人で同じ方向を向きたい」。そこから声のかけ合いを増やした。試合中に「落ち着いて」とささやいたこともある。

声かけが増えるにつれて変化があった。昨年9月にには五輪の個人出場枠をかけた最終予選に臨むも、切符獲得に1・20点届かず。森田が「モチベーションが下がってしまった」と正直に打ち明けると、吉田から「下がってもいいと思う。あとはもう上がるしかない」と声をかけられた。森田は「その考えはなかった。気が楽になった」と再び前を向くことができた。

五輪デビューとなったこの日も、演技前には「絶対できるから」と声をかけ合った。森田は「いつも通り緊張した」と頭をかきながらも、「でも楽しめた」と視線を上げた。2人なりの成長を、五輪のリンクに刻んだ。【藤塚大輔】