NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第7節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2026年2月7日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 浦安D-Rocks

浦安D-Rocks(D1 カンファレンスA)


昨年12月からチームの練習に合流している浦安D-Rocksの金 正奎選手は「ラグビーがめちゃくちゃ楽しくて仕方ない」という(写真は2025年4月12日、対コベルコ神戸スティーラーズ戦)

普通の人なら絶望に陥ったり、自暴自棄になったり、あきらめても不思議でない状況でも、「物事は解釈次第」と捉える金正奎は、常に前向きであった。

昨年5月の静岡ブルーレヴズ戦で大けがを負う。スクラムが崩れて立ち上がろうとしたときに左ひざに力が入らず、最初は前十字靭帯を痛めたかくらいに思っていた。ところが、テーピングをグルグル巻きにしてプレーを続行すると、どんどん状況が悪化していく。次に左手に力が入らずスローができなくなり、気が付いたら首に激痛が走る。「これ、首を痛めたかもしれん」。そう思った瞬間、左半身が動かなくなった。ラグビー人生を断たれるかもしない脊髄損傷であった。

試合後、静岡の病院に直行し、そこから介護タクシーに乗って千葉の病院へ。そのまま入院し、約1カ月に及ぶ入院生活が始まった。

そのときも、決して物事を暗く、マイナスに捉えない男は前向きに振る舞う。「不思議と『ラグビーができなくなる』とは思わなかったですね。このけがにもすごく意味がある、すごくいい経験をしているなと」。手術をするまでは激痛に耐えながらも、術後はすぐにリハビリを開始。歩行器や補助器具を使いながらひたすら病院内を歩き回った。

「そういう解釈をできたのは、体を常に整えていたことが大きいです。この2年間くらいは食事や行動をイチから見直して、脳と体をマルっと作り変えていたので。『心技体』という言葉がありますけど、自分は絶対に“体心技”。体ファーストですね。脊髄損傷を歩いて治したと自負しているくらい、退院してからもとにかく歩きました。だから、リハビリ中も手や足が動く、呼吸ができるということを当たり前ではないと思えたし、少しずつ動いてきているという小さな喜びを感じる日々だったので、つらさはなかったです」

今季の開幕直前、昨年12月に練習に合流してからは「ラグビーがめちゃくちゃ楽しくて仕方ない」という。中学生のときにラグビーを始め、毎日、毎日、うまくなる実感があったあの日々に近い感覚で楕円球と向き合っている。週末のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で、リザーブ入り。約9カ月ぶりとなる復帰戦を前にしてもそのスタンスは変わらない。

「『絶対に無理だ』と多くの人が思っている中で復帰して試合に出られれば、いま、けがなどで悩んでいる人へのいいメッセージになるかと思います。解釈一つで良い世界はいくらでも作れると思うので、僕のパフォーマンスや生き様からそういうところを感じ取ってもらえればうれしいです」

ひと回りもふた回りも、一人の人間として、そしてラグビープレーヤーとして大きくなって帰ってきた金正奎は、いまかいまかと心を躍らせながら、再びグラウンドに立つ瞬間を待っている。

(須賀大輔)