2026年シーズンを前に、シカゴ・ホワイトソックスがクラブハウス環境の整備に乗り出している。その中心にいるのが、日本の長…

2026年シーズンを前に、シカゴ・ホワイトソックスがクラブハウス環境の整備に乗り出している。その中心にいるのが、日本の長距離砲・村上 宗隆の加入だ。単なる戦力補強にとどまらず、球団全体の戦略的対応と見る向きもある。

 村上は2年総額3400万ドルの契約でホワイトソックスに加入した。象徴的な変化の一つが、クラブハウス環境の調整だ。ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMは米大リーグ公式サイトの取材に対し、「彼にとっては日常的な設備であり、こちらとしても十分に対応できる部分だった」と語り、ロッカールームにビデ(温水便座)を設置する判断に至った背景を説明した。これは異国の地でも“自宅のような快適さ”を感じてもらおうとする、球団側の配慮と言える。

 生活面だけでなく、トレーニング環境の整備も進んでいる。同サイトによると、入団会見の際に行われたクラブハウスツアーでは、投球軌道を実戦に近い形で再現できる「トラジェクトマシン」も紹介された。村上は2021年から24年までの4シーズンでヤクルト在籍中に159本塁打を放ったが、日本では同様の設備を使用する機会はなかった。メジャーリーグ投手の球速や三振率への適応が注目される中、球団はこの機器が順応の助けになると期待している。

 球団の準備はそれだけにとどまらない。ゲッツGMは「栄養面でも、村上の食事や嗜好は既存の選手とは異なる部分がある。その点も把握した上で、サポートを進めている」と明かした。

 ホワイトソックスは村上の獲得を、中長期的な球団戦略とも結びつけている。最近、日本を訪問したブルックス・ボイヤー副社長は「ドジャースは大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の存在によって日本市場で大きな成果を上げている」とした上で、「日本で三冠王を獲得し、WBCでもヒーローとなった村上には、日本国内で高い関心が寄せられるはずだ。これはホワイトソックスにとって新たなビジネスチャンスを意味する」と語った。

 さらに「カブスが今永 昇太や鈴木 誠也で成功例を築いたように、我々もドジャースの取り組みを参考にしている。ホワイトソックスとしても、日本市場でのブランド拡大や日本企業スポンサーとの接点を広げていきたい」と展望を示した。

 村上がWBC出場によりスプリングトレーニングの一部を欠場する可能性についても、ゲッツGMは懸念していない。日本代表入りを当初から支持しており、新たな挑戦に臨む姿勢を高く評価している。

「選手や代理人、ファン、周囲との会話の中で、村上の名前が出ないことはない」とゲッツGMは語る。「彼がいるだけでチームにはポジティブなエネルギーが生まれる。未知の部分があるからこそ期待も大きい。メジャー経験はないが、日本では記録を打ち立て、MVPも獲得してきた。実績と不確実性の両方を含めて、今回の獲得は“勝利”だと考えている」と力を込めた。

 村上の加入は、ホワイトソックスに単なる戦力補強以上の変化をもたらしている。新天地に挑む日本の若き大砲と、クラブハウス環境からビジネス戦略に至るまで整備を進める球団。その取り組みが、2026年シーズンにどのような形で表れていくのかが問われる。