「ATPファイナルズ」(11月12日~11月19日/イギリス・ロンドン/室内ハードコート)シングルスでは、決勝戦が11月19日に行われ、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が激戦を制して、優勝を手にした。ディミトロフは、今大会初出場で、初…

「ATPファイナルズ」(11月12日~11月19日/イギリス・ロンドン/室内ハードコート)シングルスでは、決勝戦が11月19日に行われ、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が激戦を制して、優勝を手にした。ディミトロフは、今大会初出場で、初優勝を全勝で飾った。カウントは7-5、4-6、6-3。試合時間は2時間29分だった。

決勝戦の組み合わせは、ディミトロフ対ダビド・ゴファン(ベルギー)。世界ランキング1位のラファエル・ナダル(スペイン)、2位のロジャー・フェデラー(スイス)もいない決勝戦の舞台となった。

ゴファンは準決勝でこれまで6戦全敗だったフェデラーに初勝利しての決勝戦への進出となった一方で、ディミトロフもラウンドロビン(総当たり予選)を全勝で突破。「ATPファイナルズ」直前の「ロレックス・パリ・マスターズ」で優勝し勢いに乗っていたジャック・ソック(アメリカ)との準決勝を制して優勝者の決定戦へ乗り込んできた。◇   ◇   ◇

試合は出だしから激しく競り合いながらスタートした。ゴファンが最初のゲームで、攻勢に出る。ディミトロフのサービスに対して、センター気味へのサービスをバックハンドで、ディミトロフのアドコートに返球。対する、ディミトロフがバックハンドのスライスで逆クロスに展開したところを、フォアハンドに回り込み、ストレートに打ち込んで、第1ポイントを取得する。

ゴファンはさらにデュースに持ち込むと、ラリーで深いボールを放ち優位に立つと、ディミトロフはたまらずアウト。ゴファンのアドバンテージとなる。次のポイントでは、アドコートでのリターンを逆クロスに鋭く打ち込み、リターンエースで、ゴファンがブレークをものにした。

ただ、ディミトロフはその後、競り合う展開に持ち込む。ディミトロフは、ゴファンの早い展開を凌いで、ブレークバックに成功。1-1のタイに戻す。続く第3ゲームは、ゴファンが再びブレークし、1ブレークのリードを確保した。

両選手ともに、その後はキープを続け、ゴファンが優位を確かなものにしたように見えるが、ディミトロフがじわじわと追い上げを見せる。

ディミトロフは、3-4で迎えた第8ゲームのリターンで、粘りを見せ始める。ゴファンが、ディミトロフのスライスに対して、展開を図るも、ミスを重ねてしまう。加えて、ダブルフォルトのラッキーなポイントも重なり、ディミトロフがブレークを達成して、タイに戻す。

さらに、6-5のディミトロフがリードして迎えた第12ゲーム。第1セットの結果が左右される。ゴファンのサービスゲームとなった同ゲームで、ディミトロフは、リターンポイントや、ラリーからのゴファンのミスでリードを作り出す。さらに、15-30から、ゴファンを左右に動かすラリーで得点し、2ブレークポイントを握る。ゴファンはいったんはデュースに持ち込むものの、ディミトロフが、5度目のセットポイントでようやくブレーク。第1セットを手にした。

■ネットプレーや得意の展開のラリーでゴファンが巻き返し

第2セットは、ゴファンが巻き返しを図る展開。さらにセットを落とすと、負けてしまうゴファンが、接戦を繰り広げながら、ディミトロフの隙をうかがう格好となった。

ブレークし合って開始した1セット目とはうってかわり、お互いにキープして向かえる。第6ゲームでは、ゴファンがサービスゲームで、30-40のブレークポイントのピンチを迎える。

同ポイントで、ゴファンは、得意の早い展開からのラリーに入る。対するディミトロフはスライスで、ダウンザライン、逆クロスににくる打球のペースを落としながらしのぐ。しかし、ゴファンが逆クロスのラリーの中でスライスをアングルに落とすと、ディミトロフは回りこんでフォアのスピンで返球。その高く跳ねたボールをゴファンは、アングルに微妙な判定となるバックハンドを打ち込む。

判定はインだったものの、ディミトロフがチャレンジ権を行使。しかし判定はオンラインとなり、ゴファンが大きなポイントを拾った形になった。ゴファンはそのままサービスをキープし、大きな山場のひとつを乗り越えた。

続く、第7ゲームに、試合が動く。ゴファンが早い展開から、逆クロスへエースを狙う。ディミトロフのダブルフォルトなどの後に迎えた、30オールからの第5ポイントでは、ゴファンがフォアに振られるがダウンザラインに返すと、ディミトロフのスライスが短くなると、ゴファンはすかさず、回り込んで逆クロスに流し込み、エース。2ブレークポイントを握る。さらに、ラリーから、ダウンザラインにフォアを打ち込んでブレークを達成した。虎視眈々と狙っていたチャンスをものにした形だ。

ゴファンはその後、サービスゲームをがっちりキープして、2セット目を取り返した。

■ディミトロフが1ブレークアップを守りきり、タイトルを獲得

ディミトロフとゴファンはともに、1-1のタイで迎えたファイナルセットとなり、いよいよタイトルの行方を決める場面に試合も突入する。

最終セットの1ゲーム目は、ゴファンが攻勢をかけてディミトロフのサービスのブレークを図る。が、5回のデュースの末、ディミトロフはなんとかキープすると、両者ともにキープしあう展開に。

その中で、ディミトロフが3-2でリードして迎えた第6ゲームが、勝敗の行方を左右する展開に。

ディミトロフはゴファンが得意とするラリー戦で、バックハンドのミスや、スライスを打った際に、ネットをとられて、ポイントを奪われるなど決して良くはない展開。ゴファンが30-0とリードする。

しかし、ディミトロフは、ゴファンのダブルフォルトや長いラリーに入った際のゴファンのミスに助けられるなど、30-40でのブレークポイントを握る。同ポイントでは、ブレークを逃すものの、ディミトロフが2度のゴファンのアドバンテージを潜りぬけると、3度目のデュースを迎え、ゴファンのネットミスで、アドバンテージを迎える。

ディミトロフはここで、ゴファンのアドコートでのセカンドサービスを回りこんで逆クロスへリターン。ゴファンはすかさずストレートに展開するが、ディミトロフはデュースコートからストレートにフォアで打ち込むと、ゴファンがバックでのダウンザラインをアウト。ディミトロフが決定的なブレークに成功する。

ディミトロフはその後、サービスゲームを譲らない。ゴファンもサービスのキープをなんとか続けるものの、1ブレークリードをディミトロフが守りきって、「ATPファイナルズ」のタイトル獲得を決定付けた。(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATPファイナルズ」で優勝し、トロフィーを掲げるグリゴール・ディミトロフ

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)