気候危機を引き起こす企業を冬季オリンピック(五輪)で宣伝してもよいのか――。6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリン…
気候危機を引き起こす企業を冬季オリンピック(五輪)で宣伝してもよいのか――。6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックを前に、五輪メダリストを含むアスリートら2万人以上が署名した請願書が、国際オリンピック委員会(IOC)に出された。4日、AP通信が報じた。冬季スポーツの競技会で化石燃料企業をスポンサーとして受け入れることの妥当性を評価した報告書を出すよう要求している。
気候変動の影響による気温上昇や雪不足などで、ウィンタースポーツを楽しむことが難しくなっている。米研究機関クライメート・セントラルによると、今回アルペンスキー女子やそり競技が行われるイタリア北東部のコルティナダンペッツォは1956年の前回開催以降、2月の平均気温は3.6度上昇。積雪も71~2019年に15センチ減ったという。
今回の五輪では東京ドームの体積の1.3倍の約160万立方メートルの人工雪が用意されたと報道されている。アルプスでは雪不足で閉鎖するスキー場が出てきた。
気候変動の主な原因は、化石燃料を燃やすことにより、二酸化炭素などの温室効果ガスが大量に出ることだ。
一方で、ミラノ・コルティナ五輪の主要スポンサーにはイタリアの石油・ガス大手ENIがついている。昨年のノルディックスキー世界選手権では、ノルウェーの石油・ガス企業エクイノールがスポンサーだった。ENIは昨年12月、「ミラノ五輪に電力を供給する燃料の90%以上は、(バイオ燃料などの)再生可能原料由来となる」と公表している。
請願書にはすでに、フリースタイルスキーのアレックス・ホール選手(米、北京大会で金)や、オーステン・ブラーテン選手(ノルウェー、平昌大会で金)らが署名している。
IOCや国際スキー・スノーボード連盟(FIS)に対して、化石燃料企業を宣伝することの環境への影響▽化石燃料企業を宣伝することの健康への影響▽こうしたスポンサーシップが化石燃料会社と気候変動に対する一般の人の認識に与える影響――などを明らかにするよう要求。「化石燃料の生産・消費がもたらす深刻な気候変動と健康被害を考慮すれば、こうした契約の倫理的課題を問う時が来ている」とも指摘している。(編集委員・香取啓介)