【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって…
【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)
◆2番人気から6番人気くらいまでの馬が好成績を収めている
AIマスターM(以下、M) 先週は根岸Sが行われ、単勝オッズ13.2倍(6番人気)のロードフォンスが優勝を果たしました。
伊吹 恐れ入りましたと言うほかありません。素晴らしいスタートを決めて流れに乗り、行きたい馬を先に行かせる形で道中は先団のインコースを追走。ハナを切ったウェイワードアクト(7着)のすぐ後ろでレースを進め、ゴール前の直線に入っています。ウェイワードアクト、マテンロウコマンド(11着)、エンペラーワケア(6着)の3頭が壁になっていたこともあり、残り200m地点の手前まで追い出せなかったのですが、そこからエンペラーワケアの外に持ち出して加速し、決勝線の手前で単独先頭に。後方から伸びたバトルクライ(2着)らが最後の最後に迫ったものの、セーフティリードを保ったまま入線しました。近年の根岸Sは内枠不利で、2022年から2025年の過去4回に限ると、馬番が1番から5番の馬は[0-0-0-20](3着内率0.0%)と3着以内なし。今回も内枠がプラスに働くような流れではありませんでしたし、着差以上に高く評価できる内容だったのではないでしょうか。
M ロードフォンスは昨年のかきつばた記念に続く自身2度目のダートグレード競走制覇。5走前の根岸Sで2着に、3走前のかしわ記念で優勝馬シャマルと0.2秒差の4着に健闘した実績もあった馬です。
伊吹 直近の2戦も、グリーンチャンネルCが3着馬と0.1秒差の4着、武蔵野Sが2着馬とタイム差なしの5着。それぞれ勝ち馬にはかなり離されてしまいましたが、大きく崩れたわけではありません。正直なところ、私はもう少し支持が集まると思っていましたから、この馬を信じて的中させた方にとっては妙味ある配当だったはず。いろいろな意味でイメージと異なる決着だったので、その原因をしっかり分析し、来年の根岸S展望に活かしていきたいと思います。
M ロードフォンスはこの勝利によってフェブラリーSへの優先出走権を獲得。また、ドバイGSにも登録されており、報道によると次走は検討中とのことでした。
伊吹 デビュー当初から1400mのレースを主戦場としてきたこともあって、1600mのレースは3戦して3着以内なし、1200mのレースは出走経験なし。陣営にとっては悩ましい選択となりそうですね。もっとも、今回のパフォーマンスを見る限り、能力の高さは現役屈指のレベルにあると見て良さそう。フェブラリーSやドバイGSを使うとしても、1400m向きという先入観にとらわれず、オッズなども考慮したうえで慎重に取捨を判断しましょう。
M 今週の日曜東京メインレースは、安田記念と同じ舞台で争われる注目の古馬重賞、東京新聞杯。昨年は単勝オッズ7.4倍(3番人気)のウォーターリヒトが優勝を果たしました。ちなみに、その2025年は単勝オッズ4.4倍(2番人気)のボンドガールが2着、単勝オッズ257.0倍(16番人気)のメイショウチタンが3着という結果で、3連単81万6870円の高額配当が飛び出しています。
伊吹 過去10年の東京新聞杯における3連単の配当を振り返ってみると、平均値は22万8357円、中央値は8万5730円。20万円以上だった年が4回ある一方で、3万円未満の年も4回ありましたから、両極端な決着になりやすいレースと言って良さそうです。
M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気馬の3着内率はわずか3割。ただし、7番人気以下で馬券に絡んだ馬は5頭しかいません。
伊吹 ちなみに、単勝7番人気から単勝12番人気の馬は2016年以降[1-1-2-54](3着内率6.9%)、単勝13番人気以下の馬は2016年以降[0-0-1-31](3着内率3.1%)でした。昨年のメイショウチタンは例外的な存在で、基本的には上位人気馬や中位人気馬の活躍が目立っているレースですから、この点を踏まえたうえで買い目を組み立てていくべきでしょう。
M そんな東京新聞杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、レッドモンレーヴです。
伊吹 興味深いところを挙げてきましたね。実績上位ではありますが、今回は超人気薄の立場でレースを迎えることになりそう。
M レッドモンレーヴは7歳馬。2023年の京王杯SCを勝っているうえ、前走のオーロCでも優勝馬フォーチュンタイムとクビ差の2着に好走しています。もっとも、重賞で馬券に絡んだのは2024年の京王杯SC(2着)が最後。今回の条件で積極的に狙おうと考えている方は、それほど多くないかもしれません。
伊吹 東京芝1600mのレースはこれまでのところ9戦して2勝、4連対。東京芝1400mのレースを主戦場としてきたイメージもありますが、2023年の富士Sで2着に食い込むなど、このコースにも十分な実績がある馬です。好走を果たした直後であるにもかかわらず人気を落としそうな今回は、絶好の狙い時なのかも。Aiエスケープがそう考えていそうなことを踏まえたうえで、レースの傾向とこの馬のプロフィールを見比べていきたいと思います。
M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりでしょう?
伊吹 まずは各馬の近走成績をひと通りチェックしておきたいところ。2022年以降の3着以内馬12頭中9頭は、前年に東京か新潟のレースを勝っている馬でした。
M なるほど。左回りや東日本のレースにおける実績が重要なのかもしれませんね。
伊吹 余談ながら、“前年以降の、東京・新潟のレース”において1着となった経験がなかったにもかかわらず3着以内となった3頭は、いずれも前年の秋華賞で2着に好走していた4歳馬です。前出の条件をクリアしていない5歳以上馬は、思い切って評価を下げた方が良いと思います。
M レッドモンレーヴは2023年の京王杯SCを最後に優勝から遠ざかっている馬。東京のレースに十分な実績があるとはいえ、この傾向からは強調しづらい一頭と言えるでしょう。
伊吹 あとは臨戦過程や血統も見逃せないファクター。前走の距離が1600m超だった馬は2022年以降[2-3-1-5](3着内率54.5%)と堅実でした。一方、前走の距離が1600m以下だったにもかかわらず3着以内となった馬の大半は、父がサンデーサイレンス系種牡馬でもミスタープロスペクター系種牡馬でもない馬です。
M こちらもはっきりと明暗が分かれていますね。
伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている馬がかなり多いので、しっかり確認しておきましょう。
M 前走の距離が1400m、父がキングカメハメハ系に属するロードカナロアですから、レッドモンレーヴも引っ掛かっている側の一頭。過信禁物と見ておいた方が良いのかもしれません。
伊吹 さらに、同じく2022年以降の3着以内馬12頭中7頭は4歳勢でした。
M 基本的には若い馬が中心、と。
伊吹 ちなみに、馬齢が5歳以上、かつ“前年以降の、JRAのレース”において“着順が1着、かつ4コーナー通過順が2番手以内”となった経験のない馬は、2022年以降[1-0-0-26](3着内率3.7%)。4歳馬や先行力の高い馬が優勢と言えそうです。
M レッドモンレーヴはこの条件もクリアできていない馬。上位に食い込む可能性は低いと考えるべきなのでしょうか。
伊吹 一応、私は他の馬を連軸にするつもりでした。ただ、今年は特別登録を行った馬の大半が何らかの不安要素を抱えていて、これらの傾向だけを基に買い目を組み立てるわけにはいきません。レッドモンレーヴの戦績や予想されるオッズを考えると、穴党にとっては魅力的な存在。そのうえAiエスケープが有力と見ているわけですから、シンプルにこの馬から買ってみるのもひとつの手だと思います。