昨年6月に日本代表デビューしたMF佐野航大(22=NECナイメヘン)がこのほど、日刊スポーツの単独インタビューに応じた。…
昨年6月に日本代表デビューしたMF佐野航大(22=NECナイメヘン)がこのほど、日刊スポーツの単独インタビューに応じた。オランダ生活3季目。中盤で不動の地位を確立し、先月31日のAZ戦ではスーパーミドルを突き刺した。現地でも時の人。獲得打診も殺到した日本の新星だが、残留を決断し、主力として成長する。代表では「2列目で勝負したい」覚悟も秘め、開幕が6月に迫るW杯北中米大会への思いも語った。【取材・構成=佐藤成】
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その目に、言葉に、表情に、充実感が宿っていた。佐野はオランダ1部で今季20試合3得点4アシスト。現地で移籍金2000万ユーロ(36億円)まで高騰、と報じられるなど、欧州市場で存在感が日に日に高まる。
「感覚的には、すごくいい。プレシーズンからしっかりコンディションを整えて、フィジカル的にもしっかり取り組んできて、それが試合に表れているなと感じる。オランダで積み上げたものが試合に出ている」
これまでは、器用さゆえにポジションが定まらないこともあった。中盤の底からサイド、時にはセンターバックで起用されたこともある。今季はボランチに定着して欧州でも開花。攻守で重要な役割を任される。
「いろいろなポジションできる強みはあったけど『自分のポジション』を定めてやりたいと思っていた。今、できている。このまま継続してやっていきたい」
目標は「点が取れるボランチ」だ。理想は、高い。
「得点、アシスト、さらにゴールの起点になるパスが自分の特長、と自信を持っている。チャンスクリエイトを、もっともっと増やしていけると思っている」
22歳にして欧州3季目の躍進を支えるのは、フィジカル面の進化だという。体幹の強さ、足腰の使い方は兄の海舟(マインツ)を「すごい」と参考にしつつ、自身は攻撃センスを光らせていた。ただ、どちらも必要と体感させられるオランダ生活。開幕前から下半身を鍛え「課題だった」という球際で強さが出てきた。
「チームのトレーナーはじめ、いろいろ話しながらやっているところ。トレーニングの中で回数を多くしたり、重量を上げたり。例年に比べて増やしている」
昨夏のシーズン序盤はまだ変化を感じなかったが、積み上げの効果を実感する年末年始を挟んだ活躍。1月末AZ戦の、今季ベストゴールに選ばれてもおかしくないミドルのように、シュートも力強さを増した。
「守備でも、試合中に強度も出せるようになってきた。前なら『行かれた』と思った時でも、ついていけたり。2、3カ月やってきたことが少しずつ出てきたかな、というイメージ。冬前くらいから感じている」
日本代表も、強く意識している。昨年6月のW杯北中米大会アジア最終予選で初選出。インドネシア戦でデビューを飾った。9月には、常連組もそろった米国遠征メンバーに追加招集で初融合。飛躍的な成長を遂げる中で、開幕が迫る本大会は射程圏に入れている。
「選ぶ、選ばないは森保監督が決めること。そこまでに自分ができることは、呼んでもらえるようなプレーをし続けるだけなので」
伸び盛りのパリ五輪世代は、史上最強と称される日本代表の激しいメンバー争いに割って入る実力、資格をオランダで磨きつつ、イメージも思い描いている。
「得点に絡むところで勝負したい。そこで代表にも貢献したい。最も競争が激しい2列目(トップ下2枚=シャドー)に挑めれば。W杯は自分の『初めての夢』。だから、幼い頃からサッカーを続けられてきた。自分の目の前にもあることがワクワクするし、もっともっと頑張ろうと思える」
W杯イヤー。世界を驚かせる準備を、重ねていく。
◆佐野航大(さの・こうだい)2003年(平15)9月25日、岡山県生まれ。米子北(鳥取)で1年冬から背番号10を託され、3季連続で全国高校選手権大会に出場。22年から当時J2の岡山に加入。ルーキーで出番をつかみ、23年夏にNECへ移籍。23年にU-20W杯アルゼンチン大会出場。24年パリ五輪はバックアップメンバーもクラブ事情で出場辞退。25年W杯アジア最終予選インドネシア戦でA代表デビュー。176センチ。68キロ。兄の海舟も日本代表。