クリタウォーターガッシュ昭島のパパセーア・マテラウ選手(WG昭島)(文:大友信…

クリタウォーターガッシュ昭島のパパセーア・マテラウ選手(©WG昭島)
(文:大友信彦)
リーグワン最年少トライ記録が更新された。
1月17日に行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2025-26・D3のWG昭島―狭山RG戦で、WG昭島のNo8パパセーア・マテラウは前半30分にトライをあげた。
マテラウは2006年6月8日、アメリカ生まれで今季加入した19歳。この時点で19歳7カ月9日。これはリーグワン最年少トライ記録だった。
「トライを決めた時の感覚は、とてもエキサイティングでした。自分がトライを取れるとは思っていませんでしたから」
マテラウは両親がトンガ生まれの移民で、自身はユタ州ソルトレークシティで生まれた。10歳でラグビーを始め、メジャーリーグラグビーのユタ・ウォリアーズでのプレーを経て今季、WG昭島入りした。
トライを決めたときの感想を尋ねると、マテラウは笑顔で振り返った。
「リーグワンはとてもレベルが高いしクリーンで安全ですね。アメリカのメジャーリーグラグビーはもっと荒っぽかった(笑)。今はチームメイトがみんな親切でサポートしてくれるから助かっています」
リーグワンのこれまでの最年少トライ記録は、リーグワンが産声をあげた2022シーズンの開幕節、1月8日に生まれていた。BL東京vs東京SG戦でトライをあげたのは、この年流経大柏高から入団して1年目のワーナー・ディアンズ、年齢は19歳8カ月28日だった。異例なことに、ディアンズはリーグワンデビューに先立つ2021年11月13日、日本代表で初キャップを獲得している。
東芝ブレイブルーパス東京のワーナー・ディアンズ選手(©NOBUHIKO OTOMO)
今回のマテラウは、そんな偉大な記録を塗り替えたわけだ。
「それを知らされたときは、そんな記録があるなんて、面白いなと思いました」
日本ではトップリーグ時代からリーグワンを通じ、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカという南半球の強豪国、トンガ、フィジー、サモアという南太平洋諸国からやってくる選手が多かったが、マテラウの今回の記録更新は、チーム数拡大とともに選手の出身国が広がっていることの象徴かもしれない。
もっとも、マテラウが更新したことでディアンズの大記録が消え去ったわけではない。D1の最年少記録というだけではない。ディアンズは最年少トライを記録した同じ試合で、もう1本トライを決めていた。つまり、リーグワンにおける「1試合複数トライ」の最年少記録は今もディアンズが保持しているのだ。
ちなみに、ディアンズが更新した、リーグワンの前身・ジャパンラグビー トップリーグ時代の最年少トライ記録はその2年前に生まれていた。RWC2019の興奮冷めやらぬ中で開幕したトップリーグ2020シーズン、宗像サニックスブルースのSH藤井達哉(現GR東葛)がNTTドコモレッドハリケーンズ戦で、19歳10カ月10日でトライを記録しているのだ。
なお、今季はD2の最年少トライ記録も塗り替えられている。S愛知の高島來亜は12月21日のRH大阪戦でリーグワン初のトライをあげたが、この時点で年齢は20歳8カ月28日。従来のD2最年少トライ記録は昨年3月、江東BSのエッセンドン・トゥイトゥポウが達成した21歳3カ月1日だったから、6カ月ほど更新したわけだ。高島は東海大仰星高から加入したルーキーイヤーの2023年12月、開幕戦の釜石SW戦でSHとして67分から途中出場。これはトップリーグ時代を含めたリーグ戦最年少出場記録(18歳8カ月17日)だった。その後はなかなか出場機会を得られなかったが、今季はWTBとの二刀流に挑戦し、ジャパンラグビー リーグワンライジング2025では静岡BR戦、三重H戦と2戦連続でPOTMを受賞するなど再ブレイク。
そして開幕第2節RH大阪戦のトライで、年少トライ部門でもランク入りを果たし(トップリーグ/リーグワン全体ではマテラウの記録も含め現在12位)、第5節の日野RD戦では1試合4トライの固め打ち。D2のトライランキングでも2位にランクアップし、最年少トライ王さえ狙う勢いだ。
豊田自動織機シャトルズ愛知の高島來亜選手(©NOBUHIKO OTOMO)
一方で、年長トライも上位に食い込む記録が生まれている。九州KVのWTB早田健二は1月24日、D2第4節の東葛GR戦の後半5分にトライ。早田はトップリーグ/トップキュウシュウの九州電力時代からキューデンヴォルテクス一筋の社員選手、今季で加入16年目のベテランだが、リーグワンでのトライはこれが初めて。トライが記録された日の38歳7カ月29日は、トップリーグ時代の小野澤宏時さんの38歳6カ月18日を抜き、トップリーグ/リーグワン通算の年長トライランキング8位に食い込む年長記録だった。
年長記録が年少記録と異なるのは、同じ選手が自己記録を更新し続けることが可能なところだ。現在、歴代年長トライのランキングには2位に安江祥光(相模原DBから今季S東京ベイへ移籍)、3位に山田章仁(九州KV)、5位にシアレ・ピウタウ(江東BS)という現役勢が顔を並べている。16位には日和佐篤(神戸S)の名も見つかる。史上初・通算200試合出場の金字塔を達成した山下裕史(神戸S)も40歳で試合出場を続けており、いつトライをとってもおかしくない。40歳でトライをあげればトップリーグ時代の松田努さん、リーグワンになってからは昨季の安江祥光に続く3人目だ。
若さの躍動にはワクワクする。新たな才能を発見するのはスポーツ観戦の大きな愉しみである一方で、酸いも甘いも知り尽くしたベテランの踏ん張り、経験に裏打ちされた頑張りもまた、胸を熱くさせてくれる。NTTリーグワン2025-26はそろそろ中盤戦、各チームとも負傷者やプレータイムの長い選手の調整等で、序盤戦は出番の少なかった選手が出てくる時期だ。出場記録も含め、年齢にまつわる記録はまだまだ生まれるだろう。注目していきたい。