2025年11月のプロテストを1位で通過した伊藤愛華。埼玉栄高に通う現役女子高校生プロの18歳がルーキーイヤーを前に、…

プロテスト1位合格の伊藤愛華にルーキーシーズンへの意気込みを聞いた

2025年11月のプロテストを1位で通過した伊藤愛華。埼玉栄高に通う現役女子高校生プロの18歳がルーキーイヤーを前に、これまでとこれからを単独インタビューで赤裸々に語った。(取材構成/編集部・玉木充)

有名になりたい

有名になること、を目標に掲げる。昨年12月の新人戦は2位に入り、QTファイナルステージ(最終予選会)を16位で終えて、ルーキーシーズンはツアー前半戦(第15戦ニチレイレディス後の第1回リランキングまで)で、3月の第2戦「台湾ホンハイレディース」(特別公認競技)を除く出場権を獲得。この1月には明治安田と所属契約を結ぶなど、注目度も高まってきた。

「有名になるってことは影響力を持つということ。有名になりたい理由はいろんな人に良い影響を与えられるから。テストに受かった時は全く自覚がなかったですが、だんだん周りからプロと呼ばれて自覚も出てきた」

辞めたかったゴルフ

辞めたかったゴルフ

父・政人さんの影響で4歳から始めたゴルフ。一番古い記憶は小学校低学年の夏休みに両親、妹、父方の祖父母の6人で、千成ゴルフクラブ(栃木県)で行ったゴルフ合宿だ。そこから順風満帆にプロへの道を進んできたかと思いきや、小学5年生までは嫌々競技に取り組んでいた。

「自分の中でも辞める決断ができなかった。両親から『辞めればいいやん』って毎日のように言われて、言い争いをしていた。こっちは辞めたいけど辞めないって言っていた。辞めてもほかにやることがない。でも小学5年生のときに本当に辞めようとして父と母に止められて…」

「『辞めるのは簡単だからもうちょっとやってみれば』と。それ以降は試合の結果で嫌だなと思うことはあったが、辞めたい思いはなくなった。毎日練習するようになったのが小学6年以降。高1、高2はただ先輩に負けたくない、後輩に恥をかきたくない気持ちでやっていた」

100人をまとめるキャプテン

埼玉栄高ゴルフ部ではキャプテン

今平周吾渡邉彩香岩井明愛岩井千怜菅沼菜々ら多くのプロゴルファーを輩出した名門・埼玉栄高ゴルフ部では、2年時の9月から1年間キャプテンを務めた。男女約100人の大所帯を持ち前のリーダーシップで男子のキャプテンとともにまとめ上げ、後輩からは親しみを込めて“姉さん”(ねえさん)の愛称で呼ばれた。

「先生と前のキャプテンが話し合って、次に誰がキャプテンをするか決める。ゴルフ部に入った時から自分がなるだろうなっていうのは分かっていた。一番うまかったから。キャプテンをやりたくて入っていたし、かっこいいじゃないですか。絶対になりたい。一番上がいい。誰かについていくのが苦手。指示されるのも苦手」

「いざなると、ちゃんとやらないといけない。キャプテンは成績で引っ張っていかないといけないプレッシャーもあった。私の中ではだからこそ、チームの中で一番うまくありたいと思ってやっていたし、一番うまくないといけない。モチベーションになっていた」

メンタルトレーニング

メンタルトレーニングにも取り組んできた

高校に入学するタイミングからメンタルトレーニングに取り組み始め、プロテスト一発合格につなげた。

「しばらくやっていなかったが、プロテストのタイミングで再開した。きっかけは技術だけじゃなくてメンタルが大事だと分かっていたので。プロテストは桁違いに緊張すると思った。1次、2次、ファイナルの前に先生と1対1で話す。思っていること、悩んでいることを話す。メンタルの考え方を教わる」

「最初に始めた時は半信半疑だったけど。ファイナルの前は自分が受かる気が全くしない…と不安なことを話した。その先生からは『プロになる人はなる』と言われて。ファイナルの時はそういうことを言われた。そのおかげでなるようになる、じゃ、自分はなるなと思った。ポジティブな考えができた。それまでは自信もなかったし、不安が勝っていた」

五輪への思い

2021年の東京五輪をテレビで観戦した。銀メダルを獲得した稲見萌寧ら、日の丸を背負い、国のプライドをかけて戦う選手たちの姿に心を奪われた。2028年のロサンゼルス五輪ゴルフ競技はカリフォルニア州のリビエラCCで開催される。

「ゴルフ競技ももちろん見ましたが、開会式を見て感動しました。選手の入場を見てかっこいいなと。自分もこういう場に出て、自分の味わった感動をジュニアに感じてもらいたいと思った。ひとつの目標の中にある。半端な気持ちじゃ絶対に無理だと思うんですが、目標にあります」

ルーキーシーズンの課題

ドライバーには自信がある

2024年にプロテストトップ合格を果たした寺岡沙弥香のルーキーシーズンの年間ランキングは54位。23年の清本美波は159位、22年の神谷そらは19位だった。師事する重田栄作コーチの指導もあり、高校入学からスコアアプリやゴルフノートで調子を管理する。

「今、苦手意識があるのがグリーン周りのアプローチ。ドライバーショットとパターには自信がある。去年はパターに助けられた1年。ドライバーの飛距離は平均250ydぐらい。憧れている特定の女子プロはいないが、レギュラーツアーに出場しているトッププロの方たちはすごいと思う」

「試合が終わってその日できたこと、できなかったこととか、必要なことはノートに書きます。1ラウンドで小さめのノートの両面が埋まるぐらい。これを伸ばしたらスコアが伸びそうとか、何ができてなかったとか、何が必要かが分かる」

2026年シーズン開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」(3月5日~、沖縄・琉球GC)は、初日が高校の卒業式と重なってしまった。同級生とは遠く離れた沖縄で社会人として、プロとしての第一歩を踏み出す。

「プロになって開幕から出るのは目標にしていたひとつ。すごくうれしい。デビュー戦で予選落ちはしたくない。最低でも予選は通過して、良ければトップ争いして良いスタートダッシュをできるようにしたい」

クラブ選びのこだわり

ブリヂストンと契約する

競技に真剣に取り組むようになった中学生の頃からブリヂストンを愛用する。

「ショットの正確性や音が好き。クラブは新しいものが出た時にテストして良かったから替えるけど、基本はあまり替えない。振った直感で選んできた。ショットが悪くなっても自分のスイングが原因だと思っている」

伊藤愛華の使用クラブ>

ドライバー:ブリヂストン BX1 LS(9度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD FI(50g台/硬さS)
グリップ:ウェルミックス

フェアウェイウッド:ブリヂストン BX1ST(3番15度、5番18度)
シャフト:グラファイトデザイン Tour AD UB(50g台/硬さS)

ユーティリティ:ブリヂストン BX1ST HY(3番19度、4番22度)
シャフト:トゥルーテンパー スチールファイバー i70(硬さS)

アイアン:ブリヂストン 241CB(6番~PW)
シャフト:トゥルーテンパー スチールファイバー i70 CW(硬さS)

ウェッジ:ブリヂストン BITING SPIN(50度、54度、58度)
シャフト:トゥルーテンパー スチールファイバー ウェッジシャフト

パター:オデッセイ Ai-ONE MILLED TRI-BEAM DOUBLE WIDE T

ボール:ブリヂストン TOUR B X

3人目の高校生1位合格

高校3年での受験が可能になった2019年以降のプロテストで“現役高校生1位合格”を果たしたのは21年の尾関彩美悠、23年の清本に次いで3人目。フレッシュなパフォーマンスに期待が集まる。

<現役高校生プロテスト合格者>
2019年/6位・山下美夢有、18位・西郷真央笹生優花
2021年/1位・尾関彩美悠、4位・佐藤心結、5位・竹田麗央、12位・川崎春花小林夢果櫻井心那
2022年/4位・藤井美羽
2023年/1位・清本美波、2位・馬場咲希、5位・村田歩香菅楓華上久保実咲
2024年/11位・福田萌維、12位・加藤麗奈
2025年/1位・伊藤愛華、5位・田村萌来美、9位・吉崎マーナ
※2020年プロテストはコロナ禍のため2021年6月に実施