2026年冬の欧州主要リーグの移籍市場が2日、閉幕した。期限最終日には、日本人選手ではチェコ1部スラビアプラハのDF橋…

 2026年冬の欧州主要リーグの移籍市場が2日、閉幕した。期限最終日には、日本人選手ではチェコ1部スラビアプラハのDF橋岡大樹(26)が、ベルギー1部ヘントへと期限付き移籍。しかし欧州内でも大きな話題となったNECのMF佐野航大(22)は、アヤックスから1500万ユーロ(約27億5000万円)のオファーが届くなど、さまざまなクラブが獲得を目指したが、移籍は実現しなかった。

 今季、オランダリーグで3得点4アシストの佐野は、年齢的な伸びしろもあり、欧州内で高い評価を集めた。それでも移籍が実現しなかった背景には、NECが来季の欧州CL出場権を狙える位置にいる、という点がある。選手移籍に精通するエージェントは「NECは欧州CL出場権を取れば、巨額の資金が舞い込んでくる。特にそのライバルとなっているアヤックスに、主力を渡すということには抵抗があったのでは」と推察する。

 現在、オランダ1部ではNECが3位、アヤックスは勝ち点で並ぶ4位と、3位以内のCL出場圏を争う。NECは今冬、すでにFW塩貝健人(20)をドイツ1部ヴォルフスブルクに売却していたこともあり、これ以上の戦力ダウンを避けたと言える。CL出場を果たせば、30億円を超える資金がクラブにもたらされることもあり、高額オファーにも応じなかったと見る。

 また日本人若手が、高い評価を受けた点も特徴だ。NECからヴォルフスブルクへと加入した20歳FW塩貝の違約金は900万ユーロ(約16億5000万円)。またスウェーデン1部ユールゴーデンのDF小杉啓太(20)が650万ユーロ(約12億円)の違約金をつけるなど、日本代表歴のない選手たちが潜在能力を買われた。またJリーグからもJ1水戸(昨季はJ2)からFW斉藤俊輔からベルギー1部ウェステルロー、J2大宮DF市原吏音(20)がオランダ1部AZ、J2鳥栖FW新川志音(18)がシントトロイデン、J3熊本FW神代慶人(18)がフランクフルトへ移籍。ここで挙げた6人のうち、塩貝と小杉はJでプレーしておらず、全員がJ1でのプレー経験はなし。かつてのようにJ1で活躍してから欧州へ、という時代からは大きな変化だ。

 一方で日本代表の主力クラスに動きはなかった。リバプールMF遠藤航(32)やスポルティングMF守田英正(30)にはアヤックス、アヤックスDF板倉滉(28)にはヴォルフスブルグがオファー。またリーズで途中出場が続いているMF田中碧(27)も人気銘柄で、同じくプレミアのサンダーランドなど、数々のクラブが獲得への動きを見せた。しかし戦力として評価するクラブが放出に応じなかった点に加え、各選手とも来年6月にW杯を控え、無理にでも移籍、という状況ではなかったこともうかがえる。

 他にもJリーグからは、福岡DF安藤智哉(27)と京都FW原大智(26)がドイツ1部ザンクトパウリへ、神戸FW宮代大聖(25)がスペイン2部ラスパルマスへ、広島からMF田中聡(23)がドイツ2部デュッセルドルフへと渡った。W杯の日本代表メンバー入りを狙う代表歴のある選手たちが、新たな挑戦に踏み出した。今冬、国内ではシーズン移行の関係で移籍数がJ1で前年比約15パーセントほど減少したが、欧州への移籍は25年の11人と比較し、今冬は12人とほぼ同等だった。

 欧州での評価軸の変化により、日本のタレントはますます早い段階から世界に挑戦し、さらに20代中盤でもJで実績を残せば欧州移籍は可能な時代へと移り変わっている。来年のW杯、そしてその先の世代交代を見据えれば、この流れは決して一過性ではないだろう。日本人選手の“価値”がどう変わっていくか。その答えは、今まさに欧州のピッチの上で示されようとしている。(サッカー担当・金川誉)