◆第66回きさらぎ賞・G3(2月8日、京都競馬場・芝1800メートル) 大きく歴史を塗り替える。エムズビギンは24年のセ…
◆第66回きさらぎ賞・G3(2月8日、京都競馬場・芝1800メートル)
大きく歴史を塗り替える。エムズビギンは24年のセレクト1歳セールで国内史上2位の5億9000万円で落札。今まで重賞勝ち馬のセリ最高落札額記録は2億5000万円だが、今回勝てば2倍以上も上回ることになる。「体はそう変わっていないけど、走りのバランスは良くなっています」と友道調教師。一戦ごとに伝わる成長が頼もしい。
母は欧州G1で2着が2度あり、祖母も欧州G1勝ち馬。昨年のシンザン記念を勝ったリラエンブレムを兄に持つキタサンブラック産駒に、友道師はセリの下見の段階から目を奪われていた。「顔が賢そうで、背中のシルエットが良かった。大きいけど、無駄肉がついていなかったからね。あのセリの中では1番だったと思う」と振り返る。
しかし、育成時にアクシデントもあり、緩やかだった成長曲線。ゲート試験を受けた夏の北海道では幼い体つきでハミも取らなかったが、栗東へ入った秋に成長を遂げていた。「前進気勢が出て、動けるようになっていました」と大江助手。デビューから2戦ともに出遅れながらも、2戦目で楽々と2着に2馬身半差の初勝利を挙げた。粗削りなレース運びが、逆にスケールの大きさを感じさせる。
友道師にとって、5・9億円という高額に達したのは驚きだった。しかし、託された責任の重さを感じながら、胸の中で強くなる思いがある。「これだけの額を競走生活で稼ぐことは大変。何とか種馬にできれば、と思いますよね」。話題性だけではなく、自らの走りで注目される存在へ―。エムズビギンの物語がもうすぐ始まる。
(山本 武志)