NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン3 第5節2026…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第5節
2026年1月31日(土)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 17-40 マツダスカイアクティブズ広島
29歳の初キャップ。長い助走の先に刻んだ、白紙の物語の一行目

後半21分から出場したルリーロ福岡のフッカー、内山友貴選手(写真中央)
ようやく、その時が来た──。ルリーロ福岡(以下、LR福岡)加入2年目の内山友貴がリーグワン初キャップを刻んだ。後半21分、緊張感に満ちた局面で途中出場。長い回り道の末にたどり着いた舞台だった。
天理大学卒業後、JR西日本、パフォーマンスアカデミークスノキクラブを経て、オーストラリアへ。国内外を渡り歩いてきた内山だが、昨季は公式戦出場ゼロという現実に直面した。けがが重なり、結婚という人生の節目も重なった。「ラグビーに集中し切れなかった」。そう振り返る1年は、選手としての自信を揺さぶるのには十分だった。
それでも、29歳は立ち止まらなかった。2年目に入ると「ラグビー一本でいく」と覚悟を決め、生活も意識も切り替えた。平日は介護施設でフルタイム勤務。入浴介助から送迎まで担い、その後、練習に合流する。帰宅は22時前後。睡眠時間は削られる。それでも「慣れもあるし、意識の問題」と淡々と語る。働きながら戦うという、LR福岡らしい日常の中で、内山は自分を整え続けた。
メンバー入りを告げられたのは試合の5日前。名前を聞いた瞬間、思わず笑みがこぼれたという。「ずっとニヤけていました」。ようやくつかんだチャンスだった。試合前夜は落ち着かず、家の周りを散歩し、夜中に何度も目を覚ました。それでも試合当日の朝、体は不思議なほど軽かった。
スタンドには、妻と生後3カ月の子どもがいた。家族の前で迎える初舞台。後半、味方のトライで流れが生まれた直後、内山はグラウンドに送り出された。スクラムでは手ごたえもあった。しかし、勝負の分かれ目となったのは、ほんの一瞬だった。流れを引き寄せかけた場面が訪れたが、得点にはつながらない。「あそこでトライを取れていれば、試合の流れは一気にこちらへ傾いていた」。その悔しさを、内山は隠さなかった。
それでも、全勝を続ける相手に対し、圧倒された感覚はない。「点差ほどの差はなかった」。初キャップのグラウンドで得たのは、結果以上に、次につながる確かな手ごたえだった。
試合後、内山は「うれしい」と同時に「ほっとした」とくり返した。ファーストキャップ。それはゴールではなく、ようやく立ったスタートラインだった。「ここからです」。目標はスタッフや仲間の信頼を勝ち取り、試合で使われ続ける存在になること。その先に、100キャップという夢も描く。
緊張感の続いた1日を和ませたのは、内山らしいユーモアだった。試合前に切った短髪は、妻から「おにぎり」と評されたという。「自分的には100点なんですけどね」。そんな笑い話も、張り詰めた時間を越えたからこそ出てくる余裕だろう。
「好きじゃないと、続けられない」。そう言い切る内山のラグビー人生は、ようやく表舞台に足を踏み入れた。長い助走の先にあるのは、まだ白紙の物語。初キャップは、その第一行に過ぎない。
(柚野真也)
ルリーロ福岡
ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、三股久典キャプテン
ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ
「たくさんのお客さまがスタジアムに足を運んでくださったことに、心から感謝しています。その中で行われたゲームでしたが、今週はシンプルにブレイクダウンとタックルに照準を当て、ミスをしないことをテーマに準備してきました。前後半を通じて、選手たちはアグレッシブにボールに関わり、動かし、攻め続けてくれたと思います」
──内容面では、一定の手ごたえもあったということでしょうか。
「そうですね。ただ、こちらがボールを動かして攻めていた時間帯も、なかなか得点に結び付けることができなかった。その積み重ねが、最終的には点差として表れてしまったと思います。最後はボーナスポイントを与える形で終わってしまいましたが、選手たちはタフに戦ってくれました」
ルリーロ福岡
三股久典キャプテン
「寒い中、多くの方に会場へ足を運んでいただき、本当にありがとうございました。チームとしては、ヘッドコーチが話したとおり、ブレイクダウンで相手のキープレーヤーとなる外国籍選手を止めることをテーマに、この1週間準備してきました。前半の入りは、自分たちの流れにもち込めたと思います。ただ、そこから自分たちのミス、いわゆる自滅で崩れてしまったのが反省点です」
──後半は立ち上がりから流れを引き寄せ、トライを奪いました。その場面を振り返ってください。
「前半から敵陣に入って、ユニットでしっかりアタックする部分はできていました。後半もその形が崩れることなく、全員が自分の役割を遂行できた結果、いいトライが取れたと思います。練習してきたとおりの形が出ましたし、そこはチームとして自信になりました」
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(左)、芦田朋輝キャプテン
マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ
「正直に言って、今日のパフォーマンスは良くなかったと思います。雑なプレーが多く、特にブレイクダウンの部分がまったくきれいではなかった。さまざまな要素が影響したとは思いますが、それを含めて自分たちでコントロールしなければいけませんでした。課題は判断の精度とプレーの質です。細かい部分での乱れが積み重なり、試合を優位に進め切れなかった。2週連続で試合が続いたこともあり、その影響が出た部分はあったかもしれません。ただ、それを言い訳にするつもりはありません」
──これで5戦全勝です。この結果をどう受け止めていますか。
「5連勝という結果自体は、もちろんうれしいです。ただし、内容を見れば厳しい試合が多かったのも事実です。そこには正直、満足していません」
マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン
「今日は本当に素晴らしい会場で試合をさせていただき、ありがとうございました。キックオフから相手が強いプレッシャーを掛けてくることは想定していましたが、そこで自分たちがペナルティを重ねてしまい、自分たちのゲーム展開を作れなかったのが反省点です」
──後半は相手に押し込まれる時間帯もありましたが、しっかり耐えながらリードを広げました。その要因はどこにあったのでしょうか。
「特別なことをしたわけではありません。準備してきたゲームプランに徹すること、基本となるプレーを続けることを意識しました。一人ひとりが無理に突破しようとするのではなく、チームとしてプレーしようと、キャプテンとして声を掛け続けました。正直に言うと、流れが悪かったというよりも、自分たちが流れをつかみ切れなかった、という思いのほうが強いです。そこは、次に向けて改善しなければいけない部分だと思っています」