NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン3 第5節2026…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第5節
2026年1月31日(土)13:00 中国電力坂スポーツ施設 (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ 0-40 狭山セコムラガッツ

娘の一言がほどいた緊張。そして再び戦いの場へ


度重なるけがから1年9カ月ぶりとなる先発メンバー入りを果たした中国電力レッドレグリオンズの鳥飼誠選手

2シーズンぶりに先発出場する試合日の朝、不安も緊張も抱えていた鳥飼誠に家族との穏やかな瞬間があった。

「家で妻にも『ソワソワしているね』って言われて、そんな会話をしていたら、5歳の娘が『ソワソワしているのは、うまくやろうとして、できるかなって不安だからかなぁ?』みたいなことを言って。さらっと言うので、妻と二人で笑いました。自分の心の中をちゃんと言葉にしてくれたので、そこで気持ちが整えられたと思います」

32歳のセンターは度重なるけがと戦ってきた。昨季も公式戦の出場はなく、昨年10月のプレシーズンマッチで約1年1カ月ぶりに実戦復帰。前節のルリーロ福岡戦で、2024年4月以来の公式戦メンバー入りを果たした。

今節は約1年9カ月ぶりのスタメン復帰となった。前節も出場はしていたが、残り5分のプレー時間でコンタクトの機会もほぼなく終了。今回はスタートから闘争の場に立つ。

「ひさびさのスタートで、そこまで考えなくてもいいかもしれないですけど、自分が緊張してしまう理由はいろいろあって、もちろん練習で準備はしていますけど、実際の試合ではどんな感じになるのか、すごく不安な気持ちはありました」

そこで、試合日の朝に娘の思わぬ言葉がそっと背中を押してくれた。

「自分も緊張に向き合おうとは思っていたけど、ソワソワ感がずっと抜けなかったのが、娘のあの一言でちょっとほぐれました。おかげで、試合までにしっかり集中できる状態にもっていけたと思います」

12番を背負う鳥飼がフィールドに戻ってきた。試合で持ち前の鋭いタックルを繰り出すと、不安も緊張もすっかり消えていた。家族や両親も見守る前で、入替となった後半22分まで泥臭く体を張って無事に戦い抜いた。

「疲れましたね」とまず笑みをこぼしたが、復帰戦で0対40の敗戦を喫し、「結果がついてこず、0点で終わって悔しかったので、もっとチームにエナジーを与えられる存在になりたいです」と表情を引き締めた。

「ディフェンスは自分のプレーが状況に応じてできたと思います。でも、アタックはプレーを動かす部分で課題が出たので、もっと積極的にリードして、チームを勢い付けられるセンターになれるように集中していきたいです」

試合後、「娘から『お疲れ』と一言もらいました」と笑う鳥飼。復活を遂げた32歳の闘争はこれからも続く。

「試合でプレーする姿も、ファーストジャージーで出る姿もひさびさに家族に見せることができて良かったです。次こそは勝って、かっこいい姿を見せられるように頑張りたいです」

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ


中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和監督(右)、西川太郎主将

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和監督

「まず、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の皆さま、そして今回、坂町でさまざまな準備をしていただいた関係者の皆さまに感謝申し上げます。試合の総括ですが、狭山RGさんはマークすべき選手が非常に多い中で、前半について、われわれはディフェンスでしっかり前に出て、フェーズを重ねながら、プランどおりフォーカスしてきた部分はある程度遂行できていたという印象です。アタックの部分ではトライを取り切れなかったこと、そして0点で終えてしまったことは、しっかり反省しなければいけないと思います。終盤は簡単なタックルミスから立て続けに失点しましたが、途中まではロースコアのクロスゲームに持ち込めそうな場面も何度かありました。そこで点を取り切れなかったことが、今回の勝利につながらなかった要因だと思います。われわれは勝ちにいっていましたが、結果として0対40というスコアになったことは、非常に反省すべき点が多い試合だったと感じています」

──0対18で前半を終えたあとのハーフタイムで、選手たちにどんなことを伝えましたか。

「まずディフェンスはわれわれが思うような形ができているという話をしました。また、まだ18点差なので、先にスコアすれば十分に競った展開に持ち込めるので、『まずは最初のトライをわれわれが取りに行こう』、『先手はわれわれが取るべきだ』ということを伝えました。後半の立ち上がりは敵陣でアタックする時間が長かったので、そこで得点できなかったことは大きかったと思います。ラインアウトについても、狭山RGさんはサイズがあるので、われわれとしてはスピードや頭を使いながら取りに行けるように修正していく必要があると思います。特に後半の入りの部分についてはしっかり話をしました」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎主将

「本日はありがとうございました。総括として、しっかり前に出てダブルタックルで相手の強力な外国籍選手に対して粘り強く対応するという自分たちがやりたいディフェンスについては、できていた場面が多かったと思います。ただ、そこで奪い返したボールをアタックにつなげる際に、セットピース、特にラインアウトで相手の高身長ジャンパーからプレッシャーを受け、そもそもアタックの起点でつまずいてしまったところが、チャンス自体が少なくなってしまった大きな要因だと感じています。相手陣深くまで入った場面も、自分たちの焦りなのか、またビデオを見てみないと分かりませんが、相手ボールになってしまい、なかなか仕留め切ることができませんでした。0点というスコアについては、応援に来てくださった皆さまに本当に申し訳なく、非常に悔しい気持ちです。ただ、まだ残り10試合あるので、内容次第ではD2/D3入替戦を狙える可能性も十分にあると思っています。まずは次の試合に向けて、良い準備と良い競争を積み重ねて、来週しっかり勝って、2クール目のスタートで良い流れをつくっていきたいです」

──スクラムは試合の中で徐々に良くなったと思いますが、どういった修正をしましたか。

「最初はこちらの1番の選手がアングルを取られている場面がありました。スクラムは見え方で変わってくるので難しいところはありますが、あまり無理に押さず、まずはしっかり自分たちのスクラムで耐えて、そこから展開次第では押していこうと話をしました。その結果、後半にかけて徐々に良くなり、メンバーが入れ替わっても安定したスクラムを組めていたのは良かった点だと思います」

狭山セコムラガッツ


狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(右)、フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「今週のフォーカスはブレイクダウンでした。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)はディビジョン3の中でも非常に激しいチームで、そこでうまくいかないとターンオーバーされやすいため、重点的に取り組みました。その点は一定の成果があったと思いますが、その後のボールの使い方にエラーが多かったのは課題です。一方で、ディフェンスは0点に抑えられたので評価できると思います。前節はセットピースのペナルティが多かったですが、今週はセットピースでのペナルティが1回ぐらいに抑えられた点は良かったです。前節からのフォーカスポイントであったブレイクダウンとセットピースは、しっかり遂行できたと思います。今後さらに改善すべき点は、その後のボールの動かし方やコミュニケーションです。

また、試合終盤に3試合連続でプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得していたダニエル・ウェイトが負傷しました。ゲームをコントロールできる選手を探す必要がありますが、ラグビーでは避けられないことでもあるので仕方がないことだと思います」

──ピンチも何度かあり、一人少ない時間帯もありましたが、そこで相手を無得点に抑えられた要因を教えてください。

「現在のラグビーではイエローカードが出やすい傾向があり、その状況を想定した準備は試合前から必要だと考えています。イエローカードを受けたのが15番の選手だったので、今日は運もあったと思います。フルバックももちろん大事ですが、プロップであれば影響はまた違っていたと思います。その中で、僕たちの判断も悪くなかったと思います。このチームの目標はD2昇格であり、そのためにはディフェンスが非常に重要です。これまでもディフェンスにフォーカスしてきましたが、まだエラーは多く、完璧ではありません。ただ、少しずつ良くなってきていると感じています」

狭山セコムラガッツ
フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン

「まず、中国RRの皆さま、素晴らしいホストゲームを開催していただき、ありがとうございました。また、レフリーおよびアシスタントレフリーの皆さまにも感謝しています。普段D1で笛を吹かれている方々で、良いコミュニケーションを取りながら試合を進めることができました。

試合については、前回の対戦からブレイクダウンが相手の強みだと分かっていたので、そこで良いバトルができ、それを乗り越えられたことをとてもうれしく思います。セットピースもいい競り合いができ、ラインアウト、スクラムで両チームともうまく機能していたと思います。内容的には自分たちが上回っていると感じる部分もありましたが、エラーも多く、取り切れなかったトライがあったのは反省点です。ただ、自陣からの脱出には満足していますし、良い脱出ができたからこそ、相手を0点に抑えられたと思います。自分たちの戦術、戦略がうまく機能した試合で、全体として非常に満足しています」

──ピンチも何度かあり、一人少ない時間帯もありましたが、そこで相手を無得点に抑えられた要因を教えてください。

「チェイス・ティアティアがシンビンになった際、まずチームに伝えたのは『(自陣からの)脱出だけは確実に行おう』ということでした。もし自陣でターンオーバーされると、14人で守るのは非常に難しいので、自陣でプレーしすぎず、確実に脱出することを意識しました。選手たちのマインドセットが変わっているのも感じました。全員がハードワークし、リザーブからのエナジーも非常に大きかったので、それぞれが自分の役割を果たせばいいという安心感をもって戦うことができました」