2月1日、神戸のGLION ARENA KOBEで開催された『エムット presents SV.LEAGUE ALL …
2月1日、神戸のGLION ARENA KOBEで開催された『エムット presents SV.LEAGUE ALL STAR GAMES 2025-26 KOBE』は、SVリーグ男子のトッププレーヤーだけを揃えた大会だ。
ゲーム開始の1時間半前。スタンドは開場したばかりで、ファンはまだまばらだった。コートの一角では選手が輪を作り、サッカーのリフティングに興じていた。
西田有志(大阪ブルテオン)はバックヘッドやショルダーを使い、実に"当て勘"がよかった。足技がうまいというよりも、瞬間的な反応のよさが彼らしい。パリ五輪代表の盟友たち、宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)、関田誠大、小野寺太志、髙橋藍(いずれもサントリーサンバーズ大阪)が加わった5人の贅沢なメンバーのなかで、ボールを落とす回数は一番少なかった。
その勢いを駆って、記念すべきゲーム1点目を奪ったのは西田だった。若々しく弾けるような笑顔を見せ、それも彼のスター性か―――。
SVリーグオールスターゲームでMVPを獲得した西田有志 photo by YUTAKA/AFLO SPORT
今シーズンも、西田はブルテオンのエースとしてチームをけん引している。身長187cmと、世界では小柄なオポジットだが、雷光の如く振り抜く左腕で、巨人が立ちはだかってもものともしない。アニメや漫画の主人公さながらの痛快さだ。
その貢献は数字にとどまらない。彼がコート上にいるだけで、チームが奮い立つ。会場を一体化させ、流れを引き寄せられる。彼の奪う1点は、単純な数字では導き出せない価値があるのだ。
「覇気」「熱量」「意欲」。
いずれも西田が連想させる言葉の数々だが、それは試合を動かす動力そのものだ。
近年、日本の男子バレー界は石川祐希(ペルージャ)、関田、山本智大、山内晶大(ともに大阪ブルテオン)らが新時代を切り拓いてきたが、そのブーストになったのが西田の台頭だった。2020年、20歳にしてVリーグでジェイテクトSTINGSを優勝に導き、MVPも受賞。2021年の東京五輪、2024年のパリ五輪ではまさに活力源となっていた。ネーションズリーグでも3位(2023年)、2位(2024年)と、栄えあるメダル獲得に貢献した。
【思索・仮説・実証を好む】
「すべては"バレーを好きでうまくなりたい"っていう土台の上にあって、それがどれだけ強いかで、自分がうまくなるスピードも変わってくる。そう思って日々を過ごしています」
西田はそう信条を語るが、その姿勢が徹底している。
SVリーグ開幕の昨シーズン、西田は所属するブルテオンをレギュラーシーズン1位に導いた。しかしチャンピオンシップでは準決勝でジェイテクトSTINGS愛知に屈し、王者の道は断たれてしまった。あまりに呆気ない幕切れで、44試合も戦ってつかみ取った座は砂上の楼閣も同然で、不条理な結果にも映ったが......。
「(チャンピオンシップに向けて)準備していなかった、ということに尽きると思っています。自分たちは"結果を出すしかない"って割り切るしかなかった。ああだこうだ言っても、(結果が)変わるわけではなかったし、勝てばいいだけの話だったと今は思っています」
今シーズン開幕前のインタビューで、新たにキャプテンになった西田は毅然と言って自らを叱咤するようだった。
「チームの(リーグ)優勝がしばらく遠のいているのは......(一試合に)勝っている、で終わっている気がします。貪欲に勝ちを求め続けるべきで、どう勝つ工夫をしたのか、そこを掘り下げることも求めていきたい。あくまで僕の価値観ですけど」
西田はコート上で得点後に胸を叩くパフォーマンスが代名詞で、とびきり明るく、本能的タイプに映る。それも一面だが、実像は求道的で、思索・仮説・実証を好む。バレーをひとつひとつ部品に見立て、再構築するような探究ぶりで、そのこだわりは極まっている。
たとえば、フランス代表のイアルバン・ヌガペトについての話になった時だった。
「ヌガペトは遊んでいるように見えるじゃないですか? でも、体の使い方がめっちゃうまい。スパイクの打ち方云々ではなく、重心管理がハイクオリティで、最短距離で動いて、一番楽に点数を取れる。鍛えられた肉体って感じじゃないのに、自分を知っているから、あの出力になるんだなってつくづく思います」
こうした洞察力のおかげで、若くして台頭し、今も成長を続けられているのだろう。
順風満帆なキャリアを送ってきたように映るが、2022年から23年にかけては、半年以上、高熱が続いて、血液検査に異常が出るなど体調不良が続いた。アスリートとして試される日々だったろう。彼は這い上がる過程で、徹底的に自分を見つめ直し、選手像をアップデートした。
「あれは分岐点でしたね......。たぶん、自分のことを知ることができたんだと思います。アップで始まり、クールダウンで終わるのが自分の1日になりました。たとえば体を使う前の状態が100%として、使ったあとに30%になり、ただのストレッチでは50%までしか戻らない。70%を戻すにはウォーミングアップと一緒のことをして、ここは動く、動かない、を確認し、治療に入るか、入らないか、自分を知ることが大事で......」
2025-26シーズンも、西田はさらなる変身を遂げている。サーブひとつをとっても無回転に挑戦し、試行錯誤を続ける。バレーへの取り組み方は偏屈に映るほどだ。
「もっとバレーを好きにならないと」
西田はその欲求で、シーズン後半戦も突っ走る。