◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 競馬好きの私には、滋賀・栗東トレーニングセンターでの取材が夢のような時間だ。出走馬…

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 競馬好きの私には、滋賀・栗東トレーニングセンターでの取材が夢のような時間だ。出走馬の情報に限らず、騎手、調教師、厩(きゅう)務員の方々から競馬の知識も学んでいる。

 異動直後から気になる騎手がいた。肌寒い朝のトレセンに響き渡る「おはようございます!」という元気な声。デビュー16年目、32歳の藤懸貴志騎手だ。通りすがる人、一人一人にしっかりとあいさつをする。24歳の私も、常に心がけているが、見習わなければと実感した瞬間だった。

 興味が湧き、調べてみるとレースで人気馬に騎乗する機会は決して多くない。それでも必死に上の着順を目指し、高配当をもたらす。初めてあいさつした時には、「がむしゃらが取りえです!」という言葉に格好良さも覚えた。

 先日の取材中には音を遮る馬具、メンコ(覆面)の効果をスマートフォンでレース映像を流しながら教えてくれた。惜敗続きの馬がメンコを外すと、最後の勝負所でグンッと脚を伸ばすようになる。古川吉洋騎手で昨年末の中日新聞杯を制したシェイクユアハートもそうなのだ。

 しかし、小鳥が飛び立つだけで暴れ出すこともある競走馬。取材していたスズハロームも難しい気性の持ち主だが、「俺はメンコ外します(笑)。もっとやれるはず。終わった馬じゃないと思うから」ときっぱり。4戦連続2ケタ着順だったが、先月24日の京都11Rでは上がり最速の脚で追い込み9着。変化の兆しは見えた。思案し、少しでも長く活躍させてやるという決意が、強く伝わってきた。(中央競馬担当・松ケ下 純平)

 ◆松ケ下 純平(まつがした・じゅんぺい) 2025年入社。同9月から中央競馬担当。