2月1日からプロ野球キャンプが一斉スタートしました。 今年はWBCもあり、例年以上に注目を浴びる春です。今回は高卒4年目…

2月1日からプロ野球キャンプが一斉スタートしました。

 今年はWBCもあり、例年以上に注目を浴びる春です。今回は高卒4年目を迎える巨人・浅野 翔吾外野手(高松商)、ソフトバンク・イヒネ イツア内野手(誉)、DeNA・松尾 汐恩捕手(大阪桐蔭)の3選手について紹介したいと思います。

2022年のドラフト1位だった彼らは、将来の主力候補として期待されてきましたが、もう4年目。今年はプロ野球人生を左右する1年になるかもしれません。

一軍通算6本塁打だけど物足りなさが残る浅野翔吾は今季が勝負

 浅野選手は高校2年生だった21年夏の智弁和歌山との3回戦で豪快な本塁打を記録しました。171センチと小柄でありましたが、ガッシリとした体格、高校生離れしたスイングスピードを生かした打撃は明らかに抜けており、21年のドラフト終了後は来年のドラフト上位候補として取り上げられました。

 編集部も地元の記者と協力しながら、浅野選手に密着。浅野選手は器用な選手で、スイッチヒッターにも挑戦し、左打席でも本塁打に出来るパワーと技術は見事でした。

 最終学年では夏の甲子園に出場し、佐久長聖戦で2本塁打、そして準々決勝で近江・山田投手との対決になり、豪快な本塁打を打つシーンは強烈なインパクトがありました。こうした活躍が認められU-18代表となった浅野選手は、24打数8安打、1本塁打4打点の活躍を見せ、日本代表の3位入賞に貢献しました。木製バットでもしっかりと順応している点も光りました。

 22年のドラフトでは巨人、阪神との競合となり、当時の原辰徳監督が引き当てた姿に巨人ファンは沸きました。1年目から一軍24試合、40打数10安打、1本塁打2打点と高卒1年目の野手としては良い滑り出しです。2年目も苦しみながら40試合で146打数35安打、3本塁打18打点、OPS.686と順調に数字を伸ばし、飛躍を狙った3年目は29試合出場で、75打数14安打、2本塁打8打点、打率.187と数字を落としました。

 ここまで93試合、261打数59安打、6本塁打28打点、打率.226と年々、投手のレベルが高まっているNPBの中では奮闘していると思いますが、まだまだ期待に応じているとは言い難い状況です。

 巨人ファンから厳しい声も多いですが、これがドラフト1位の宿命だと思います。今季は二軍キャンプスタートとなりました。阿部慎之助監督は「レギュラーは白紙」と語っており、キャンプ内で行われる実戦でどれだけ結果を残せられるかだと思います。怪我なく、大きな不調なく、浅野選手らしい強打を発揮してもらえばと思います。

伸び盛りの松尾汐恩は球界屈指の打てる捕手への成長を期待

 U-18日本代表時の松尾 汐恩

松尾選手は大阪桐蔭時代、ショートから捕手に転向。一度だけショートを守って試合に出ている姿を見たことがありますが、やや動きとグラブさばきが固く、少し厳しい感じがしました。捕手になると前に転がった打球を猛然と突っ込んで処理して、自慢の超強肩でアウトにする姿は他の捕手にはないスピード感があり、捕手にコンバートして正解だと感じました。

 松尾選手が本格化したのは2年秋。明治神宮大会の決勝・広陵戦で、5打数4安打2本塁打4打点を記録しました。素直にバットが出ており、スイングスピードが非常に速く、あれほどの長打力、スピード、強肩ぶりを兼ね備えた高校生捕手はなかなかいないと感じました。浅野選手と同様、ドラフト上位候補としてマークしていこうと感じました。

 最終学年ではさらに凄みが増して、センバツでは打率.353、2本塁打、4打点の活躍。夏の大阪大会では3本塁打、夏の甲子園では打率.571、2本塁打、9打点と、浅野選手と同格の活躍でした。

 松尾選手の本塁打は他の大阪桐蔭の打者と比べても明らかにコンタクト能力が違いました。また本塁打を打つコツも掴んだのか、高めに浮いたボールをあっという間にスタンドインさせる技術は別格でした。

 ドラフトではDeNAから1位指名を受け、1年目は二軍でじっくり経験を積んで、2年目から27試合出場で、8安打を記録。3年目はさらに出場機会と成績を伸ばし、77試合出場で、176打数44安打、4本塁打18打点、打率.250、OPS.640と捕手として高水準の打撃成績を残しました。ただ同じチームにいる山本祐大捕手も「打てる捕手」として良い成績を残しています。昨シーズンは104試合、3本塁打、41打点、OPS.664と結果を残しています。

 松尾にするのか、山本にするのか、DeNAファンにとっても悩ましい選択ですが、いずれにしろ1人の捕手に固定する時期は来るかなと思います。松尾選手は捕手でありながら、打撃タイトルを狙える潜在能力を秘めているところだと思っています。

 プロ野球で打てる捕手といえば大阪桐蔭の先輩にあたるオリックス・森友哉捕手ですが、23年に18本塁打を記録しています。松尾選手の打撃技術、潜在能力の高さを見ると将来的には毎年二桁本塁打を狙える捕手に成長してもおかしくないと思います。
 今シーズン終了後には大きく成績を伸ばすことを期待しています。

昨季、進化の兆しが見えたイヒネに恩師もエール

 誉時代のイヒネ イツア

イヒネ選手は高校3年春、急激に浮上した大型遊撃手です。MLBスカウトから注目されている情報を聞いて、筆者は愛知県の犬山市にある誉のグラウンドまで足を運び、イヒネ選手を取材しました。

 細身でありながら、インサイドアウトのスイングから繰り出す打撃はライナー性の打球を連発し、しなやかな動きを見せるショート守備も華麗でした。また取材を進めると、各測定も高水準で、身体能力も抜群でした。

 当時は全国的には無名でしたが、いずれは騒がれる存在になるかもしれないと胸が騒いだ記憶があります。

 夏の大会では3回戦敗退ながらも、2試合で7打数5安打と大当たり。さらに内容もよく、2二塁打、1三塁打、1本塁打と7本のうち5本が長打でした。

 水面下で評価が上がり、ドラフト前にソフトバンクが1位指名を公言。同校初のドラフト1位選手となりました。

 ドラフト後にも筆者が誉を訪問すると、イヒネ選手は木製バットでも金属バットと変わりない打球を飛ばしており、しっかりと練習を積んでいるのが見られました。そしてプロへ向けて「非の打ち所がないプロ野球選手を目指してやっていきたい」と語りました。

 ただソフトバンクは12球団で屈指の選手層を誇るチーム。当初は三軍、二軍暮らしが続きました。そんな中でもイヒネ選手は昨年初の一軍出場。わずか1試合出場でしたが、一軍経験は大きな学びになったようで、二軍では110試合出場で、打率.259、5本塁打、44打点、OPS.720と大きく成績を伸ばし、後半以降の成長は著しいものがあったと聞きます。プレーを見ても持ち前のスピードはさらに増して、ヘッドスピードの速い打撃で広角に打ち分けていあす。ショートの守備も以前よりスピードアップ。確実性も増してプロらしいショートになってきました。

 そんなイヒネ選手はこの春、一軍キャンプスタートとなりました。イヒネ選手を3年間見てきた誉の矢幡真也監督はオフシーズンに母校を訪問したイヒネに心身の成長を実感したといいます。

「先日、彼がグラウンドに顔を出してくれましたが、グラウンドに立った瞬間の立ち姿だけで『あ、プロの身体になったな』と圧倒されました。高校時代から身体能力は群を抜いていましたが、プロでの3年間を経て、芯の強さと逞しさが別次元に到達しています」

1日からのキャンプから厳しい競争が待っていますが、エールの言葉を贈りました

「4年目という時期は、彼にとっても勝負の年。これまで焦る気持ちもあったかと思いますが、今の彼にはその経験を糧にした『落ち着き』と『自信』が備わっています。持ち前の守備のしなやかさと、破壊力のあるバッティングに磨きをかけ、ソフトバンクという分厚い選手層の中でも、自分にしか出せない『色』を存分にアピールしてほしい。

プロの舞台で躍動する卒業生の姿は、今の現役部員たちにとっても最大の刺激です。キャンプから全力で完走してくれることを期待しています」

 この3選手には取材などを通して、潜在能力の高さに惚れ惚れさせられました。当時の高校野球の顔でしたが、いずれはプロ野球の顔になってほしいと思っています。まず今シーズン、昨年以上の輝きを見せることを期待しています。