1月31日、神戸。『エムットpresents SV.LEAGUE ALL STAR GAME 2025-26 KOBE…
1月31日、神戸。『エムットpresents SV.LEAGUE ALL STAR GAME 2025-26 KOBE』女子ゲームがGLION ARENA KOBEで開催され、8320人もの観客を集めた。SVリーグの2年目、男子だけでなく、女子の人気も確実に向上していることを印象づけている。
2024年パリ五輪後に古賀紗理那が現役を引退すると、一時、女子バレー人気は危ぶまれたが、各チームにはそれぞれ"顔"になるような選手が台頭しつつある。
「SVリーグ2年目、昨年の女子代表の活躍もあって、今シーズンは昨シーズンよりも少しずつ盛り上がっているかなって思いますね」
この日、敢闘賞を受賞した野中瑠衣(ヴィクトリーナ姫路)は、そう実感を語っていた。
SVリーグオールスターゲームに出場した野中瑠衣(左)と佐藤淑乃 photo by YUTAKA/アフロスポーツ
彼女自身は昨年、アイドルグループのヒット曲にかけて「かわいいだけじゃだめですか?」と挨拶をして飛躍的に知名度が上がった。本人はそればかりがクローズアップされることが本意ではないようだが、選りすぐりの選手が集まったオールスターで賞を受けるほどの"華のある"アウトサイドヒッターであることは事実だ。
「今シーズンは姫路に移籍し、代表メンバーにも入って、メディアに出させてもらう機会が増えました。よくも悪くも注目されるようになったので、会場に応援に来ていただいたり、配信を見ていただいたりして、バレーの面白さを伝えられたらって思っています。姫路のホームゲームは年代を問わず家族層が多く来てくれるので、地域に根付いたチームだな、と町中にいても感じますね。だからこそ自分は結果を出し、会場にさらに来てもらい、楽しんでもらえるように」(野中)
今シーズン、姫路は上位をキープ。野中は総得点374点で日本人4位と、チームの躍進にひと役買っている。「かわいさ」が自然な輝きに上書きされたとき、彼女は日本女子バレーを担うヒロインになっているだろう。
「本当に狙っていました! ファンの方も"いつもと違った楽しい感じ"を求めていたと思うので、試合を盛り上げられたらって」
オールスターで、ベストエンタメ賞を受賞した岩澤実育(埼玉上尾メディックス)はそう言って、"してやったり"の笑みを見せた。
【本気でバレーボールを楽しむ】
昨年、岩澤は代表に入って、ネーションズリーグ、世界バレー選手権とチームを鼓舞する姿が目を引いた。明るさを伝播させられることは彼女の異能と言える。この日も、ベトナム代表ジャン・ティ・タン・トゥイー(群馬グリーンウイングス)のサーブコールで、頭文字のTTポーズでチームメイトを先導して盛り上げた。トゥイーはMVPに輝いており、ひとつの成果だ。
「公式動画にサーブコールがTTポーズというのが出ていて、あれは面白そうだったから、絶対にやりたかったんですよ!」(岩澤)
岩澤はムードメーカーだが、安易にノリに走るようなことはしない。綿密に調査し、仕込む。意外なほど実直である。あるいはその準備の余念のなさは、リベロというポジションの天性かもしれない。彼女のディグは非常に安定しているが、それは観察力と実直さの賜物だ。
「開幕戦はコンディションがよくなかったんですが、徐々に調子を取り戻せてきました。まずはチャンピオンシップに進まないと先がないので、8位以内に入れるように(現在は7位)......。今は混戦で、一回負けたら順位がふたつも落ちたり、少しも気は抜けませんが、"バレーボールを楽しむ"というのがスローガンなので、一丸となって戦えるようにしたい」
岩澤はそう言う。彼女が本気でバレーを楽しむ姿勢は、少しも混じり気がない。チームの頼みの綱だ。
「今日は3セット、全部取られて悔しいです!」
TEAM YOSHINO (試合はTEAM NICHIKAと対戦)のキャプテンになった佐藤淑乃(NECレッドロケッツ川崎)は悔しさを口にしたが、オールスターという祝祭に勝ち負けは問われない。佐藤は昨年の日本代表で、石川真佑に追随するアウトサイドヒッターとして頭角を表している。ロサンゼルス五輪に向かう日本女子バレーの新たなスターのひとりと言えるだろう。今シーズンも首位を走るNECの大黒柱だ。
「今日のオールスターは去年と比べて人が集まっていますし、これだけ大きな会場で8000人を超える人が入って、SVリーグも観客は増えていますし、女子バレーの注目度が徐々に上がっているのが嬉しいですね。こうした会場で常にバレーができるように、もっと人気を上げられるようにしたいです」
そう語る佐藤は、2年目のSVリーグの象徴と言える。1年目、個人としては日本人最多得点などでベスト6に選ばれた。しかし、チャンピオンシップ決勝で膝を屈し、捲土重来を誓う。
――スパイカーにとって、観客の熱気は刺激になりますか?
その質問に、佐藤はしっかり目を見て答えている。
「ホームはほぼ満員になるので、そのたびに"頑張ろう"って思いますね。毎回来られる人ばかりではないと思います。だからこそ、自分も1試合を無駄にせず、頑張りたいですね」
三者三様にSVリーグを盛り上げる。もちろん彼女たちだけではない。日本女子バレーの花が、新たな季節に咲き始めている。