<最強日本フィギュア>(5)2月に入り、6日開幕のミラノ・コルティナ・オリンピック(五輪)まであと5日。フィギュアスケー…
<最強日本フィギュア>(5)
2月に入り、6日開幕のミラノ・コルティナ・オリンピック(五輪)まであと5日。フィギュアスケート日本代表は22年北京大会で獲得した過去最多メダル4個(銀2、銅2)を上回り、最大7個が視野に入る。「最強日本フィギュア」と題して、開幕日まで10日連続で代表選手の素顔を紹介。第5回は、自身4度目の五輪となるペアの木原龍一(33)。三浦璃来(24)との“りくりゅう”で、世界王者として臨む。【取材・構成=松本航】
★決断
14年ソチ五輪に向け、日本はすでにペアに取り組んでいた高橋成美のパートナーを見つける必要があった。日本連盟から白羽の矢が立ち、木原が五輪前年の13年にシングルから転向。だが、五輪は2大会連続で個人戦のフリーに進めない出来だった。何度も「20歳でペアに転向するのは無謀だったのかな。シングルのまま友達と楽しくやった方が良かったのかな」とよぎったが、19年に三浦と出会った。体重はシングル時代の61キロから、現在は77キロと肉体改造。当初は食事の量を増やすのに苦労し、トイレに駆け込んで嘔吐(おうと)することもあった。
★待望
今季の新フリー「グラディエーター」は、かねて熱望していた演目。1度は振付師から別の曲の提案があったが、最終的に採用が決まった。フィニッシュは木原が三浦を持ち上げた状態と珍しい形で「見栄えもあって、かっこいい。僕たちから『やりたい』と言いました」。テーマは「戦い」ではなく、自分たちが切り開いてきた運命。その最後を締めくくるポーズなだけに「疲れている姿ではなくて、最後までしっかり見せられるようにしたい」と誓う。古代ローマの剣闘士の物語で、五輪開催地のイタリアとも縁がある。
★言葉
硬軟織り交ぜたトークが魅力だ。三浦が直前に左肩を脱臼した25年全日本選手権ショートプログラム(SP)では「ケガをしたことにフォーカスするな。ちゃんとエレメンツ(要素)に集中しよう」。内心は「心臓が止まるかと思った」というが、強い言葉で頼もしくけん引した。リンク外では2人のキャッチフレーズを問われ「おじさんと少女」と即答。9歳下の三浦が「嫌だ、気持ち悪い」とツッコみ、場が和む。25年4大陸選手権では「璃来ちゃんが横にいないと不安。昔は『ペアスケーター』と名乗る自信がなかった。今ははっきりと胸を張って言える」とかみしめた。
★恩師
拠点のカナダ・オークビルで指導を受けるブルーノ・マルコット・コーチと強固な信頼関係がある。「常にポジティブであれ」と声をかけられており、将来的には「自分がブルーノ・コーチのようになれるのか疑問はあるけれど、日本の若い選手に指導できるチャンスがあるのなら、璃来ちゃんと挑戦したい」と背中を追いたい思いもある。ペア転向後に基礎を学んだジェイソン・ダンジェン・コーチからは「おいしいケーキを焼くのには時間がかかる」と金言を授かり、地道な鍛錬を欠かさずに持ち味のリフトで、広くリンクを使う強みにつなげてきた。
★刺激
愛知・中京大中京高ではサッカー元日本代表の宮市亮(横浜)、プロ野球広島の磯村嘉孝とクラスメート。23年には幼少期から愛する地元中日のメモリアルピッチで、磯村に向かってボールを投げて「10年ぶりに再会できて良かった」と喜んだ。拠点のカナダ・オークビルから、トロントが本拠地の米大リーグ、ブルージェイズの応援に三浦と出かけることも多い。ドジャースと対戦した昨季のワールドシリーズも生観戦し「夢のカード。ドジャースもすごく好きだし、ブルージェイズも地元のチームで応援。すごかった」と刺激に変えていた。
◆木原龍一(きはら・りゅういち)1992年(平4)8月22日、愛知・東海市生まれ。4歳で競技を始め、20歳でペア転向。高橋成美と14年ソチ五輪で18位、須崎海羽と18年平昌五輪で21位、三浦璃来と22年北京五輪で7位入賞。23、25年世界選手権優勝。22、25年GPファイナル優勝。趣味は野球。中京大中京高を経て中京大。今季のSPは「ペイント・イット・ブラック」。174センチ。