サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マ…

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、「歴代人口最少のワールドカップ出場国」について。

■地元生まれは1人だけ

 そしてオランダのサッカーに広範な知識を持つアドフォカートのアドバイスで、次々と新しい選手がキュラソー代表に加わった。もちろん、クライファート監督時代からキュラソー代表として活躍しているGKエロイ・ローム(現在マイアミFC所属)や、MFレアンドロ・バクーナ(現在トルコのウードゥルFK所属)のように10年間もキュラソー代表として奮闘してきた選手たち(ともに代表出場68試合で、同国記録)もいる。しかし現在のチームの3分の2は、アドフォカート時代になってキュラソー協会からの招集に応えた選手たちだ。

 昨年11月にバミューダ、ジャマイカとのアウェー連戦を戦ってワールドカップ出場を決めたキュラソー代表25選手のうち、キュラソー生まれはただ1人で、他はすべてオランダ生まれの選手で占められた。キュラソー出身の唯一の選手、タヒス・チョンも1999年にウィレムスタットで生まれ、少年のときに才能を見いだされて2010年、10歳で両親とともにオランダに移住、フェイエノールトのユースに所属した。そして6年後には、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドのユースに移籍した。

 ちなみに、「チョン」というのは珍しいファミリーネームだが、彼の祖父が中国の広東省江門(ジアンメン)の出身で、1940年にキュラソーに移住して中華料理店を開いた中国人だったためだ。185センチ、左利きのMFで、ドリブルでのサイド突破を得意としている。U-15からオランダ代表としてプレー、U-21までオランダ代表に選ばれていた。現在は2部のシェフィールド・ユナイテッドでプレーしている。

■選手は世界各国でプレー

 彼以外の24人はすべてオランダ生まれ。多くがU-21までのオランダ代表歴を持ち、オランダを中心に、イングランド、トルコ、アメリカ、サウジアラビア、スイス、スコットランドなどのクラブで活躍している。興味深いのは、10人のオランダクラブ所属選手がいるものの、2人を出しているのはRCKヴァールヴェイク(現在2部)ただひとつで、あとは8クラブに1人ずつという点だ。

 ワールドカップ出場をかけたジャマイカとの最終戦を前に、体調を崩した妻を支えるため、アドフォカート監督はオランダに戻ることを余儀なくされた。ジャマイカ戦の指揮は、2023年に暫定監督を務め、その後もコーチとしてチームに残っていたディーン・ゴレに託された。ゴレの息子で、2019年からキュラソー代表でプレーするケンジも左ウイングとして活躍、キュラソーはついにワールドカップ出場を勝ち取った。

■もはやオランダ第2代表

 キュラソーは、「ワールドカップ史上、出場したチームで最も人口が少ない国」ということで評判になった。以前の「記録」は2018年ロシア大会に出場したアイスランドの35万人だったが、今大会に50万人余りのカボベルデが初出場を達成、キュラソーの「18万5000人」が大幅にその記録を更新した。

 しかしその選手たちは、キュラソー島からやって来るわけではない。大半が、1850万の人口を持ち、「ビッグ5」には入らないが、それに次ぐ強豪サッカーリーグを持つオランダで生まれ育った選手であることを考えれば、「オランダ第2代表」と言ってもいい。やはりオランダ出身選手が中核となったインドネシアはアジアの4次予選(昨年11)月で敗退したが、ワールドカップに関しては、オランダはなかなか忙しい国なのである。

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