<大相撲:照ノ富士引退相撲>◇31日◇東京・両国国技館大相撲の元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(34)が、引退相撲の門出で、…
<大相撲:照ノ富士引退相撲>◇31日◇東京・両国国技館
大相撲の元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(34)が、引退相撲の門出で、元横綱の白鵬翔さん(40)から強烈に祝福された。昨年初場所中に引退から1年余りの1月31日、東京・両国国技館で最後の土俵入り、断髪式などを行った。約330人がはさみを入れ、白鵬さんは当初予定よりも遅れて登場。しかもド派手な金色のモンゴルの民族衣装を身に着けて現れ、この日最も会場をザワつかせた。伊勢ケ浜親方は白鵬流のエールを受け取り、次世代の看板力士育成を誓っていた。
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1度は名前を呼ばれたはずなのに、いっこうに姿を見せず、場内がザワつき始めた。本来の順番よりも60人ほど後になって「ウオーッ!」という、この日最大の観衆の声が響いた。伊勢ケ浜親方は、異様な雰囲気にも動じなかったが、察しはついていたような様子。観衆の視線をくぎ付けにした西の花道から、金色に輝く衣装をまとった白鵬さんが現れた。はさみを入れた白鵬さんは、両手を両肩に置いた伊勢ケ浜親方に「お疲れさまです。頑張ってください」と耳元で語った。
白鵬さん流の最大限の祝福だった。「モンゴルにルーツのある親方なので」と選んだのは2人の出身、モンゴルの民族衣装。「着たのは10年ぶり。(モンゴルの)国民栄誉賞の時以来」と説明した。白鵬さんが昨年6月で日本相撲協会を退職するまでは、ともに先代師匠のもとで、伊勢ケ浜部屋部屋付きとして後進を指導。現役最後の対戦相手が伊勢ケ浜親方だった白鵬さんは「最後にふさわしい相手。いいバトンタッチになった」と、長く一人横綱を務めた労をねぎらった。
黒紋付きで臨んだ断髪式後、タキシードに着替えた伊勢ケ浜親方は「自分に負けない、協会の看板を背負うような力士を育てたい」と、猛稽古で知られる部屋を引き継いだ師匠らしく、表情を引き締めて話した。 一方の白鵬さんは、当初予定よりも遅れて登場した理由を「久しぶりに(若手親方衆の控室となっている)警備室に行ったら懐かしくてね」と、話が弾んだための不注意と説明。アマチュア相撲の普及がメインの仕事となっている白鵬さんにとって、現役親方との情報交換は仕事の柱といえる。立場の違いを明確にさせる事象、発言でもあった。
断髪後、伊勢ケ浜親方は「ホッとした。頭が軽い」と笑い、最後まで涙は見せなかった。招いた美容師によると、新ヘアスタイルは「遊び心のあるスイングショート」。先輩横綱からの激励を励みに、今後はダイエットにも励みながら、第2の人生でも“横綱”を目指していく。【高田文太】
○…伊勢ケ浜親方の最後の土俵入りは豊昇龍が太刀持ち、大の里が露払いと両横綱が務めた。同親方は「お客さんに喜んでほしくて」と、綱を締めた3人による豪華な横綱土俵入りにしたと説明。白鵬さんの引退相撲では露払いを務めた豊昇龍は「最初で最後の太刀持ち。(太刀が)ブレないように我慢したけど、肩にくるね(苦笑)。自分の土俵入りで太刀持ちをしてくれる関取の苦労が分かった」と、初体験の太刀持ちを誇りに感じた様子。大の里は「いい経験になった。巡業中にアドバイスしてもらった」と、伊勢ケ浜親方の熱心な姿勢に感謝していた。