今オフ3人のメジャーリーガ-が誕生した。今後もプロ野球界のこの流れは変わらないだろうが、一方で日本の学生野球界からの“直…
今オフ3人のメジャーリーガ-が誕生した。今後もプロ野球界のこの流れは変わらないだろうが、一方で日本の学生野球界からの“直行メジャー志向”も高まっている。
2025年には森井 翔太郎選手(桐朋出身)がアスレチックス、今年1月にもモレチ アレシャンドレ投手(誉出身)がフィリーズと契約した。さらに、昨年末には今年のドラフト1位候補として注目されていた仙台大・佐藤 幻瑛投手(柏木農出身)がペンシルベニア州立大への編入を決断するなど、トッププロスペクトがNPBを経ずに海を渡るケースも増え始めた。
逸材流出の流れが加速し、「日本球界の魅力がなくなってしまう」といった声も聞くようになった。しかし、世界各国を見渡すと、日本とは異なる考えが広まっている。
2024年の「プレミア12」で世界一に輝いた台湾もその一つだ。元阪神タイガースで昨年まで台湾プロ野球(CPBL)の台鋼ホークスで投手コーチ補佐を務めた福永 春吾氏は、現地の事情をこう説明する。
「台湾では『逸材流出』といったネガティブな声は全くないですね。むしろ国内では『大金を掴んで頑張ってこい』と応援する人が多いです。高校を卒業した時点で、優れた選手がアメリカや日本へ行くのは当たり前の光景ですし、次に行く選手の目標にもなると思います」
世界一を成し遂げたにも関わらず、なぜそこまで海外志向が強いのか。そこは日本と同じく金銭面での違いが大きく影響している。
「台湾国内のドラフトにかかった場合の契約金は日本円で約2500万円ですが、日本なら1億円、アメリカなら数億円規模の契約金が提示されます。これだけ条件が違えば、海外を選ぶのは自然な流れです」
また台湾国内では、先発ローテーションを外国人投手が務めるのが主流。台湾人の先発枠も少なく、球団側も育成プランを持ちにくいことなど理由は様々だ。中でも、福永氏が日本とは決定的な違いがあると口にするのはドラフトにあるという。
「台湾の場合、一度海外に行った選手はドラフトにかかります。しかも大体の選手がドラフト1位の好待遇で帰ってきます。そういった受け皿があるので、仮に海外でいい成績が残せなくても、ドラフト1位なら台湾代表クラスの金額を貰うことが出来るので、早くから海外に挑戦する選手が多い理由だと思います」
こうして台湾球界では若者の海外挑戦を押し進めているが、日本の現状を福永氏は冷静に分析する。
「日本は日本の良さがありますし、NPBの選手のレベルはかなり高いです。今は日本で活躍してからメジャーというルートが確立されていますが、マイナーからメジャーで大きな契約を掴む選手が出てくれば、また選択肢も広がってくると思います」
アジアの野球地図は変化し続けている。今後、高校から直接アメリカへ渡った日本人選手が成功を収めるようなことがあれば、台湾のような”直行ルート“が新たな選択肢として定着する日が来るのかもしれない。