柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダリストの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が30日、千葉県浦安市…

 柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダリストの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が30日、千葉県浦安市で記者会見を開き、28年ロサンゼルス五輪は目指さず現役を引退することを表明した。今後はメディア出演や講演活動、柔道教室などで競技普及に努める。柔道着で登壇した角田は会見後、報道関係者から募った5人を伝家の宝刀・ともえ投げで投げ飛ばす異例のパフォーマンスを披露。さらに、パリ五輪まで二人三脚だった恩人の今井優子コーチ(40)がサプライズ登場すると涙する一幕もあった。

 柔道界の遅咲きヒロインが現役生活に別れを告げた。今後の活動に関する会見で、柔道着を“着たまま”登壇した角田は第一線を退くことを表明した。既に強化選手辞退届を提出。「(パリ)五輪が終わった時にまだ戦いたいと思っていたが、やっぱりモチベーションが上がらないというところがあった」と明かし「(28年)ロス五輪を目指さない。第一線から退くというのが私の中での引退」と自ら説明した。

 大学時代までは強化指定選手にも入っていなかったが、代名詞のともえ投げ、腕ひしぎ十字固めという二つの得意技を武器に20代半ばから頭角を現した。東京五輪出場は逃したものの、48キロ級転向後に世界選手権を3連覇。そして24年夏のパリ五輪では、日本柔道史上最年長となる31歳11カ月での金メダリストに輝いた。

 以降は多数のメディアにも出演する人気者となり、実戦復帰となった昨年2月のグランドスラム・バクー大会で優勝。4月には体重無差別で争う全日本女子選手権にも出場して殊勲の2勝を挙げたが、その後は実戦から離れ、進退を熟考していた。

 私生活では将来的な結婚・出産にも備え、卵子凍結を行ったことも明かした。引退か現役続行かに揺れる中、昨年12月に行われたGS東京大会を観戦した際「あの舞台に立ちたいと思わなかった。戦っている選手を見て、次の大会に出るのは厳しいと感じてしまった」と引退を決意したという。「気持ちがハッキリせず、自分の中に天使と悪魔じゃないが、2人いるんじゃないかと。現役をしたい自分と、苦しい自分とでずっと葛藤があった」と胸の内を吐露した。

 五輪への道は一区切りをつけたが、今後も柔道教室やメディア出演を続けながら競技普及に携わる。「今までは恋人みたいな関係だったが、これからは柔道と家族になりたい。これからも柔道と一緒に自分の人生を歩んでいきたい」。異色のキャリアを歩んだ苦労人は、第二の人生も柔道着を着たまま踏み出す。

 ◆角田夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉県八千代市出身。8歳から柔道を始め、八千代高2年時に全国高校総体3位。東京学芸大3年時の全日本学生大会で優勝した。52キロ級時代は16年講道館杯で初優勝し、初出場の17年世界選手権で銀メダルを獲得。19年に48キロ級に転向し、21年から世界選手権3連覇。31歳11カ月で臨んだ24年パリ五輪で、日本柔道史上最年長となる金メダルを獲得した。左組みで得意技はともえ投げ、腕ひしぎ十字固め。162センチ。