柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダルの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が30日、千葉・浦安市で記…

 柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダルの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が30日、千葉・浦安市で記者会見し、競技の第一線を退く意向を表明した。既に全日本柔道連盟に強化指定選手辞退届を提出した。代名詞のともえ投げと関節技を武器に活躍し、初出場のパリ五輪で日本柔道史上最年長となる31歳11か月で頂点に立った。今後は柔道の普及活動などに取り組んでいく。

 柔道担当1年目だった2017年。角田が初めて出場する世界選手権直前の取材機会だった。海外合宿中に鼻骨を骨折し、自らボールペンを突っ込んで曲がった鼻筋を整えたと、サラリと強烈なエピソードを話していた場面が強く印象に残っている。その後もけがや体調不良など大会前のアクシデントは日常茶飯事。強気なコメントを発することはなく、不安を隠さない姿は、両膝を痛めて十分な稽古が積めなかったパリ五輪前も変わらなかった。

 ただ、試合に入れば眼光鋭く、ともえ投げと関節技のコンビネーションは圧巻だった。畳の内外でのギャップにいつも驚かされた。「柔道は一瞬で決まってしまう競技。どれだけ練習しても、対策しても足りないなと思う」。不安に真っ正面から向き合い、映像などで相手を徹底的に研究。謙虚で緻密(ちみつ)な準備が強さを支えていた。

 試合前は重圧や減量苦から何度も悪夢を見た。夢の中でゾンビに追いかけられたり、運転している自動車のブレーキが故障。米やパスタを腹いっぱい食べて目が覚め、「本当に食べたのかな…」と恐る恐る冷蔵庫を開けにいったこともあった。パリ後に話を聞いた時は「今は全く見てない。よく寝られてます」と晴れやかだった。五輪後にバラエティー番組などで引っ張りだこになったように、飾らない人柄が魅力だった。今後は心穏やかに、さまざまな舞台での活躍を楽しみにしたい。(17~24年柔道担当・林 直史)