上田の覚醒は日本代表にとっても心強い(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext 近年、躍進する日本…

上田の覚醒は日本代表にとっても心強い(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
近年、躍進する日本サッカーを象徴するように、世界のさまざまな舞台においてジャパンブランドを掲げた選手の進出が増えている。しかも、海原を超えて行ったそうしたチャレンジャーのなかには、世界トップクラスのリーグで存在感を示している選手も少なくない。
【動画】上田綺世が圧巻の4得点!圧巻の量産劇にファン・ペルシ監督が思わず苦笑いを浮かべるシーンも
代表級の選手たちが海外のよりレベルの高い環境を求めて進出する状況は、日本サッカーの発展において重要だが、一方で彼らのプレーをライブで見る機会を限定的にする難点を生み出している。しかし、それが故に一次情報として彼らに接したときの印象は、強く記憶に刻まれることになるのだ。
オランダのフェイエノールトに所属する上田綺世は今シーズン、リーグ開幕からゴールを量産し好調を維持している。
フェイエノールトのユニホームに袖を通した上田を最初にライブで見たのは、2023年11月12日のAZ戦だ。フェイエノールトが1-0で勝利したこの試合で、上田は66分からピッチに登場している。
次の機会は24年4月21日のKNVBカップ決勝の舞台。試合はこちらもフェイエノールトが1-0で勝利し、優勝を果たすことになるのだが、ベンチスタートとなった上田のプレー時間は、交代出場した終盤の15分に留まっている。
この2試合における上田のプレーを掛け値なしに言えば、23年の試合ではチームに合流してまだ3か月と日が浅かったことを考慮に入れても、評価できる部分はあまりなかった。続く24年のKNVB決勝も、途中出場の上田は大舞台で見せ場を作ることができずに終わっている。表彰後に声をかけると笑顔を見せてくれたが、心の奥底では活躍できない自分の立ち位置に焦燥を覚えているかのように、その表情はどこかぎこちなかった。
オランダのエールディビジはレベルが高いとされる5大リーグには数えられないが、ヨーロッパサッカー主要国のリーグである。点取り屋として存在感を発揮するのに簡単なステージではない。そのため上田が圧倒的な成功を勝ち取るには、高いハードルを越えなければならないと感じていた。
しかし、今シーズンの上田はこれまでの状況を一変させ、その高いハードルを軽やかに超えて見せた。1月25日のヘラクレス戦でも先発出場を果たし、4-2の勝利に貢献した。
このヘラクレス戦での上田と過去二度のライブで見たときとの決定的な違いは、プレーを通して彼自身が得点への意欲を強く持っているように見えたことだ。そのストライカーとしてのあるべき姿を体現しようとする姿勢は、ロビン・ファン・ペルシ監督が打ち出すスタイルによって、改めて芽生えたものと考えられる。

上田の成長にはファン・ペルシの影響が大きいと言えるだろう(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
フェイエノールトのチーム戦術は最終ラインでのボール回しから、機を見て前線へと縦のスルーパスを打ち込んでいく。特にサイドに位置する味方へとボールが渡ると、その選手はドリブルを多用して素早く敵陣深くに侵入し、中央へラストパスを供給する。そこにゴール前へ走り込んだ上田などが合わせる、現代サッカーにおいてオーソドックスな果断速攻のスタイルだ。
そう、上田はまさに得点への最後の仕上げを任されている。過去に見たときは、たとえ得点を決められなくても、ポストプレーなどの動きでチームへ貢献すれば良いという雰囲気が本人とチームにあったように感じられ、それがある意味で“逃げ”にもなっていたように思う。だが、ファン・ペルシが指揮官となり、ゴールを評価される重要な役割を担うことで覚悟も定まり、今シーズンはその流れに開幕から上手く乗ったと言えるだろう。
エースストライカーの象徴である背番号9を背負う、上田の得点への強い意識はゴール前での動きに表れている。過去の印象では激しいマークに対して、フィジカルに自信を持っているため、パワーで押し切ろうとする感が強かった。しかし、密着マークを受けながらのポストプレーはゴールを背にすることが目立ち、足を踏ん張った力技のその動きはどこか硬く、ぎこちなさを伴っているように見えた。
翻って今は積極的な前線からの守備にはパワフルさを残しながらも、敵ディフェンダーに対抗する術はパワー一辺倒ではなく、動きにスピードとしなやかさが増して巧みになっている。なにより相手ゴールに向かってプレーすることが圧倒的に多くなっている。カメラのファインダーに大写しになったペナルティーエリア内でラストパスを待つ上田を見ると、マーカーを外すために細かく、そしてかろやかなステップを繰り返しているのが良く分かる。
力対力を主としていたプレーから、現在の上田には指揮官ファン・ペルシーが現役時代にそうであったように、強烈なヘディングシュートが象徴する優れた身体能力に加え、ゴール前での冷静な判断力に磨きがかかっている。密集地帯において敵との距離を僅かでも、時間にして刹那でも引き離そうとする、しなやかで切れのある頭脳的な動きが、今まで以上に加わり、それがゴール量産へと結び付いていると言えるだろう。
上田のエールディビジでの活躍は、ワールドカップイヤーを迎えた日本代表にとっても心強いものとなっている。歴代最強と目されるサムライブルーが、さらなる高みを目指すために、オランダの地で成長を遂げた上田への期待は膨らむばかりだ。
[文・写真:徳原隆元]
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