柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダリストの角田夏実(SBC湘南美容クリニック)が30日、第一線を退く意向を表…

 柔道女子48キロ級で2024年パリ五輪金メダリストの角田夏実(SBC湘南美容クリニック)が30日、第一線を退く意向を表明した。千葉・浦安市内で「~これまでの私、これからの私~今後について」と題した記者会見を開き、自身の口から語った。

 角田によると、パリ五輪後、競技の第一線からいったん距離を置いて進退について熟考した。選考を辞退した昨年12月のグランドスラム(GS)を見る中で「私もあの舞台にもう一度立ちたいと思わなかった。(出ている選手は)すごいな、と思ってしまった時点で次の大会に出るのは厳しいと感じた」という。

 以下、主な質問への回答。

 ―第一線を退く理由について

 「私の中での引退は、五輪という一番上の、目指していた部分(ロス五輪)をもう目指さない。その『第一線』から退くことが引退なのかなと思っています。強化選手でいることは色々なサポートを受け、期待に応えなきゃいけないという部分があります。今の自分の中途半端な気持ちでそこにいることは良くないなと思い、こういった形で引退を決めました。引退はするものの、もし試合に出たいと思ったら、いつか出ることもあるかもしれない。そんな気持ちもありながら、競技者としてではなくても柔道に関わっていきたい。今は新しい柔道の一面が見えてくるのではないかという楽しさで一杯です」

 ―決め手は

「やはり昨年2月(グランドスラムバグー)の試合に出た時の大変さです。今までは『五輪を目指す』という目標があったから自分を騙して戦えていましたが、それがなくなった時に『戦うのってこんなに大変なんだ』と思ってしまいました。3年後のロスまでどうやって戦うのかと考えた時、先が見えなかった。気持ちがついてこないと体も動かない。実際に引退を考えたのは、昨年12月のグランドスラム(GS)を見た時に、『私もあの舞台にもう一度立ちたいと思わなかった。(出ている選手は)すごいな』と思ってしまった時点で次の大会に出るのは厳しいと感じた。実は12月の報道が出た時、自分の中では引退したい気持ちはありつつも、実感が湧かず決めかねていた部分がありました。でも報道が出て、色々な方から『お疲れ様』という言葉をいただいた時、すごく悲しくて寂しい気持ちになったんです。『引退をするってこういう気持ちなんだ』と感じ、今日までもう一度自分を見つめ直しました」

―山田監督への感謝(階級変更など)

 「本当に山田監督が(階級変更の際に)絶対に首を縦に振らなかったことに今は本当に感謝している。『辛いなら52キロ級でいい』と言ってくれなくて感謝している。その時は変更の辛さをわかってるのかなと、今井コーチに『監督は意見を変えてくれないですかね』と(話したこともあった)。本当にその時はありがとうございました。自分は柔道センスがあると思ってなくて、強い選手だとは思っていなかったが、その中で負けず嫌いな気持ちと、支えてくれる人の期待に応えたい一心で戦ってきた。東京五輪出られなくて引退を考えて、監督が階級変更した方がいいと言って、サポートしてくれる人がたくさんいたからこそ覚悟を決めて戦ったこの数年間で大きく成長できた」

 ―今後について

「先日も、柔道教室に行った時に先輩方から『ここまで遅咲きの人って本当にいないよね』と言われて。でも、そんな中でも、アスリートのエリートコースじゃなくても、夢を叶えることができるという部分で、色々子供たちに今度は伝えていけることがあるのではないかなと思っています。なので自分が経験してきたことをできるだけ次の世代に伝えていきたいという思いで、柔道教室をしていったり。全国の土地を回って、県を回って、柔道教室をしたいなと思っています。」

 ―柔道とは

 「なくてはならないもので、たくさんの経験をして素敵な出会いを産んでくれたものだと思っている。これまでは『恋人』のような関係と言ってきましたが、これからは柔道と『家族』になりたい。柔道をしてきたことで今の私があって、これからも携わっていきたい。競技者という形でなくても、柔道と一緒に自分の人生を歩んでいきたい思いがある。柔道家としてこれからも一生寄り添っていきたい存在です」