「韓国投手の練習量は、日本の半分にも満たない」 こう語ったのは、かつてソフトバンクで監督付特別アドバイザー(参謀役)を務…
「韓国投手の練習量は、日本の半分にも満たない」
こう語ったのは、かつてソフトバンクで監督付特別アドバイザー(参謀役)を務めた金 星根(キム・ソングン)氏だ。そしてこの言葉が、2026年シーズンを前にした韓国プロ野球(KBO)球団の春季キャンプで、改めて注目を集めている。
KBOは2026年シーズンから、アジア枠を初めて導入する。それに伴い、10球団が新たな外国人選手を補強したが、そのうち8人が日本球界出身の投手だった。NCダイノスが獲得したのも、元巨人の右腕・戸田懐生である。
韓国メディア『エクスポーツニュース』によると、NCダイノスの李昊俊(イ・ホジュン)監督は本格的なシーズン準備に入る前、日本野球に精通する恩師・金 星根氏に助言を求めたという。その際に伝えられたのが、「日本から来た投手を、韓国投手と同じ練習メニューで扱ってはいけない」という言葉だった。
背景にあるのは、日韓投手間の“練習量の差”だ。日本の投手は韓国に比べ、はるかに多いトレーニングを消化するのが一般的であり、日本出身投手に韓国式の調整を課すことで、かえって練習量が減り、パフォーマンス低下につながりかねないという指摘だった。
李昊俊監督も「実際に日本で見てきたが、投手の練習量を見ると、韓国のスケジュールは日本の半分にも満たない。だから戸田には、これまで通りのやり方でやらせるべきだと言われた」と語り、その考えに共感したという。
こうした視点は、別の球団の春季キャンプでも象徴的に示された。ハンファ・イーグルスの初代アジア枠選手で、元楽天の左腕・王彦程(ワン・イェンチェン)が、キャンプ初日のブルペン投球でいきなり80球を投げ込み、周囲を驚かせたのだ。同日に投球した韓国人投手(20球)と比べると、実に4倍の球数だった。
一般的にKBOの投手は、春季キャンプ最初のブルペンで20~30球、多くても40~50球程度にとどめ、慎重にコンディションを確認する。この中で「80球ほど投げるつもりだ」と語ったワン・イェンチェンに、コーチングスタッフが驚く場面もあったという。
台湾出身の王彦程は、2019年に楽天へ育成選手として入団。以降、二軍で通算85試合(343イニング)に登板し、20勝11敗、防御率3.62、248奪三振を記録している。
球団公式YouTubeチャンネルを通じて、王彦程は「70~80球投げた状態でも強いボールを投げられるか、フォームをどれだけ安定して維持できるかを確認したかった。春季キャンプで多く投げるのは昔からの習慣だ。大きく変えるのではなく、体の状態に合わせて調整している」と説明した。
記事は、この“80球ブルペン”が2026年シーズンの先発ローテーション争いにおいても、少なからず意味を持つ可能性があると評価している。
金星根氏は、KBOで監督を務めていた時代から、選手に高い練習強度を求める指導者として知られてきた。韓国プロ野球の現場で「練習量」と「基礎」を最も粘り強く重視してきた人物の一人でもある。その哲学は、日本出身投手を扱う姿勢にも色濃く表れていると言えるだろう。
金星根氏が語る“練習量の差”は、突き詰めれば、日本プロ野球がいかに基本を重視してきたかという問題に行き着く。王彦程のブルペン投球は、その違いを数字で示した象徴的な場面だった。