<最強日本フィギュア>(3)2月6日開幕のミラノ・コルティナ五輪まで30日であと7日となった。フィギュアスケート日本代表…

<最強日本フィギュア>(3)

2月6日開幕のミラノ・コルティナ五輪まで30日であと7日となった。フィギュアスケート日本代表は22年北京大会で獲得した過去最多メダル4個(銀2、銅2)を上回り、最大7個が視野に入る布陣となっている。「最強日本フィギュア」と題し、開幕日まで10日連続で代表選手の素顔を紹介。第3回は女子で初出場の千葉百音(20=木下グループ)の歩みに迫る。【取材・構成=勝部晃多】

★お兄ちゃん

同じ仙台市出身で五輪2連覇の羽生結弦さんが、夢舞台を強く志すきっかけだ。幼少期に同じアイスリンク仙台を拠点とした11歳年上の先輩。「ゆづる兄ちゃん」「もね」。実家には互いをそう呼び合うビデオが残っている。リンクで鬼ごっこをして遊んでもらったこともあった。当時から漠然と「すごい人」。自身が世界で活躍するようになり、その重みを肌で感じるようになった。「尊敬してもしきれないくらい、すごいことをしている。競技力も人間性も、偉大な方」。その足跡を追いかけ続ける。

★感情

「ファンの人から『この世の終わりの顔をしてる』と言われて…」。そう苦笑するのが、演技開始直前の表情。「あの困り顔の時って、良い緊張ができている状態なんです」と調子のバロメーターでもある一方、浜田コーチからは「怖い顔をしないで」と再三言われ、パディントンのぬいぐるみで笑顔をつくる練習をしてきた。その分、演技が終わると感情が爆発。今季のGPフィンランド大会のフリー「ロミオとジュリエット」の後には豪快に拳を握った。「ロミオをぶん殴っているようなガッツポーズを出してしまった」。五輪でも、感情や表情の変化に注目だ。

★ケア

運動誘発性ぜんそくや体調不良にも悩まされてきた20歳は、人一倍体と向き合ってきた。「血液の循環が滞りがち」と、たびたび空港などでもスクワットやストレッチに励む姿を見せる。手本は24年GPファイナル覇者のアンバー・グレン(米国)。「アンバー選手を見て今まで以上にクールダウンや規則正しい生活をしようと思った」。6歳年上が高難度ジャンプを跳び続ける姿に感銘を受け、ここ数年は筋力トレーニングにも着手。「(グレンは)背筋のセパレートが素晴らしい。美しさと強さ両方を兼ね備えることは華やかさにつながる」。見えない部分にも心血を注ぐ。

★五輪

幼い頃から憧れの舞台で、これまでも競技を問わずに応援してきた。冬は18年平昌五輪の羽生結弦のフリー「SEIMEI」が強く印象に残っているが、夏も思い出深いシーンがある。「彼女のはじける笑顔が、すごく鮮明に焼き付いています」。そう尊敬の念を抱くのが、陸上女子やり投げで24年パリ五輪で金メダルを獲得した北口榛花。「一生懸命練習を積んで、本番を楽しめるくらい自信を持って演技できるのが理想の状態。北口選手が競技に打ち込んでいる姿からはそれをすごく感じました」。アスリートとしてお手本とする存在だ。

★米

スケートで特別なルーティンはつくらず、シーズンを通して数回アップの内容も変える。日常でのこだわりも「あまりない」と話す合理主義者だが、白米は絶対に欠かせない存在だ。「朝は絶対に米ですね。パンを食べたことは人生で数回しかないですね」と生粋の米派。遠征には、自ら米と1・5合炊きの炊飯器を持参する。「ここ1~2年ぐらいそのスタイルでやってます」。お気に入りの銘柄は当然、宮城を代表するブランド米のひとめぼれ。「やっぱおいしいですね」と、地元の味を力に変えている。

◆千葉百音(ちば・もね)2005年(平17)5月1日生まれ、仙台市出身。荒川静香や羽生結弦と同じ東北高を経て、24年から早大。4歳の時にアイスリンク仙台で競技を始め、23年5月に練習拠点を京都に移して木下アカデミーに所属。同年全日本選手権2位。24年4大陸選手権優勝。25年世界選手権銅メダル。趣味は読書と刺しゅう。身長156センチ。