芸術や学術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2025年度朝日賞、優れた散文作品を顕彰する第52回大佛(おさらぎ…

 芸術や学術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2025年度朝日賞、優れた散文作品を顕彰する第52回大佛(おさらぎ)次郎賞、政治・経済・社会などの秀でた論考が対象の第25回大佛次郎論壇賞、広い意味の「うた」の作り手を顕彰する第7回大岡信(まこと)賞、スポーツで優れた成果をあげた個人や団体を表彰する25年度朝日スポーツ賞と同特別表彰に選ばれた計8人2団体への合同贈呈式が29日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。

 朝日賞は4人が受賞した。透明で開かれた作品で知られる建築家の妹島(せじま)和世さんは、「人々が集う公園のような建築をどうつくればよいか試行錯誤してきた」とあいさつした。歴史学者の吉田裕さんは民衆史などの視点から「アジア・太平洋戦争」の実態解明に取り組んできた。「戦争体験をどのような形で継承するのかが鋭く問われている。残された課題に取り組みたい」と語った。

 「創発電磁場」という独創的な概念を提唱した、理化学研究所プログラムディレクターの永長(ながおさ)直人さんは「量子力学は発展途上で未完の学問。どこまで行っても新しい疑問が出てくると思う」と述べた。趣味の囲碁もヒントに多くの情報を入れられ、正確に素早く読みとれる「QRコード」を開発したデンソーウェーブ主席技師の原昌宏さんは「ユーザー視点で考え使いやすい環境を作った。これからの進化に期待してほしい」と話した。

 朝日スポーツ賞を受賞した車いすテニスの小田凱人(ときと)選手は、車いすテニスの4大大会とパラリンピックを制する「生涯ゴールデンスラム」を最年少で成し遂げた。「みなさんが想像できないことやビジョンを実現しようと思っている。これからも応援をよろしくお願いします」とビデオメッセージを寄せた。特別表彰は「東京2025デフリンピック運営委員会」と「日本選手団」。久松三二(みつじ)運営委員長が「共に豊かに暮らしやすい社会を作ることに向け邁進(まいしん)したい」と手話でスピーチした。

 朝日賞の4人には正賞のブロンズ像と500万円、大佛賞と論壇賞、大岡賞の3人には賞牌(しょうはい)と賞金、スポーツ賞の小田選手と特別表彰の2団体にはレリーフと賞金がそれぞれ贈られた。

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 朝日賞は1929年に創刊50周年記念事業として創設。受賞者が後年、ノーベル賞に輝くことも多い。最近ではノーベル生理学・医学賞の坂口志文さん、平和賞の日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の例がある。