オーストリアの大手飲料メーカー、レッドブルがサッカーJ2大宮アルディージャを買収してから1年が経った。変革を進めるクラ…

 オーストリアの大手飲料メーカー、レッドブルがサッカーJ2大宮アルディージャを買収してから1年が経った。変革を進めるクラブはどこに向かうのか。強化責任者の「ヘッドオブスポーツ」を務めるウェールズ出身のスチュアート・ウェバー氏(41)に聞いた。

 ――昇降格のない百年構想リーグが2月に開幕します。どんな狙いで臨みますか。

 「一つ目は、我々のサッカーを確立し、浸透させていくことだと考えています。この半年を使って、我々のサッカーをしっかりとチームに根付かせていく」

 「もう一つはいま抱えている選手たちを見極める期間にしていきたい。夏には、(J1昇格もかかる)26―27年シーズンが始まる。彼らが本当にしっかりとしたパフォーマンスを残すかどうかを見極めていければ」

 ――我々のサッカーとは?

 「レッドブルの精神でもあるのが『Intensity is our identity』(強度こそ我々の存在意義)。その言葉に象徴されるように、自分たちは前向きに、主導権をとりにいく。自分たちからアクションを起こすのが、我々の目指すフットボールだ」

■成功の核になるのは若い選手

 ――今季獲得した選手の多くは25歳以下です。若手主体の編成の狙いは。

 「昨年の編成から、平均年齢を下げたい、と考えて取り組んできました。ただ、若手選手だけでは難しいところはある。経験のある選手の力を借りながら、やっていければ」

 「J1に上がって成功したい、という目標はもちろんありますが、成功の核になるのは若い選手だと自分は考えています。レッドブルの手法で、日本の若いタレントをしっかりと成長させていく。それが一番できるクラブだと証明していきたい」

 ――若手に年齢の基準はあるのか。ある選手は「24歳でもう中堅」と語っていた。

 「日本では、三笘薫選手(ブライトン)が大学を出てから海外に行っていいキャリアを歩んでいる、とよく聞きます。ただ、それはあくまで一つのケースで、そのような道を歩めなかった例は何千もある、と自分は考えています」

 「大学を22~23歳で出てから欧州に行くことを考えると、とてつもないスピードで成長していかないと、次のステップにはいけない。欧州では、21歳までにある程度の試合数に出ていないといいキャリアを歩むには難しい、といわれています。日本の大学を経て、24~25歳でオランダやベルギーにいても、本当にずば抜けた存在でない限り、5大リーグの投資対象になる選手とは見てもらえない」

 ――FC琉球の育成組織にいた17歳のマギージェラニー蓮選手を獲得し、話題になりました。

 「マギーにかぎったことではありませんが、若い選手には、我々のクラブにくればこんな機会がある、という話をします。例えば、今、トップに登録している神田泰斗選手(17)は、すでに(ドイツの)ライプチヒに3回ほど、練習参加にいっています」

 「日本にきて若い選手に話を聞いてみると、99%の選手が将来的には欧州に行ってみたい、という話をします。欧州に行くための準備として、我々のクラブではヨーロッパに近い形でプレーすることができる」

 ――J1昇格を果たした水戸ホーリーホックにいた西村卓朗GMが加わるなど、ダイレクター職も増えました。

 「西村さんと実際に会って、話をしたときにかなり自分と似たサッカーの考え方をしているなと感じました。日本に来て4カ月間仕事をして、やはり日本での経験がある方が必要だな、と。契約のルール、協会やJリーグと直接コミュニケーションをとりあえる存在がほしかった」

 「クラブの全体像を考えたときに、例えば私がユースの視察でブラジルに行き、2週間不在になったときに彼がクラブでいろいろ仕事を進めてくれる存在になってくれる。野心的に、早い成長スピードでどんどん前に進んでいきたいと考えると、やはり彼のような存在が必要です」

 ――レッドブルグループとして、世界を舞台に育成しているイメージですか。

 「『ナンバーワンチーム』という言い方になるが、まずライプチヒがある。彼らもこの夏、多くの若い選手を獲得し、結果を残している」

 「レッドブルグループの一員として、理想としてはライプチヒに若い選手をどんどん送り出したい。それが難しくても、日本の若いタレントを成長させ、ほかの欧州クラブに出したい。レッドブル、RB大宮のやっていることが日本サッカー界にとって良いインパクトを残せるのではないかと私は考えています」(照屋健)