U-23日本代表が、サウジアラビアで開催されていたU23アジアカップを制した。若き日本代表は大会を通じて、自分たちと日…

 U-23日本代表が、サウジアラビアで開催されていたU23アジアカップを制した。若き日本代表は大会を通じて、自分たちと日本サッカーの成長を証明した。さらに見えてきた明るい未来についても、サッカージャーナリスト後藤健生がつづる。

■無得点でも貢献したFW

 前回のコラムで、僕はトップのンワディケ・ウチェブライアン世雄や道脇豊が流れの中から得点できていないことを問題点として挙げた。

 決勝戦でも、やはり彼らに得点は生まれなかった。

 ンワディケに縦へのボールが入りそうな場面は何度かあったが、やはりコントロールできずにシュート場面まで持ち込めなかったし、77分に交代で入った道脇も横山夢樹からのクロスに合わせる場面があったが、正確にタッチできずに逸機。

 とうとう、大会を通じて9番と19番に流れの中からのゴールは生まれなかった。

 しかし、決勝ではンワディケは日本の勝利に大きく貢献した。

 ンワディケが前線で相手DFとの駆け引きを続けたために中国の最終ラインは押し下げられて日本の2列目以下の選手が余裕を持ってプレーできるようになったし、2点目の場面ではンワディケは左の横山のクロスのターゲットとなって相手のクリアミスを誘って小倉幸成のゴールにつなげた。

 さらに、25分には佐藤龍之介からの縦パスをワンタッチで左の横山にはたいて、横山からのクロスに古谷柊介が飛びこむ決定機のお膳立てする場面もあった(ンワディケのポジションがオフサイドと判定されたが……)。

 つまり、中国戦ではンワディケは自らが得点を取ることにこだわらずに、ポストプレーや前線での駆け引きで日本の攻撃を大いに助けたのだった。

 つまり、これまでの試合より自分の役割を明確に整理して戦っていたように見えた。

■大事な「一呼吸」

 彼自身が準決勝までのプレーを省みてあのようなプレーをしたのか、それとも監督・コーチからの指示だったのかは分からないが、直接ゴールに絡まなくてもチームに貢献できることを示せた。190センチというサイズのあるFWが前線でプレーするのだから、少なくともアジアの相手にとっては大きな脅威になる。

 もちろん、将来は自ら得点を量産するようなFWに成長してもらわないと困るのだが、ああいう形で自らのサイズという武器の生かす形を見出したのはよかった。

 トップの選手に流れの中からの得点が生まれなかったのに対して、MFは日本の得点源となった。

 決勝戦でもインサイドハーフの大関友翔が先制点を決め、アンカーの小倉がミドルシュートを2本決め、さらに佐藤のPKによる得点と、すべてMFがスコアラーとなった。

 たとえば、1点目の大関のシュート。古谷からのパスを受けた大関は、ワンタッチで打つのではなく、ボールを止めて反転してからシュートを放った。

 ゴール前でのチャンスでは、ボールを止めてしまうと相手DFに戻る時間を与えてしまうので、ワンタッチでシュートすべきだというのが従来の考え方だった。

 だが、今大会の得点場面を振り返ってみると、決勝戦での大関の得点のように一呼吸入れてからのシュートが目立った。

■日本を助けた「選択肢の多さ」

 大会初戦のシリア戦での先制ゴールも、佐藤がはたいたボールを受けた大関がシュートモーションを入れて相手DFを振ってからのシュートだった。どんな場面でもワンタッチシュートが正解というわけではない。相手のDFがすでに戻ってシュートコースをふさいでいるのなら、シュートのタイミングを遅らせて相手のDFを動かしてから打てばいいのだ。

 シュートの場面だけではない。たとえば、タッチライン際の味方にパスを出そうとした場合、相手DFにパスコースを切られたら、すぐに切り替えて他のコースを選択する。

 パスの場面でも、シュートの場面でも、日本のMFは常に複数の選択肢を持っており、一つのプレーをキャンセルして別のプレーに切り替えることで相手のプレッシャーを回避するのがうまかった。

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