ノルディックスキー・ジャンプ女子でミラノ・コルティナ五輪代表の高梨沙羅(29)=クラレ=が28日、羽田空港から欧州に出…

 ノルディックスキー・ジャンプ女子でミラノ・コルティナ五輪代表の高梨沙羅(29)=クラレ=が28日、羽田空港から欧州に出発した。五輪前最後の国内大会だった山形・蔵王、札幌の4連戦は最高8位ながら、ずっと追い求めてきた助走姿勢、飛型点に手応えを感じており、「自分ぐらいは自分に期待してあげたい」と、4度目の大舞台へ自信を深めている。2022年北京五輪混合団体でスーツの規定違反で失格となった雪辱を果たす態勢は整いつつある。

 柔らかな表情が、確かな手応えを感じさせる。濃いモスグリーンのセーターを身にまとった高梨は、さっそうと空港に現れた。大会開幕を2月6日に控え「いよいよだなという気持ち。自分ぐらいは自分に期待してあげたい」と大人びた雰囲気とは裏腹に、ちゃめっ気たっぷりに笑顔で話した。

 自分を信じられる理由がある。昨季から、ここまでW杯の表彰台はない。それでも、10代から大事にしている「焦らず、慌てず、諦めず」の言葉を胸に、苦手な着地姿勢、助走路の滑りなど細部にこだわり続けた。ここに来て、21日のW杯蔵王大会1回目に足を前後にして着地するテレマークをきっちりと決め、飛型点で出場選手トップタイ52・5点の高得点を出すまでに精度を高めてきた。「不安要素は少なくなってきた」と、復調に自信を示す。

 4度目の五輪は、13年世界選手権混合団体で金メダルを獲得した思い出の地。前回北京五輪では、その混合団体でスーツの規定違反により失格する屈辱を味わったが、雪辱を果たすにはこの上ない舞台だ。「行ったことのある場所。見たことがあるからこそ安心して過ごせる」とイメージを膨らませる。混合団体は男女2人ずつで挑み、男子は25日のフライング世界選手権団体で金メダルの快挙を成し遂げたようにメダル獲得へ追い風も吹く。「選ばれるかどうかはこれからだが、チームに貢献できるよう頑張る」と意欲を示した。

 復権に立ちはだかるのは、今季W杯13勝を挙げ個人総合女王をひた走るN・プレブツ(スロベニア)。ライバルについて「強い選手ですし、精密なジャンプをする。いい意味でアンドロイド感がある」と絶賛するが、W杯最多63勝を挙げる自身も過去、外国勢から「アンドロイドみたい」と正確無比なジャンプを評されていた。似た境遇にある新旧女王対決への注目にも「似ていないと思います」と、軽くいなす余裕が今はある。

 30日から始まるW杯ビリンゲン大会(ドイツ)を経て勝負に挑む。「五輪は特別。しっかり自分を持ちながらやっていきたい」。沙羅が、上昇ムードを漂わせながら、夢舞台に向かう。(松末 守司)

 ◆高梨沙羅の今後の日程

 ▽1月30日 W杯ビリンゲン大会(ドイツ)第1日

 ▽2月2日 ミラノ入り

 ▽同8日 ミラノ五輪・個人ノーマルヒル(日本時間午前2時45分~)

 ▽同11日 ミラノ五輪・混合団体(選出された場合、日本時間2時45分~)

 ▽16日 ミラノ五輪・個人ラージヒル(日本時間午前2時45分~)

 ◆沙羅の五輪

 ▽14年ソチ五輪=個人NH4位 直前までのW杯10勝など圧倒的強さで初の五輪に臨んだ。1回目100メートルで首位と2・7点差の3位、2回目は98・5メートルと伸ばせず表彰台に届かぬ4位。金メダルのフォクト(ドイツ)と4・4点差、銅のマテル(フランス)とは2・2点差だった。

 ▽18年平昌五輪=個人NH銅メダル ルンビ(ノルウェー)、アルトハウス(ドイツ)との三つどもえ。W杯総合3位で迎え、1回目103・5メートルでルンビ、アルトハウスに次ぐ3位。逆転を狙った2回目も同じ距離で順位を死守し、ジャンプ女子で史上初の五輪メダルを手にした。

 ▽22年北京五輪=個人NH4位、団体4位 個人NHは1回目98・5メートル、2回目100メートルを飛んだが4位。新種目の混合団体(高梨、佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑)は、1回目に103メートルを飛んで暫定首位につけたが、スーツの規定違反で失格。諦めず2回目も飛んで98・5メートル。日本は4位だった。