オリックスへ移籍3年目、札幌ドームで告げられた非情な通告 2018年7月にDeNAからオリックスへトレード移籍した白崎浩…
オリックスへ移籍3年目、札幌ドームで告げられた非情な通告
2018年7月にDeNAからオリックスへトレード移籍した白崎浩之氏(西武パフォーマンスアナリスト)は、新天地でも結果を残せぬ日々と戦っていた。現役生活最後になるかもしれないという覚悟を抱いて臨んだ3年目の2020年夏、白崎氏を待っていたのは「涙が込み上げた」というほどの屈辱の経験だった。
オリックスに入団した年は30試合、翌2019年は25試合の出場に終わり、ともに打率は2割強だった。30歳を迎える2020年シーズンは自身にとって勝負の一年だった。
これまでの実績も加味され開幕は2軍スタート。待望の1軍昇格は7月22日のことだった。「この先のプロ野球生活があるかないか、腹をくくっていた年でした。年齢的にも本当に最後になるかもしれない。だからすごく気合は入っていました」。
直面したのは厳しい現実。出場機会は代走と守備固めによる3試合のみ。そして合流からちょうど1週間目となった7月28日、敵地での日本ハム4連戦の初日でのことだった。札幌ドーム(現プレミストドーム)に到着後、呼び出されて伝えられたのは「ファームに行ってください」。2軍降格だった。
「結果が出ていなかったら納得できるけど、1打席も立たせてもらえずに言われてしまって。しかも札幌遠征にまで行っておきながら、その初戦の前に現地で……言葉にできないほどの悔しさがあって、怒りで涙が込み上げるくらいの感情になっていました」
北海道・岩見沢市出身。地元で“再スタート”を切るという強い気持ちもあったが叶わず、屈辱を胸に西村徳文監督やコーチ陣に挨拶。その日のうちに登録抹消となった。「そのまま大阪に戻ったのか、実家に顔を出したのか、どうしたか覚えていないくらい。やり場のない怒りがありました」。闘争心などを表に出さない柔和な男が、プロ入り後初めてコントロールできない感情を抱えた。
ラオウの打撃を見て「自分が2軍にいるのを納得」
帰阪後には気持ちを切り替え、再びチャンスを待って練習を続けていたなか、8月20日にチームの成績不振の責任をとって西村監督が辞任。2軍の中島聡監督が1軍代行監督を務めた。この同じタイミングで2軍から“連れて”昇格させたのが同じ右打者の杉本裕太郎外野手だった。
「中嶋さんがすぐに『ラオウ(杉本)行くぞ』って感じで1軍に上げました。ラオウは1歳下なんですが、しっかり長打を打って結果を残していた。そんな活躍を見て、自分が2軍にいるのを納得してしまった部分がありました。落とされた瞬間は冷静に振り返ることができなかったけど、これが実力の世界なんだなと」
この年のオフ、白崎氏は戦力外となる。「ベイスターズから来て、パ・リーグを経験して、ウエスタン・リーグも経験できた。最後の年は中嶋さんと過ごす時間が多くて、何か特別な会話をしたとかではないんですが、ラオウや紅林、太田とかの育成を近くで見ることができた。僕のキャリアのなかでも、すごく勉強になった期間でした」
地元での屈辱の2軍降格は、今でも強く苦い記憶として残っている。しかし、後にオリックスの3連覇を成し遂げた中嶋聡監督のもとで過ごした時間は大きな財産となった。ドラフト1位で入団したDeNAから8年、白崎氏のプロでの挑戦は幕を閉じた。(湯浅大 / Dai Yuasa)