カーリング女子日本代表「フォルティウス」は、多くの逆境を乗り越えてきた。ミラノ五輪への道のりを振り返る中で大苦戦したの…

 カーリング女子日本代表「フォルティウス」は、多くの逆境を乗り越えてきた。ミラノ五輪への道のりを振り返る中で大苦戦したのが活動資金を支えるスポンサー探し。2大会連続で五輪を逃した2021年末に、北海道銀行が契約を打ち切り。チーム存続の危機に遭った。スポンサー無しから数百社に売り込むなど奮闘の舞台裏を、トレーナー兼マネージャーの松井浩二さん(48)に聞いた。

 4年前の再出発から、フォルティウスの軸は変わらない。「現役生活どうしようか…」。そう漏らしたのはスキップ吉村紗也香(33)だった。21年9月の北京五輪代表候補決定戦。当時「北海道銀行フォルティウス」としてロコ・ソラーレとの一騎打ちに挑んだが、2連勝からの3連敗。五輪切符を逃した。18年平昌五輪に続く不本意な結末。「そこに懸けていました。正直そこでやめるっていう選択肢もあったと思います」。マネジャーを兼務する松井さんはそう振り返った。

 続行か撤退か。約2週間、じっくりと全員で話し合って続行を選択。「4年後に向けて頑張りたいという気持ちが、自然と出てきた」と松井さん。チームの気持ちは同じだった。「やるからにはトップを」と目標を「五輪金メダル」と設定し再出発した。

 真っ先に動くべき懸案事項は資金集め。松井さんの勝負も始まった。北海道銀行との契約が終了し、スポンサー不在からの再スタート。選手に「結果を出すことに集中してください。自分が(スポンサーを)探してきます」と伝えた。

 カーリングは大会や練習で海外遠征が必須な競技。1シーズンで少なくとも5~6000万円の資金がかかる。興味を持ってくれそうな会社に足を運び、知り合いのツテも駆使。企業のお問い合わせフォームにメールを送り、異業種交流会に参加して「話を聞いてください」と名刺を配りまわった。ローカルテレビに出演して宣伝もした。どこからも声がかからない約2か月も「選手たちが本気で五輪に行くって言ったことを、正解にしなければいけない」と心は折れなかった。

 問い合わせたのは数百社。21年の年末、ついに了承の一報を受けた。「涙が出るくらいでした」。松井さんの築いた信頼はもちろん、選手らも「自分たちがやれることをってメディアに出演したり、負けた後でしたが五輪のロコ・ソラーレさんを応援するために活動もしました」。五輪に出られない悔しさの中でも、カーリングの輪を広げ、スポンサーを獲得する。その熱い思いが伝わった。

 目標は金メダル。「それが一番、スポンサーさん、応援してくれている方たちへの責任だと思っています」。吉村も「五輪で一段と強くなった姿を見せたい」と言い切った。本当の勝負が、いよいよ始まる。チーム一丸で五輪の頂点へ向かう。(手島 莉子)

 ◆フォルティウスのスポンサー トップスポンサーの「北海道・でんき保安協会」、「加茂川啓明電機」、「学校法人恭敬学園・北海道芸術高等学校」など26社。(27日時点)。

 〇…カーリング女子の決勝はミラノ五輪の大会最終日の2月22日、実施8競技116種目の大トリを飾る。女子は98年長野で初採用され、日本は8大会連続で参加。06年トリノ代表「チーム青森」は「カー娘」の愛称で一世風びした。試合の合間の補食「もぐもぐタイム」が話題になったロコ・ソラーレは18年平昌大会で日本初銅メダルを獲得し、前回22年北京大会で銀メダルを獲得。フォルティウスは日本の3大会連続表彰台が期待される。