◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 日本のサッカー界をリードしてきた三浦知良を取材した。1月10日に都内でJ3福島の加…
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
日本のサッカー界をリードしてきた三浦知良を取材した。1月10日に都内でJ3福島の加入会見。翌日はチームに合流するため、記者兼カメラマンとして福島へ向かった。
22年からの3年間、東北支局時代に通った雪残る山あいの練習場は見違える景色だった。いつもサポーター5人とメディア数人だったグラウンドに、約70人の見学者と報道陣30人が集結。カズの一挙手一投足に注目していた。
フォトセッションで背番号と顔が見えるように「もう少し(顔をひねって)後ろを向けますか」と声をかけたところ、「首が回らないんだよね」とやんわり断られた会見と違い、うそのような軽快な動き。若手に負けないハードな練習をこなし、真剣な表情で高く蹴り上げる足は58歳とは思えない。練習の合間には大きな声で「ナイス。ナイス。ナイス」と10秒間、拍手をして選手を鼓舞。1時間ほどでチームメートと打ち解けてしまうカズの人柄に、誰もが魅了された。
地元の記者は突然現れたスーパースターに困惑気味。囲み取材では、誰が最初に質問するか微妙な空気が流れた。先陣を切って、初めて東北のクラブでプレーすることについて「冷たい東北の空気はどうですか?」とたわいもない質問をしてしまった。それでもレジェンドは穏やかな表情で「天候は自分たちがコントロールできることじゃないからね」と顔見知りでもないのに、丁寧に答えてくれた。「この新鮮な気持ちをずっと維持していけるように、今の気持ちを忘れずに、みんなと一緒に成長していきたい」。初心を忘れない決意に、スターの奥深さを感じた。(写真担当・山崎 賢人)
◆山崎 賢人(やまざき・けんと)サッカー誌を経て20年に入社。東北勤務で日本酒にはまり5キロ増。