<潜入>フル回転の26年へ、阪神湯浅京己投手(26)の自主トレ施設に潜入した。国指定難病の「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化…

<潜入>

フル回転の26年へ、阪神湯浅京己投手(26)の自主トレ施設に潜入した。国指定難病の「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰した昨季は、手探り状態で突き進んだ1年間だった。病気への理解度も上がり、傾向も手に入れた今オフは、これまで以上にウエートトレーニングに着手するなど計画的に練習を実行。「抹消なし」の1年を目標に、開幕へと突き進む。

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誰に指示されるわけでもなく、湯浅は着々とメニューをこなしていた。やるべきメニューはすべて頭の中。大阪市内のトレーニングジムでほとんど休むことなく練習をこなし、気づけば2時間が過ぎていた。真剣なまなざしは、今オフの充実ぶりを物語っていた。

「病気になって、いろいろ試しながらやらないといけないことがたくさんあって。でも自分のイメージ通りというか。考えていた感じでやれています」

昨季4月に国指定難病の「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰。下半身へのしびれなどが起こる病だ。昨季は40試合に登板しながら、シーズンを戦う中での病気との向き合い方は手探りな部分も多かった。一方で難しい1年を終えた現在は気圧や寒暖差による傾向など、分かったこともたくさんあった。

「去年は投げたらどうなるとかも分からない状態から始まって。そこを最低限『これくらいなら大丈夫』というのも去年分かったというか。今でもまだ分からないことがあるのはある。そこはうまく付き合いながら、今シーズンはいけると思っています」

昨季終了後の11月から計画的に過ごしてきた今オフ。ホップ成分などを含め、直球の質を高めることを念頭に置いてきた。その上で、以前に比べてより本格的にウエートトレーニングにも着手。病気によってパワーの出力が限られてしまうなら、もともとの絶対値を高めようという狙いだった。「ウエートをやることで、筋力でカバーできる部分があるんじゃないかと」。

11月から12月は筋力アップがメイン。スクワット系のトレーニングでは当初100キロの重量が重く感じていた中、今は平気で160キロを10回行えるほどに強くなった。1月は少しずつスピードを意識した練習にシフトチェンジし、2月には織り交ぜながら練習していく予定だ。

この日は朝から回旋動作などを取り入れた、より投球動作につながるトレーニングを敢行。午後からは東大阪市内の室内練習場に移り、傾斜を使った投球練習などを行った。投げた感覚や動きやすさも、1年前に比べると「全然違う」。充実の冬を経て、今季はフル回転での活躍を誓った。

「開幕からシーズンを通して1軍で投げたいのがやっぱり一番強い。なんとか抹消無しでシーズンを通していきたいというのが、一番強く思っています」

2月は身体も考慮され、具志川キャンプからスタート。復活を果たした25年。26年はその先を届けていく。【波部俊之介】

○…湯浅をプロ入り1年目のオフから指導する菊池貴之トレーナーも、今季の活躍に太鼓判を押した。昨季90%前半だった直球の回転効率は95%台まで良化しているといい、さらなる成績の向上を見込んだ。「球速は155キロとかを出して150キロ前半をアベレージに持ってこられれば、球の強さがあれば補えるものもあると思う。(湯浅は)いい意味で欲があるんですよ。こうなってやろう、みたいな。自分でちゃんと信じられる力というか、そういうのがめちゃくちゃいいと思います」と話した。

◆近年の湯浅 21年にプロ初登板を含む3試合に登板。翌22年は59試合で2勝3敗、43ホールド、防御率1・09と大ブレークした。活躍が認められ、23年3月のWBCで代表入りすると、3大会ぶり3度目の世界一に貢献。同年はチームでも守護神を託されたが、不調に加え右前腕、左脇腹の筋挫傷と故障が相次ぎ、15試合登板にとどまった。さらに24年は8月に国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術を受け、未登板。懸命なリハビリで25年に1軍復帰し、40試合で防御率2・52。阪神のリーグ優勝に貢献した。