日本勢のメダル量産が期待される冬の祭典、ミラノ・コルティナ五輪(2月6日開幕)へカウントダウン連載をスタート。第1回は…
日本勢のメダル量産が期待される冬の祭典、ミラノ・コルティナ五輪(2月6日開幕)へカウントダウン連載をスタート。第1回はスノーボード男子のビッグエア(BA)、スロープスタイル(SS)に初出場する木村葵来(きら)=ムラサキスポーツ=。「きら」の名は機動戦士ガンダムSEEDの主人公キラ・ヤマトが由来の21歳は、初の五輪で同種目日本男子初となる金メダルを目標に掲げた。3月のWBCで侍ジャパンの一員として連覇に挑む憧れのドジャース・大谷翔平投手(31)との“世界一リレー”も夢見ている。
夢見てきた大舞台が迫ってきた。お気に入りのドジャースのキャップをかぶった木村は、初出場のミラノ五輪へ「ビッグエアとスロープスタイルでどっちも金メダルを取りたい。自分のやりたいことを悔いなく五輪でできれば」と決意を込める。日本男子初のメダル獲得&2冠の偉業に挑む。
「全てがすごい」と、大谷投手に憧れている。野球少年に夢を与える人間性にひかれ、ドジャース戦も配信で見る。大谷が睡眠を大切にしている記事を読めば「僕も8時間以上は寝よう」と意識するほど。「五輪で僕が滑っている姿を見て、子どもたちに格好いいと思ってもらえるように」と木村。初の夢舞台で金メダルを獲得し、WBCに臨む大谷へミラノから“Vバトン”をつなぐ大志も抱く。
小学生の時、SSが種目に加わった14年ソチ五輪をテレビ観戦。日本の角野友基らライダーの独創性豊かな滑りに「うわ~、格好いい。僕もこれやりたい」と感動した。本格的にBAとSSに励む契機になった。
23~24年シーズンにBAのW杯種目別王者に輝き、五輪が視野に入った。だが、2季で争うミラノ五輪代表選考レースは出遅れ、どん底からの滑り出し。24年9月、技の練習中に着地でミスし、右足首の脛腓靱帯(けいひじんたい)を損傷。昨季はけがをおしてW杯を転戦も表彰台は3位の1度。「けがに悩まされた」と五輪代表争いも薄氷の戦いを強いられた。
焦りもあったが、今オフは「けがしない体」を主題にフィジカル強化。月に3週はリハビリと主に足腰を鍛えるトレーニングに充てた昨春、体づくりを一から見つめ直した。けがを乗り越えた今季は初五輪へ髪形を心機一転。9位だった昨年11月のW杯開幕戦後「やってみたい」と思い立って友人にバリカンで刈ってもらい、ドジャースのスター野手、ムーキー・ベッツ(33)を意識し、人生で初めて長さ1センチ以下に。すると、第2戦から持ち前の高さのある5回転半の技をそろえ、2戦連続で2位。初の五輪切符をたぐり寄せ「次は店を予約する」とベッツスタイルがお気に入りだ。
「きら」の名は、機動戦士ガンダムSEEDの主人公が由来だ。父がガンダム好きで「家にめっちゃプラモデルが飾ってある」という。自身も気に入っており、五輪で初披露予定の横6回転の大技を武器に、ミラノ五輪の主役を演じる。(宮下 京香)
◆ミラノ五輪のBA、SS男子代表 木村、荻原大翔(ひろと)、長谷川帝勝(たいが、ともに20)=ともにTOKIOインカラミ=、木俣椋真(23)=ヤマゼン=の全4人が初代表だが2種目で日本男子初の表彰台入り、金メダルに挑む。特にBAは期待が大きく、世界選手権で23年に長谷川、25年に木俣が頂点に立ち、木村は23―24年季のW杯で種目別制覇。荻原は25年の冬季Xゲームで世界初の横6回転半技に成功し初V。今年、再び決めて2連覇した。超大技はギネス世界記録に認定され、4人の“サムライダー”はいずれも初の夢舞台で頂点を狙える実力者だ。
◆木村 葵来(きむら・きら)2004年6月30日、岡山市生まれ。21歳。4歳で競技を始め、14年ソチ五輪のSSを見て憧れ、中学1年で本格的にBA、SSを開始。中学までは体操競技にも励む。中学2年でスノーボードのプロ資格を取り、初出場した23年1月、BAのW杯3位。23~24年季にBAのW杯種目別制覇。岡山・倉敷翠松高―中京大。家族は両親とスノーボーダーの弟・悠斗(17)。身長166センチ。