NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第6節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2026年1月24日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 24-33 リコーブラックラムズ東京

逆転劇の中心にいた“失敗しない男”。勝利を手繰り寄せた若き司令塔の右足


日本代表で自信を深めたか、リコーブラックラムズ東京の中楠一期選手

寒空の下、“猪”と“黒羊”の意地がぶつかり合う激闘は、キック精度の差が勝敗を分けた。

両チームともにトライを奪い合う展開となったが、コンバージョンキックとペナルティゴールで得点を着実に積み重ねたリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)が今季3勝目を挙げた。特筆すべきは、そのすべてが後半での逆転勝利である点だ。キャプテンのTJ・ペレナラは「プランどおりに実行し切れない部分もありましたが、その中で勝つ方法を見いだせました」と、劣勢をはね返すチームの“勝ちグセ”に自信を覗かせた。


キャプテンとしてチームをリードするTJ・ペレナラ選手

逆転劇の中心にいたのが、この日キック成功率100%を達成した中楠一期である。試合開始早々に先制のペナルティゴールを決めると、チームがシンビン(一時的退場)で一人少ない数的不利の状況でも、冷静にペナルティゴールを成功させチームを鼓舞した。試合終了間際にポストの真ん中を射抜いたキックは、点差を8点に広げ、7点差以内の敗戦に与えられるボーナスポイントさえも三菱重工相模原ダイナボアーズから奪い取った。

試合後、中楠は「入るか外れるかではなく、プロセスだけにフォーカスしました」とキックの場面を冷静に振り返った。昨年の日本代表としての活動を経て、「プレッシャーの中でプレーする経験が生きています。前のシーズンよりは一貫性を持ってプレーできていると思っています。いろいろな経験をしたことで平均値を上げられているというか、レベルアップできている実感があります」と自身の成長に確かな手ごたえを感じている。また、ペレナラも、相手ウイングの身長差を突く戦術眼を中楠が指摘したことに触れ、司令塔としての信頼を口にした。

ヘッドコーチのタンバイ・マットソンも「(中楠)一期は完璧なキックゲームを披露しました」と最大級の賛辞を送った。若き司令塔の右足がチームに大きな勢いをもたらしたことは間違いない。

接戦をモノにする勝負強さを手にしたBR東京。リーグ中盤戦に向けて視界は良好だ。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズ


三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、吉田杏キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「明らかに非常に残念な結果です。前半は試合を優位に進められる、非常に良いポジションにいたと思いますし、良いプレーができていたと感じていました。大きな問題はペナルティの数と規律の悪さです。あれほど多くのペナルティを与えてしまっては勝利をつかむことはできません。2週連続で、ハーフタイムまでは非常に良い状況にありながら、最後は試合を勝ち切ることができませんでした。非常に残念ですが、選手の努力は素晴らしかったですし、改善すべき点も明確になっています」

──規律の部分について、なかなか改善できない理由はどこにあるとお考えでしょうか。

「おそらく、正しいことをしたいという気持ちが空回りして、焦りが出てしまったのだと思います。やりたいことは合っていますが、その方法が間違っていることがあります。ディフェンスでのペナルティについては、それほどプレッシャーが掛かっていない状況でも簡単にペナルティを許してしまい、相手にチャンスを与えてしまいました。

自分たちはうまく守れているということを再認識し、コントロールと冷静さを取り戻す必要があります。インパクトを与えようとするあまり、タイミングが少し早過ぎてしまうこともあるようです。そうした状況で何が正しい選択なのかを学び続け、改善していかなければなりません。毎週こうした学びがある中で、いつ仕掛けるのかというタイミングをみんなが身に付け始めているところなので、そこは問題なく改善できると思っています」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏キャプテン

「グレン・ディレーニー ヘッドコーチもおっしゃったとおり、全体をとおしてゲームとしては良い部分のほうが多かったです。ただ、自分たちでコントロールできるペナルティの部分については、ここ数週間ずっと言い続けていますが、まだ改善できていません。そこを厳しくレビューする必要があります。そこをコントロールできていないのは僕自身の責任でもあると思っているので、僕自身ももっと厳しくなって、一人ひとりと向き合っていきたいと思います」

──前半はもっと点差を付けて終われるくらい優勢だったように見えました。点差を付けられない焦りはありましたか。

「ペナルティゴールの選択や、結果的に外れてしまってスコアがうまく動かない時間帯もありましたが、点数が動かないことへの焦りはありませんでした。自分たちが優位に立っている状況でしたし、テリトリーでもフィジカルの部分でも自分たちのペースになっていました。ペナルティやコントロールできるところを自分たちで崩してしまい、相手のペースにさせてしまったのが、一番悪かったところかなと思います。ただ、今週1週間で準備してきたことを出せた部分のほうが多かったと感じています」

リコーブラックラムズ東京


リコーブラックラムズ東京のタンバイ・マットソン ヘッドコーチ(右)、TJ・ペレナラ キャプテン

リコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ

「結果が自分たちにとって大事だったので、勝利を収められたことを本当にハッピーに思っています。

タフな勝利だったのですが、前半は相手のほうが上回っていましたし、後半もレスリングのような揉み合う感じになりましたが、イエローカードやペナルティでチャンスが自分たちに生まれて、それをしっかり選手たちが生かしてくれたかなと思います。最後まで戦い続けることが自分たちにとって大事でした。(バイウィークで区切られた)セカンドブロック最後の試合だったので、目標に向かっていくために大事な部分でした。

あとは李淳弘がファーストゲームでした。新人選手が出るにはタフな試合だったと思うのですが、コンディションもタフな中で(パフォーマンスは)良かったです。それから、10番の中楠一期が完璧なキックゲーム、スコアをして、それもすごく良かったです」

──ゲームプランと今日のパフォーマンスで一番ズレの大きかったのはどこでしょうか。

「ラインアウトの実行力は関係していると思います。リハーサルもしていますが、ラインアウトがうまくいくかはいろいろな要因があります。いまはそこまでうまくいっていない。そこが一番大きなポイントです。

ただ、ボールを持ったときは相手にプレッシャーを掛けられています。今日もボールを動かそうとして少しミスが目立ったりもしましたが、ヘッドコーチとしてはポジティブなものだと思っています。コネクションやタイミングをもっと良くするための練習は今後も引き続きやっていく必要があります。次の対戦相手に対しても重要なポイントになるので、ラインアウトの成功率を85%から90%にし、数少ないチャンスをしっかりつないでいかなければいけません。それが絶対にできることは分かっています。(シーズンをバイウィークで区切った)ブロック1、ブロック2と重ねて、まだまだ成長できると見ています」

リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ キャプテン

「結果は本当にうれしく思います。すべてがプランどおりかと言ったらそうではないですし、イメージしていた形とは違う勝ち方でしたが、ラグビーにはそういうこともあります。ゲームプランを立てて試合に臨むのですが、自分たちの思っているレベルで実行し切れなかった部分もありました。ただ、その中でもしっかり勝つ方法を見いだせたかなと思います。

李淳弘がファーストゲームに出られたのも良かったです。残り15分くらい、6点差の状況で相手のいいラインアウトに対して出場したのですが、よくやってくれたと思います。彼の努力も称えたいです。順位表的にも、自分たちのシーズンのためにも、目標のためにも大事な結果でした。こういうタフなゲームで勝ち切れるかどうかが、目標を達成できるかどうかの差になってくると思います。またポイントをレビューして数日間休み、ブロック3に向けて準備していきたいです」

──イエローカードで一人少ない状況で後半に入りましたが、先にスコアできたのは非常に大きかったと思います。どのような意思統一をして後半に臨んだのでしょうか。

「13人や14人の状況でプレーする練習機会が今までありました。もちろん今後継続はしたくないのですが、答えは持っているのかなと思います。あまり響きは良くないですが。

誰かがシンビンで(グラウンドの外に)出ている場合は、エッジからエッジに行くときにエクストラバックスがちゃんとスイング(ブロックしてくる相手をかわして走る動き)して人数を増やすことが重要です。それからラック後のフォワードの動き。数的不利になっているぶん、動かなければいけない、カバーしなければいけない仕事が増えます。そういったところの認識が上がっているのかなと思います。もちろん、あとは時間を進めたいという意図もあります。ボールがインプレーの間はみんな注意してプレーしているかなと思います」