欧州が誇るサッカー大国ドイツ。彼らがワールドカップを欠場するとなれば…(C)Getty Images 優勝候補の一角と目…

欧州が誇るサッカー大国ドイツ。彼らがワールドカップを欠場するとなれば…(C)Getty Images

 優勝候補の一角と目される大国が離脱となれば、その余波は計り知れない。

 開催が間近に迫り、いよいよ関心も高まり始めているワールドカップ(W杯)の北中米大会。だが、開幕を巡ってホスト国のひとつとなるアメリカに対する欧州複数国からの“ハレーション”が苛烈化。ドイツ・サッカー連盟幹部に至っては、大会のボイコットを呼びかける発言を公の場で展開した。

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 すべての発端となっているのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領の威圧的な言動だ。

 国際問題の余波が広まっている。「国家安全保障上が理由」として、デンマークの自治領にあるグリーンランド所有権の保持を要求するトランプ大統領は、同地域を自国領のように描いた画像をSNSに投稿。微塵も揺るがない強硬姿勢にNATO(北大西洋条約機構)諸国から反発を受けると、17日にグリーンランドへ軍部隊を派遣したNATOの8か国からの輸入品に対して2月1日から10%の追加関税を課すと号令も出した。

 すでにアメリカの動静に反対するイギリス、フランス、ドイツなど欧州8か国に対する追加関税こそ撤回したトランプ大統領。だが、「主権侵害」とも取れる高圧的な政治手腕に対する反発は根強く、ドイツではW杯のボイコットを支持する意見が高まりを見せている。

 そうした中で強く訴えるのは、ドイツ・サッカー連盟の副会長を務めるオーケ・ゲトリッヒ氏だ。ハンブルクの日刊紙『Hamburger Morgenpost』のインタビューに応じた同氏は、「我々は、目の前にあるこの問題を真剣に検討し、議論する」と断言。出場の切符を“犠牲”にする覚悟を語った。

「私の個人的な考えでは、潜在的な脅威は、1980年代にオリンピックをボイコットした時よりも大きくなっている。だから議論をする必要があるんだ。組織として、そして社会として、私たちはタブーや境界線の設定、そして価値観を守る方法を忘れかけている。プロ選手の命、または価値ってものは、ワールドカップ開催国によって直接的、あるいは間接的に攻撃され、脅迫されている地域の無数の人々の命より価値があるわけではない」

 あやふやな言葉ではなく、連盟幹部が示した明確な意義は、世論にも反響を生んでいる。ドイツの大衆紙『Bild』の行った調査によれば、仮にアメリカがグリーンランドを領有した場合の対応として、W杯をボイコットする計画の賛成派は47%と過半数を獲得。反対派は35%で、分からないとした人は18%になった。

 もちろん、ボイコットを敢行すれば、ドイツ・サッカー界に暗い影を落とす可能性は大いにある。ゆえにサッカー連盟内でも反発の声は小さくないという。『Bild』によれば、匿名の幹部は「(ボイコットは)信じられないほど愚かな決断だ」と異論を唱えたという。

 果たして、ドイツは最終的にW杯の切符を捨てるのか否か。言わずもがなの大国が動けば、NATO8か国をはじめとするヨーロッパ各国に影響が広まっていくのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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