◆卓球◇全日本選手権 最終日(25日、東京体育館) 3年連続で同じ顔合わせとなった女子決勝で、17歳の張本美和(木下グル…
◆卓球◇全日本選手権 最終日(25日、東京体育館)
3年連続で同じ顔合わせとなった女子決勝で、17歳の張本美和(木下グループ)が4連覇を狙った早田ひな(25)=日本生命=を4―3で破って、初優勝を果たした。高校生女子での制覇は史上7人目、ジュニアとの2冠は1988年の佐藤利香以来、37大会ぶり史上2人目の快挙。日本勢初のシングルス金メダルを狙う2028年ロス五輪へ向け世代交代を印象づけた。2年続けて同カードの男子決勝は18歳の松島輝空(そら、木下グループ)が篠塚大登(22)=愛知工大=を4―0で退け、高校生では史上2人目の2連覇を飾った。
決勝で2年連続で敗れてきた“早田の壁”を破って悲願の日本一をつかんだ。ベンチコーチの父・宇(ゆ)さん(56)と抱き合うと涙があふれた。「ついに、ついに、やっと勝ったか! 全日本の優勝は、どの大会で優勝するよりも達成したかった。うれしい」祝福の拍手を一身に浴び喜びを爆発させた。
殻を打ち破った。横井咲桜(ミキハウス)との準決勝は2ゲーム(G)を失ってからの大逆転勝利。決勝は3年連続で女王・早田への雪辱戦だった。3―2の第6Gは10―6とチャンピオンシップポイントを握った。あと1点。だが「初めて弱気になった」と痛恨の6連続失点で逆転された。
失意からすぐに立ち直れず最終G前は放心状態だったというが、コートに立つと「攻め切る」と腹をくくった。5―1から2連続レシーブエース。得点するたびに雄たけびを上げるのがスタイルだったが「(気分が)上がり過ぎちゃう」と絶叫を封印した。「メンタルが大事。最後まで落ち着いてできた」と感情を抑えてプレー。大勝負の舞台で「立て直せたのは成長」と実感できた。
9歳の時、兄・智和(22)が史上最年少14歳で制する姿に憧れ「小さい頃から、世界チャンピオンになるよりも欲しい」と渇望したタイトルだった。昨年4月に世界ランクは日本女子最上位に浮上。「自分の実力は分かる。今年はチャンス」と意識し、昨年10月頃から「頭は全日本」とモードに入った。例年連戦を重ねて全日本に臨んできたが、今年は世界ツアーに出ずに1週前に帰国。「サーブの配球がうまい」と早田対策を立て、レシーブを強化するなど入念に準備した。
日本一の称号を手にした17歳には、ロサンゼルス五輪金メダルや、世界ランク1位の目標が胸にある。「いい弾みにする。海外の大会でも勝ちたいし、全日本で(18年度の伊藤美誠以来となる高校生女子)2連覇をしたい。成長して、また来年帰ってくる」。壁を越えたエースの夢は続く。(宮下 京香)
◆美和に聞く
―初の日本一に立って。
「自分の実力は一番分かっている。今年が一番チャンスというのがあった。2年連続2位だったので、優勝したい気持ちがすごく大きかった。パリ五輪で銀メダルを取った時は団体戦だった。今回はシングルスでまた違ったうれしさがある」
―優勝後、涙の理由は。
「準決勝からすごく苦しかった。途中、負けたなという気持ちになっていた。そこを乗り越えただけでも、自分的には満足。最後までやり切って優勝できたことが、涙に出ちゃった」
―早田との決勝の勝因。
「メンタルの部分が一番大事。試合前はすごく自信を持っていた。今大会を通して卓球はメンタルのゲームだと感じた」
―誕生日の父、母への思い。
「一般の部で優勝をプレゼントしたかった。お母さんも誕生日だったので、一緒にお祝いしたい」