「別れの年」でも心は競技者――ワウリンカが語った覚悟 1月24日、「全豪オープ…
「別れの年」でも心は競技者――ワウリンカが語った覚悟
1月24日、「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)男子シングルス3回戦が行われ、今季限りでの引退を表明しているワイルドカード(主催者推薦)のスタン・ワウリンカ(スイス/世界ランク139位)は、第9シードのテイラー・フリッツ(アメリカ/同9位)に6-7(5),6-2,4-6,4-6で敗戦。2014年に自身初のグランドスラム制覇を成し遂げた思い出の地、メルボルンでの最後の戦いを終えた。
【動画】ワウリンカ、トップ10にあと一歩及ばず最後の全豪オープンを終える 3回戦ハイライト
試合後、ジョン・ケイン・アリーナでは特別なセレモニーが行われた。満員の観客が総立ちでレジェンドを称える中、ワウリンカはトーナメントディレクターのクレイグ・タイリー氏とコート上でビールを酌み交わし、20年にわたるメルボルンとの深い絆を分かち合った。
40歳で迎えた今大会、ワウリンカは1978年のケン・ローズウォール以来となる最年長3回戦進出を果たした。そして、この日はトップ10のフリッツを相手に強烈なウィナーを連発してセットを奪うなど、最後まで互角の勝負を繰り広げた。
記者会見でワウリンカは、「私の考えは一貫している。ただ別れを告げるためにこの1年を過ごしているのではない」と語った。
「引退する年だから、負ければその大会とはお別れになるが、私の心は依然として競技者のままだ。常に自分を追い込みたいと思っている」
勝利を目指す「競技者」としての自分と、ファンや雰囲気を楽しむ「一人の人間」としての自分。その両立を模索しているという。今大会でのサポートについては「期待以上だった。毎試合が本当に特別で、心から感謝している」と感慨深げに振り返った。
今月の男女混合国別対抗戦「ユナイテッド・カップ」から始まった全豪シリーズを通じて、ワウリンカは高い競争力を示し続けた。トッププレーヤーたちと多くの時間をコートで過ごしたことが自信につながったという。
「自分のレベルに驚きはない。それだけ練習を積み、自分を追い込んできたからだ。昨年は初戦敗退が続いて自信を失いかけていたが、この3週間で自分がまだトップ選手と戦えること、競争力を維持できていることが確認できた。それはまさに私が求めていたものだ」
その手応えは、今後のシーズンに向けた指針となった。「この3週間で勝てたからといって、次の数か月も勝ち続けられるとは限らない。しかし、少なくとも自分の今のレベルと、まだ何ができるかはわかっている。それに満足しているよ」と、自身の現在地に自信を覗かせた。
2014年の優勝という最高の思い出を除いた、オーストラリアでの一番の記憶を問われると、ワウリンカは今大会2回戦の死闘を挙げた。
「2日前にキア・アリーナで勝った時のことは、おそらくトップクラスの思い出だ。5セットマッチ、ファイナルセットのタイブレーク。あんなにも多くのサポートと感情がコートに溢れたことはなかった。観客が楽しみ、私も楽しんだ。本当に特別な瞬間だった」
ワウリンカは今後、少しの休養を挟んだ後、モンペリエ、ロッテルダム、ドバイといった欧州や中東の大会にワイルドカードで出場する予定。メルボルンのみならず、世界中のファンを熱狂させてきた鉄人のラストダンスは、まだ終わらない。