日本は中国の堅守を崩せるか。道脇(19番)らFWに期待がかかる(C)Getty Images「日本はCKでしか点を取れな…

日本は中国の堅守を崩せるか。道脇(19番)らFWに期待がかかる(C)Getty Images

「日本はCKでしか点を取れない。選手たちは若くて役に立たない。日本は終わった」

 あ、これは眠れる獅子を起こしたかもしれない。やっちまったなぁ、オイ。

【動画】こんなPKは見たことが…一度はGKに阻まれるも上がったボールはそのままゴールへ 流れを引き寄せた道脇豊のPKシーンを見る

 準決勝でベトナムに3-0で完勝して気を良くしたのか、中国ポータルサイト『網易』では現地時間1月24日24時にキックオフを迎えるU-23アジアカップ決勝、日本戦について楽観論が出ているようだ。

 その主張はよくわかる。確かに決勝ラウンドに入ってからのU-21日本代表は、ヨルダンに1-1でPK戦の末に勝利、韓国に1-0と辛勝に留まっており、大量得点で3連勝したグループステージの勢いは消えた。

 原因はやはり、ストライカーが決定機でゴールを奪っていないことだろう。道脇豊、ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄ともに、ゴールはグループステージのPK各1点に留まり、流れの中では決めていない。ヨルダン戦ではブライアンが多くの決定機を外し、それは韓国戦でスタメン出場した道脇も同じだった。

 日本にとって頼みの綱は佐藤龍之介だが、決勝ラウンドは相手のレベルが上がり、プレッシングやビルドアップなど攻守全体における佐藤の負担が重くなっている。連戦の疲労もあり、そう何度もゴール前に顔を出すのは難しい。

 また、決定力という意味では大関友翔にも頼りたいが、彼の場合はボランチに置くには守備の不安が大きい。守りを固めてカウンターを狙う中国に対して、大関を使うかは未知数だ。

 となると一層、本職であるストライカーの道脇やブライアンに殊勲のゴールを挙げてほしいところだ。

 特に道脇。スタメン出場した韓国戦では能力の一端は感じられた。相手CBが拙い対応をしたとはいえ、永野修都や市原吏音のスルーパスに見事にタイミングを合わせ、何度も背後を取った。191センチの体格に加え、あのスピード。只者ではない。せっかくの決定機でシュートやコントロールはお粗末だったが、動きに期待感はあった。

 一方で、ラインの背後を取る動き以外は、ほぼ荒削り。韓国戦では気になるシーンが2つあった。

 一つは40分、自陣深い位置からロングカウンターへ行こうとした場面だ。小泉の強い縦パスを佐藤が絶妙な胸トラップで収め、迎撃に出た相手右CBのプレッシャーを受けながら、道脇へつないだ。

 この時点で相手左CBに対し、道脇と右サイドハーフの久米遥太が数的優位。逆サイドは石橋が相手SBと1対1になっており、3対2の絶好のロングカウンター機会になっていた。ところが道脇は、佐藤が必死につないだボールを、ワンタッチのトリッキーな軸裏パスで、久米につなぎ損ねて失敗。雑なプレーで、最高のカウンター機会を潰してしまった。

 そもそも、相手の左CBは道脇へ寄せていなかった。久米と道脇に対して1対2の数的不利であるため、寄せられないのだ。にもかかわらず、道脇がこれほど慌てたプレー選択をする必要はない。

 キープしてドリブルで少し持ち運び、自分にマークを引きつけてから久米を使うか、あるいは相手SBが絞ってきたら石橋を走らせるなど、落ち着いて起点を作ればいい状況だった。雑なワンタッチで失敗、は最低の選択だ。

 解説の佐藤寿人さんは「この辺りですよね。道脇のプレー選択は適切だったのか?」と疑問を呈したが、僕も同意見だった。道脇は状況判断ではなく、ノリでプレーして味方を危機に陥らせた、と映った。あるいは認知や左足でのキープに不安があり、あのワンタッチへ至ったのなら向上しなければならない。18歳でベルギー2部のベフェレンへ移籍した大器だが、今季は出場機会がなくアビスパ福岡への加入が発表されている。この韓国戦からは仕上げの育成を必要とする選手という印象をより強くした。

ブライアンも得点が期待される選手の一人だ(C)Getty Images

 もう一つの場面は、61分だ。

 市原からの浮き球パスに対し、梅木が絶妙なインサイド裏取りで飛び出した。さらに絶妙なトラップの後、中へ折り返したが、この絶妙尽くしのチャンスメークに道脇は合わせることができなかった。当然、FWには一家言ある解説の佐藤寿人さんは、この場面でも指摘を忘れない。

「できれば今のところで道脇が自ら動き出しをして、ボールを呼び込みたかったですよね」

 道脇は市原と梅木のプレーに対し、全くリアクションがなく、明らかに動き出しが遅かった。わずかでも早ければ、間に合っていたのに。グラウンダーが相手CBとGKの間を通過し、ゴールエリアを横切るなんてFWの恥だ。

 その3分後にもチャンスがあったが、佐藤が中を覗いたとき、道脇は相手の背後を取るわけでも、相手に身体を預けるわけでも、どちらの足に欲しいかを示すわけでもなく、何となく寄って、佐藤のパスをコントロールし切れず、そのまま相手に渡してしまった。佐藤のパスが強すぎたようにも見えるが、そもそも寄りすぎている。そこで受けてもフィニッシュへつながらない。解説の佐藤寿人さんは試合中、何度も「ボールを呼び込んでほしい」と道脇のプレーに言及していたが、まさにそれが、前述のスペースへの飛び出し場面を除けば皆無だった。

 もっとも、道脇だけではない。U-21日本代表で仕上がった選手と感じるのは、佐藤、市原、永野、小倉幸成、梅木、荒木琉偉くらいで、この世代らしい荒削りな選手が大半だ。プレッシングも甘いし、連係していないし、言い始めたらきりがない。

 ただ、おそらく決勝に関して鍵を握るのは、中国側に煽られた通り、FW陣だろう。相手は無失点で決勝へ勝ち上がり、守備は自信を深めている。佐藤への徹底マークが予想される中、道脇やブライアンにはこれまでの消化不良感と、この侮辱を払拭するゴールを挙げてほしいところ。

「日本はCKでしか点を取れない。選手たちは若くて役に立たない。日本は終わった」

 この中国側の発言が、眠れる獅子を起こす――。

 そう信じて24日24時、眠らずにライブ観戦しよう。

[文:清水英斗]

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