NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第4節2026…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第4節
2026年1月24日(土)12:00 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D2)


9番から15番まですべてのポジションをこなすというNECグリーンロケッツ東葛の福山竜斗選手

ラグビーでは各ポジションに特異な役割があり、選手たちは日々の練磨を通じてそのスペシャリティーに磨きを掛けている。しかしNECグリーンロケッツ東葛には、その常識を覆す男がいる。福山竜斗だ。スクラムハーフからフルバックまで、バックスの全ポジションをこなす“超ユーティリティープレーヤー”である。

近畿大学時代、福山はセンターでプレーをしていた。だがU20日本代表でのスタンドオフへの挑戦から、彼は新たな一歩を踏み出すことになる。さらに2022年に入団した三菱重工相模原ダイナボアーズでは、福山のユーティリティー性を見抜いたヘッドコーチからフルバックのポジションを与えられ、自らのプレーの幅を広げていった。

「ポジションを増やせば増やすほど、ラグビーの勉強も、練習の時間も増える。でも、それを苦だと思ったことは一度もありません」

し烈な競争を勝ち抜くため、福山は3つのポジションを前向きにチャレンジしていった。それだけではない。スクラムハーフの準備ができているかと言われれば「やります」と即答し、試合中に誰かが負傷すればポジションをウイングへ移す。そしていつしか福山は、チームにとってあらゆるポジションをこなす不可欠な選手となっていった。

しかし複数のポジションを極めるのは容易ではない。なぜならポジションが変われば求められる条件も変わるからだ。センターの重厚なフィジカル、スクラムハーフのスキルと判断、ゲームコントロール、ウイングの速さ。フィジカルを保とうとすれば俊敏さが失われる。スピードに特化すればフィジカルコンタクトではじき飛ばされる。

「走れて、強くて、自分にとってベストな体とは何か。いまも試行錯誤の連続です」

難しさをそう話す福山だが、同時に複数ポジションへの挑戦は確実に福山の進化を促した。

「海外の試合やリーグワンの試合を見るときに、以前は10番や12番のプレーに目がいっていたんですけど、9番に入るようになって、『この選手はすごく細かいところで動いているな』とか、『こういうコースで走れば、パスをもらえるんだな』と、ラグビーを見ることがとても楽しくなりました」

多角的にラグビーを見る戦術眼が養われたことで「想像もできなかったほど成長できています」と福山は自信を覗かせた。

今週末、福山は今季初先発でグラウンドに立つ。だが、背中の『15』は彼にとっては単なる番号に過ぎない。フルバックとしての出場も、試合が始まれば、状況に応じてセンター、スタンドオフ、スクラムハーフへと自在に姿を変える。混沌とする試合の中で、誰よりも早く状況を察知し、そこでの最適なプレーを選択するのだ。そのプレーこそが、福山のスペシャリティーでもある。ポジションという境界線を越えて走り抜く。福山の“超ユーティリティー性”が、連敗中のチームを救う。

(鈴木潤)